口下手だからとパーティから追放されましたが、俺がちゃんと喋ったらあなた達全員死にますよ? 

志鷹 志紀

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7話 口下手賢者、帰還する

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 その後、俺たちは地上に帰ってきた。
 泣きじゃくるピリカを背負い、ホブゴブリンの使っていた肉斬り包丁を片手にして。

 ゲートから地上に上がると、さっそく周りの冒険者たちが出迎えてくれた。
 いや、出迎えてくれたというのは、ただの皮肉だ。
 正確には周りでコソコソと、俺たちのことを話している。

「おい、アイツら……ウソ吐き賢者たちじゃねぇか」

「へッ、どうせ攻略に失敗してノコノコ帰ってきたんだろ」

「いやでもよ……アイツ、ホブゴブリンの肉斬り包丁を持っていないか?」

「え、あ、確かに……じゃあ、まさか攻略したのか?」

「どうせあれだろ? 一緒にパーティを組んでいる女の子が、主に頑張ってくれたんだろ」

「そりゃそうか、何もできねぇ口下手ウソ吐きは、どうせいつもみたいに何もしなかったんだろうな」

 謂れのない誹謗中傷を受けるが、今はそんなことはどうでもいい。
 とりあえずこの肉斬り包丁をギルドに見せて、攻略完了したことを報告しなければ。

「ごめんなさい……弱くてごめんなさい……」

 それと同時に、俺の背中で泣きじゃくるピリカに対して、どうすればいいのかを考えなければ。
 女性経験皆無で口下手な俺にとっては、それが一番難しい。


 ◆


 その後、俺たちはギルドへと報告を実施し、宿屋へと戻ってきた。
 なんと驚いたことに、ピリカも俺と同じ宿に泊まっていたのだ。
 それも、俺の隣の部屋だった。

「すみません、今日は……本当に……」

「い、い、い、いや、い、い、い、いいよ」

 とりあえず泣きじゃくるピリカを俺の部屋のベッドに寝かせると、すぐさま謝罪が飛んできた。
 別に泣きじゃくる必要など、何一つないというのに。
 初めてのボス戦で、あれほど追い詰めること自体スゴいことなのだから、むしろ誇っても構わないのに。

 そんなことを言葉に乗せたいが、いかんせん俺は口下手で訥弁とつべんだ。
 伝えたいことの1割も伝えられないだろう。
 何とも難儀だな。こんなことならもっと弱くていいから、普通に話したかった。

「アルレ様、わたし……もっと強くなります」

「……う、う、うん」

「もっともっと、アルレ様に心配をかけさせないように、もっと強くなって見せます!!」

「……う、う、うん」

「ですから……どうか、今のわたしは弱いですけれど……見捨てないでもらえますか?」

 ピリカの目がウルウルと潤んで、俺を見つめる。
 女性の涙には魔法が宿ると言われているが、どうやらそれは本当らしい。
 俺も今、ウッとしてしまっている。

 しかし、そうかそんなに悩んでいたのか。
 弱いことは冒険者にとって、一番の罪である。
 弱い冒険者など、誰も望んでいないのだから。

 だからこそ、ピリカはここまで悩んでいるのだろう。
 だが、ピリカは……特別弱いわけではない。
 むしろ初めてのボス戦で、ソロでボスをあと一歩のところまで追い詰めたのだから、才能はある方だろう。
 だからこそ、そこまで思い悩む必要はないのだが。

「……『もちろん、見捨てない』」

 俺はドモらずに、言葉に乗せる。
 これにより、魔法が発動した。
 その魔法の効果は、『俺が見捨てたらピリカが死ぬ』というもの。
 そう、俺は今後絶対に、ピリカを見捨てることができなくなったのだ。
 まぁ魔法をかける以前に元々、見捨てるつもりなどないのだが。

「あ、ありがとうございます……!!」

「が、が、頑張ろうね。こ、こ、これから、よ、よ、よ、よろしくね」

「こちらこそ……よろしくお願いします!!」

 こうして、俺とピリカの仲は一層深まった。
 俺は今後、どんなことがあってもピリカを見捨てない。
 たとえピリカが実は弱くとも、絶対に見捨てない。
 何があっても、絶対に。
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