刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

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67話 険しい道程

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「ハァ……」

 深夜0時、ベランダでため息を吐く。
 様々な問題に、目を逸らしたくなりながら。
 俺はただ、ため息を吐く。

 父とザベラ、そして兄を殺して、悔恨は全て晴れた。
 だが、次の難題が降り注いできたのだ。
 これは神による、試練なのだろうか。
 俺には休む暇など与えないという、神からの嫌がらせなのだろうか。

 そんなことを考えながら、深くため息を溢す。
 波瀾万丈の人生を歩んできたと自負していたが、さらなる試練が重なるとは。

「お疲れ様です」

 疲れ切った俺に、ピリカは暖かいお茶を持って来てくれた。
 夏が近いとはいえ、この季節の深夜0時は肌寒い。ピリカの温情がありがたい。

「ありがとう、ピリカ」

 お茶をクイッと飲む。
 身体の芯から、ポカポカと温まる。
 ジャスミンの良い香りがする、素晴らしいお茶だ。

「とんでもごさいません。……お疲れですね」

「問題が山積みだからな……」

 最終目標は、魔王の討伐だ。
 問題は、そこまでの道程が険しいこと。

 魔王の捜索や、出回ったクスリの回収&破壊。
 やるべきことは、この2つに過ぎない。
 口で言うのは容易いが、実行するには……時間と労力がベラボウにかかってしまう。

「これから忙しくなるな」

「アルカ様だったら、大丈夫ですよ」

「そう言ってくれるのは、ピリカだけだよ」

 いつ如何なる時も、ピリカは俺の味方になってくれる。どんな時でも、俺がその時に欲しい言葉をかけてくれる。
 本当にありがたい。俺はいつだって、ピリカに救われてきた。

「しかし、手がかりはこれだけか」

 懐から取り出したのは、2人の使っていた注射器。使えるかと思って、一応回収したのだ。
 中身は空で、少しだけ青い液体がこびり付いている。

「もっと手がかりがあれば、魔王まですぐに辿り着けるんだけどな」

「極東の島国では物に付着した指紋から、犯人を特定する技術があるみたいですよ」

「それはスゴいな。極東の島国の連中は、未来に生きているな」

「その技術を、アルカ様の古代魔法で再現すれば、魔王の居所がわかるのではないですか?」

「いやぁ、それはどうだろうな」

 おそらく、指紋からの特定は上手くいかないだろう。
 そもそも、この注射器は2人が所持していた。
 つまり、2人の指紋が一番付着していると考えるのが妥当だろう。

 仮に魔王の指紋が付着しているとしても、指紋から魔王の居場所を特定するというのは、どうもイメージが湧かない。
 イメージが出来なければ、古代魔法は発動できないのだ。

「この注射器と同じ物を所持するヤツを、シラミ潰しに捜索するしかないか」
 
 地道だが、これくらいしか思いつかない。
 注射器を所持する者に対して、父とザベラにしたように尋問していけば、いつかは必ず魔王に辿り着けるだろう。

「こんなことになるんだったら、魔王の居場所や他のクスリの保持者など、いろいろなことを聞いておくべきだったな」

「今から甦らせるのは、どうですか?」

「《死者蘇生魔法リサシティション・リボーン》は死体がなければ、発動できないんだ。すでに死体を焼却してしまった今、2人を甦らせる手段はない」

「それは……残念ですね」

「あぁ、どうしたものか」

 あの時は何も考えず、衝動に任せて焼却してしまった。
 後悔先に立たずと言うが、全くその通りだ。
 後から後悔しても、すでに遅いな。

「注射器を持ち人を、一気に全員確認する方法があれば、楽なんですけどね」

「あぁ、そうだ……あ」

 今、ピリカはなんと言った?
 一気に全員確認する方法、だと?
 そんなこと──可能じゃないか。

「ピリカ、ありがとう」

「え? どうかなさいましたか?」

「ピリカはいつだって、俺を救ってくれるな」

 ピリカの言葉で、解決策が思いついた。
 シラミ潰しに捜索する必要がなく、尚且つ一気に所持者を発見できる方法が。

 この方法であれば、効率的に進められる。
 無駄な労力を消費する必要もなく、注射器の所持者を発見できる。

「よくわかりませんが、アルカ様のお役に立て光栄です」

「本当に……ピリカは最高の侍女だ!!」

「あ、ありがとうございます……!」

 いつ如何なる時も、ピリカは俺の味方になってくれる。どんな時でも、俺がその時に欲しい言葉をかけてくれる。
 本当にありがたい。俺はいつだって、ピリカに救われてきた。

 夜空の星々が、煌びやかに耀う。
 まるで解決の糸口を照らすように。
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