刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

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24話 デート?

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 あれから5日後、俺たちは受験に向けて猛勉強&特訓をしていた。
 師匠曰く、《全知全能の大賢者バーバ・ヤーガ》の元で勉強&修行をした俺にとって、学科も実技も容易いから受験に向けての猛勉強&特訓は必要ないという。

 だが、念には念を。
 師匠を疑うわけではないが、やはり万が一のことを考えると、慢心しているわけにはいかない。

 そしてピリカは元々かなり頭が良い。
 かつては共に勉強をしたものだ。わからない部分を教えてもらったものだ。
 頭はおそらく、俺よりも良いだろう。

 そして魔法に関しても、ズバ抜けた才能を持つ。
 カイナや師匠には届かないが、同級生の中ではトップクラスの才能だ。
 さらにこの受験日までの間、師匠がマンツーマンで修業を施してくれると言った。
 短い期間ではあるが、受験日には今よりも格段に強くなっていることだろう。

 受験日まで一週間を切った。
 この間に、さらに精進しよう。
 今よりも格段に強くなり、確実に合格できるように。
 夢の学院生活を、ピリカと共に青春を送れるように。

「2人とも、今日は休憩せんか?」

 と、意気込んでいると、師匠は水を差すようなことを言ってきた。
 ……せっかく気合十分だというのに、なんてことを言うんだ。

「師匠、俺たちには時間がないんですよ」

「そうです。もう受験日まで一週間を切ったんですよ?」

「あぁ、わかっておる。じゃが、少しは休憩をせんと、受験日に燃え尽きてしまうぞ?」

 師匠は燃え尽きバーンアウト症候群のことを指しているのだろう。
 燃え尽きバーンアウト症候群とは、それまで高いモチベーションを保って努力していたのに、ある時を境にそれが一気に冷めてしまう病のことだ。
 
 受験が終わってから冷めてしまうのなら、まだ問題はない。
 だがしかし、受験が終わる前に冷めてしまうことはダメだ。
 努力をすること自体に満足をして、冷めてしまうことは避けなければならない。
 
 その為に少し休憩を入れて、熱を少し覚ますのだ。
 一気に高温に熱するよりも、少し覚まして休ませた方が長続きする。
 ヒトも物も、それは変わらない。

「……えぇ、そうですね。師匠の言うとおりかもしれません」

「そうじゃろ。ピリカはどうするのじゃ?」

「わたしもアルカ様が休憩をするのであれば、従います」

「そうかそうか、それでは2人とも今日は休日にするとするかの」

 いきなり休日になったが、さてどうしようか。
 俺には趣味という趣味もないし、休日は寝ることしかしていない。
 だが現時刻は10時。今から寝てしまっては、夜眠ることができなくなる。

「そうじゃ、2人とも。街に行って来たらどうじゃ?」

「街、ですか?」

「うむ。若いんじゃから、デートに行ってくるといいじゃろう」

 デート……デートだと!?
 おいおい、その言葉は俺のような童○にとって、あまりにも強い。
 そもそもピリカも俺のような陰気な男とデートなど、嫌に決まって──

「……はい、わ、わかりました」

 ………………………え?
 顔を真っ赤に染めて、な、何?
 ま、まさか……まんざらでもないのか?

「じゃ、じゃあ、ぴ、ピリカ。い、行こうか」

「は、は、はい」

 そう言って、俺たちは転移した。
 緊張しすぎて、手をガタガタと震わせながら。


 ◆


 目を開くと、そこには噴水があった。
 そして周りには多くの人々。
 奥に見える城から察するに、無事に王都に辿り着けたようだ。

「つ、つ、着きましたね」

「あ、あ、あぁ」

 相変わらず緊張で手汗がビショビショだ。
 こんなに濡れていては、気色悪いだろう。
 急いで魔法で手汗を消すが、手汗の噴出は衰えない。
 まるで焼け石に水だ。

 あぁ、いつもなら緊張しないのに。
 ”デート”と意識すると、途端に意識してしまう。
 これも童○の悲しきサガなのだろうか。

「こ、こ、この後、ど、ど、どうする?」

「そ、そ、そうですね……。ふ、服でもか、買いますか?」

「ふ、服……そ、そうだね」

 俺は私服が極端に少ない。
 追放される前は、私腹を買うことなど許されなかった。
 師匠の下で修業している時は、私服など買う余裕も必要もなかった。
 その為持っているのは必要最低限、それもどれもがボロ切れのような服だ。

 ピリカも私服が少ない。
 幼いころから侍女として教育を受けてきた彼女は、私腹を買うような余裕も時間もなかった。
 その為に年相応の私服を、彼女は有していない。
 彼女が持っているのはメイド服だけだ。
 現に今も、メイド服を着ている。

「そ、それじゃあ、い、行こうか」

「は、はい……!」

 ドキドキが止まらないまま、俺たちは服屋に向かった。
 あぁ、情けない。もっと異性への耐性があれば、愉快な話で緊張を解くことができたのに。
 ユーモアに欠けることを、ひどく後悔する。もっとおもしろい人になろう。
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