刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

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11話 帰省

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「よぉ……5年ぶりだな」

 ガラスを突き破り、実家に侵入した。
 机の上に着地し、そこから見えるのは4人。
 1人は憤怒の表情を浮かべる、老人。
 1人は憤怒の表情を浮かべる、少年。
 1人は憤怒の表情を浮かべる、少女。
 1人は涙を浮かべる、少女。

 5年が経過し、全員ある程度は容姿に変化がある。だがしかし、ひと目で全員の正体がわかった。

 そして、彼らを目にして、もう1つわかったことがある。
 彼らに対する怒りは、決して風化していないことを。

「……おい、カイナ。その汚らわしい手を離せ」

「アルカッァアアアアア!! どうして帰ってきた」

「聞こえないのか? その手を離せと、俺は言ったんだ」

 駆ける。そして、カイナの懐に潜り込む。
 俺の速度に着いてこれないのか、懐に潜ってもカイナは俺の存在に気付いていない。
 そのままカイナの腹に、3発の拳を叩き込んだ。

「ぐ、ガハッ──ッ!?」

 カイナは壁まで吹き飛び、血反吐を吐いた。
 白目を向いているところから、気を失ったらしい。
 そしてカイナが吹き飛んだおかげで、ピリカの髪からカイナの汚い手が離れた。

「アルカ貴様……何をしたのか、わかっているのか!?」

「あぁ、クソ親父。ゴミから1人の少女を救ったんだ」

 カイナや親父には目もくれず、俺はピリカの状態を確認する。
 ……傷が多い。俺がいない5年の間に、ひどい暴力が振るわれたのか。

「アルカ様……おかえりなさい……」

「ただいま、ピリカ。……ごめん、これまで待たせて」

「いいえ……わたしは……信じていました。アルカ様が……帰ってくるって……!」

 ギュッと抱き着いてくるピリカ。
 痩せさばらえた彼女の身体から、これまでの悲惨な状況が伺える。
 ……許せない。よくもピリカに、こんな目を……!!

「アルカ、貴様……何故帰ってきた!!」

「そうよ!! アンタみたいなゴミ、さっさと死んだ方がいいのに!!」

「……わからないのか?」

 ギロッと2人を睨みつける。
 こいつらが……ピリカを、こんな目に合わせたのか。
 クソッ、許せない。許せない!!

「……復讐だ」

 だが、ここは理性でグッと堪える。
 感情に任せて彼らを殺してしまえば、俺は罪人になってしまう。
 彼らは腐っても、貴族なのだ。社会的な地位は高い。
 だからこそ彼らを殺す為には、正式な手順を踏む必要がある。

「復讐……じゃと?」

「俺はカイナに決闘を申し込みたい」

「その言葉の意味……本当にわかっているの……?」

「あぁ。俺はお前よりも頭が良いからな」

 決闘、それは貴族が公式に相手を殺す為の手段だ。
 正確には会話では決着がつかないことを、解決させるためのシステムである。
 だがそのルールは野蛮で、ルールは実質無い。目つぶしや金的、そして殺害までもルールで許可されている。

「何故……そんなことを?」

「なんだ、日和っているのか? 落ちこぼれの俺に敗れることが、そんなに恐ろしいのか?」

「そんなわけないじゃない!!」

「だったら、俺の挑戦。当然ながら、受けて立ってくれるよな?」

「うむ……」

 5年前の俺だったら、親父は喜んで引き受けただろう。
 だがしかし親父は先ほど、俺の力の片鱗を見てしまった。
 カイナが反応できずに、殴り飛ばされる様を見てしまったのだ。

「お義父様!! 大丈夫ですわ!! カイナは強いですから!!」

「……うむ、そうじゃな。無能如きに敗れるほど、軟弱な教育は施しておらん」

「で、どうするんだ?」

「アルカよ、カイナは貴様如きに、決して敗れたりしない。先ほどは不覚を取ってしまったが、2度も同じことが──」

「痴呆が進んだか? 俺はどうするのかを、聞いているんだが?」

「ちッ……、生意気になったな。貴様の挑戦、受けて立ってやろう」

「はッ、それでいいんだよ」

 単純なバカたちでよかった。
 俺のことをかつての、ただの無能だと思ってくれている。
 本当に……愚かな連中だな。

「アルカ様……応援しています!!」

「あぁ、面白いモノを見せてやるさ」

 俺はピリカにニカッと微笑んだ。
 ピリカの顔が若干、赤らんだ気がするが気のせいか?

「決戦は1か月後。それまで鍛えなおしておくんだな!!」

 俺はそう告げると、ピリカを抱き上げて──その場から消えた。
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