刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

文字の大きさ
60 / 77

53話 はじめての友達

しおりを挟む
 次の日、俺が教室にやってくると──

「お、おい……来たぞ……」

「ルリフさんを殺した、サイコパス野郎だ……」

「《死者蘇生魔法リサシティション・リボーン》を使うとか、生命への冒涜よ……」

「不正は行うし、サイコパスだし……さっさと死んでくれねェかな……」

 教室に入るや否や、貴族の生徒たちからの陰口が飛んでくる。
 昨日は動揺の声が大きかったが、1日が経ったことで動揺は憤りや不信感へと変わったようだ。

「……どうしますか?」

「どうもしないさ。ここで惨殺してしまえば、さらに悪評が広まってしまうだろ?」

「……ですけれど、わたし……許せません。アルカ様は何も悪いことはしていないのに、なんで……こんなに愚弄されなければいけないのですか」

「抑えてくれ。所詮はザコの遠吠えだ」

 俺に直接ケンカを売る勇気がないから、コイツ等は遠くから陰口を叩くのだ。
 実際に俺が少し睨んでやると、「ヒィッ!?」という短い悲鳴を上げて俯いた。
 やれやれ。睨んだだけで悲鳴を上げるほどに度胸がないのだから、陰口を叩くこともやめればいいのに。

「ハァ……めんどくさいな」

 席にドカッと座り、辺りを見渡す。
 貴族連中は陰口を叩いているが、ごく一部の生徒は俺に対してキラキラとした眼差しを送っている。彼らは……平民だな。
 彼らは貴族を恐れて直接近づいては来ないが、俺への応援の視線はヒシヒシと感じる。

 さらに教室の奥の席には、異様に暗い雰囲気を醸し出している生徒がいる。そう、紫黄髪男だ。
 俺に敗北したことが原因で、昨日までの傲慢さが鳴りを潜めている。
 そうだ、それでいい。謙虚で静謐せいひつに、それこそが真に貴族に求められる要素だからな。

「ねェ、アルカくん!!」

「……ん?」

 背後から誰かに話しかけられた。
 振り向くと、そこには満面の笑みのロイドくんがいた。

「おはよう、アルカくん!!」

「あ、あぁ……お、おはよう……?」

 なんだ、異様に元気だな。
 俺も彼には挨拶を交えようと思っていたが、相手から先に来るとは予想外だった。
 それに……朝からここまで元気だと少々疲れる。俺は低血圧なんだ。

「昨日はスゴかったね!! 僕、感動したよ!!」

「そ、それはどうも……」

「あの魔法や体術、どこで習ったの???」

「え、えっと……」

 うーむ、どうしようか。
 師匠のことを話すわけにはいかないが、うまい言い訳が思いつかない。
 なんと言えば、納得してくれるだろうか。

「おいおい、ロイド。アルカが困っているだろ?」

 そんな中、俺を助けてくれたのはガイアくんだった。
 さすがは俺が見込んだ男。どんな時でも頼りになるな。
 
「あ、ごめんね! 質問攻めになっちゃったね!!」

「い、いや、構わないさ。まぁ……ちょっと秘密ってことで、構わないか?」

「秘密……、そうだよね。話したくないことは誰だって、あるもんね」

 そう言うロイドくんの表情は、どこか寂しそうだった。
 なんだ、変なスイッチを押したか? 

「おはようございます!!」

「おはようございますわ!!」

「お、おはよう!!」

「おはようございます。良い天気ですね」

 うわ、なんか増えた。
 おはようおはようとうるさいのは、ロイドくんの取り巻きの女たち。
 なんだ、お前らは。ロイドくんの側にいなければ、死んでしまう病なのか?

「何を話していたんですか?」

「昨日のことだよ。まぁ、アルカくんにも色々あるみたいだね」

「色々……ロイドのように、様々な秘密があるということですの?」

「そうだね……。多分、似たような感じだね」

「アンタの秘密、いい加減にアタシたちに話しなさいよ!!」

「それは……ごめん。まだできないんだ」

「……そうですね。ロイドさんの秘密はまだ……話すべき時ではないですね」

「うん……。ごめんね、みんな」

 一言いいたいことがある。
 俺の近くの席で、シリアスな雰囲気を醸し出すな。
 ロイドくんの秘密云々うんぬんなど、どうでもいい。
 気にはなるが、ガイアくんの筋肉以上の興味はそそられない。
 
「なぁ、ガイアくん」

「ん、どうした?」

「その筋肉スゴいな。どうやって鍛えたんだ?」

「おぉ!! よくぞ聞いてくれた!!」

 突然大きな声を出されたが、不思議と不快感は皆無だ。
 何故だろう、好感度の違いだろうか。

「これはな!! 毎日スクワット100回、腕立て伏せ100回、腹筋100回、ランニング10キロを続けた結果だ!!」

「スゴいな……。俺も似たようなトレーニングをしてきたが、キミのように素晴らしい筋肉は身に付かなかったぞ」

「ガハハ!! 俺にはそれだけ、素質があるってことだ!!」

「素晴らしいな……。素直に尊敬するぞ」

 俺も似たトレーニングをしてきたが、得られたのは細マッチョな肉体だ。
 ガイアくんのように屈強な筋肉は、どうしても得られなかった。
 やはり筋肉は素質が大きい。彼のようなゴリマッチョボディが心底羨ましい。

 それに彼は身長も高い。
 2メートル、いや2メートル10センチはあるだろうか。
 俺よりも10センチほど高い身長は、中々に威圧感がある。
 ……俺もこれくらいの身長が欲しかった。

 筋肉と身長、どちらもが憧れの存在だ。
 頭は多少悪いそうだが、そんなものはマイナス要素にはならない。
 大事なのは肉体フィジカルだ。肉体マッスルなのだ。

「トレーニングの秘訣とか──」

「そういえば、アルカくんとピリカさんって、どんな関係なの?」

 まだまだガイアくんに聞きたいことがあるというのに、邪魔をするな。
 まったく、どんな関係だと? ……そんなことは明確だ。

「ご主人様と従者、それだけです」

 と、キッパリとピリカは言い切った。
 ……いや、その通りなのだが。間違っていないが。
 ……かなり大きなショックを受けている自分がいる。

「従者……? え、アルカくんって平民じゃないの?」

「まぁ……複雑なんだよ」

「そうなんだ……。ごめんね、デリカシーのないこと聞いちゃって」

「いや、構わないさ。もう終わったことだからな」
 
 リレリオン家の事情を知らないのか。
 そうか、かなり有名な話だと思っていたが、知らない人もいるのだな。

「それよりもアルカくん!! そしてピリカさん!! 昼食、僕らと一緒に食べない?」

「いや……今日は遠慮しておく」

「え、どうして?」

「今日は調べものがあるんだ」

 別に彼らと昼食を摂ることが、面倒なわけではない。
 元々、本日は昼食後に寄りたいところがあったのだ。
 決して、昼食を一緒に摂ってしまえば、今以上に質問攻めにあって面倒くさいとかは思っていない。……ウソだ、少しは思っている。

「そっか、残念だね」

「あぁ。また今度誘ってくれ」

「うん!! 約束だよ!!」

 ロイドはパッと笑った。
 その瞬間、女子たちから黄色い声援が上がる。
 ……鬱陶しいな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

処理中です...