お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀

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12話 憐憫 1/2

「な、あ、あり得ない!! そんなことは、あり得ない!!」

 錯乱したイリカは、多数の魔術を放ってくる。
 雷の矢、氷の槍、火球。
 だが、そのどれもが下級か中級に属する程度レベルの低い。

「……はぁ、上級や最上級を放つ魔力も、底をついたか」

 だが、イリカの魔術は俺に到達する前に、全て霧散・・した。

「なッ、どうなっている!!」

「何もおかしなことは無い。俺のまばたき・・・・によって起きる風圧が、イリカの魔術を消したんだ」

「ふざけるのも大概にしろ!!」

「【スキル:身体能力強化】のおかげで、俺の肉体は極まっているんだ」

 イリカは何度も、魔術を放つ。
 だが、そのどれもが俺に届かない。

「そろそろ【奪盗術師だっとうじゅつし】らしい戦いをみせてやるか」

 俺はイリカに向けて、手をかざす。

「な、何だ……ワタシに何をするつもりだ!!」

「なんてことは無い。お前の才能を奪盗うばうだけだ」

 奪盗術クリアネス────
 ────発動。

【魔術スキル:下級の雷矢サンダー・アローを習得しました】
【魔術スキル:中級の氷槍アイス・ランスを習得しました】
【魔術スキル:最上級の水球ハイドロ・ボールを習得しました】
【魔術スキル:黒焔の祝福フレイム・ベリアルを習得しました】

「よし、これでいい」

「な、何を言ってやがる……。ワタシの身には、何も起きていないぞ!!」

「なら、試してみろ。これをやる」

 俺は懐から、『魔力ポーション』を放り投げた。

「くッ、敵にサトウキビを送るとは……愚かな奴!!」

「そのボケ方はわざとだろ。サトウキビではなく、”塩”だぞ」

 イリカはポーションを一気飲みする。
 俺が毒を盛ったとか、少しは疑えよ……。
 いや、無理か。だって、バカだもんな。

「くははッ!! これで、魔力が戻った!!」

「さぁ、もう一度《黒焔の祝福フレイム・ベリアル》を放ってこい」

「ふッ、今度こそ殺してやる!!」

 イリカは天に手を掲げ、魔術陣を練ろうとするが──

「なッ!? 構築できない!! 何故だ!!」

「当然だろ。お前の”スキル”は俺が奪ったからな」

 俺は天に手を掲げ、魔術陣を構築する。
 そして────

「────《黒焔の祝福フレイム・ベリアル》、発動」

 魔術陣より現れたのは、漆黒の炎球。
 黒々と燃え盛り、存在するだけでコロッセオを焦すほどの熱気を放つ。
 全長約10メートル。圧倒的熱量と魔力を誇る。

「えぇええええ!! なんで劣等生が発動できるんだ!!」

「一族相伝で同じ公爵家とはいえ、アイツは何の才能も無いんだろ!?」

「しかも、イリカよりもずっと強力だぞ!!」

「すげぇ……スゴすぎるぜアルカ!!」

「そんな……なんで、あの劣等生が……アタシのイリカと同じ魔術を使えるのよ!!」

 観客達の認識も古い。
 俺は既に、劣等生ではないのだから。

「な、何……何故、何故劣等生の貴様が発動できる!? ワタシと同じ公爵家といえど、貴様にそんな才能は無いはずだ!!」

「何度も言っているだろう。お前の才能を奪ってやった、と」

「あ、あり得ない!! 劣等生の貴様如きが、あり得ない!! 虫けら同然の貴様如きが!!」

「父さんは俺には才能が無いと言ったが、あれは誤りだ。俺にも才能があったんだよ」

「ふざけるな! 劣等生の貴様に、才能などありはしない!!」

「俺の才能は、他人の才能を奪盗うばうことができることだ。そして、才能を奪われたお前は、俺と同じ劣等生に劣等生に成り下がったと言うことになるな」

「ふざけるな!! 適当なことを言うな!!」

「憐れな奴だ」

 俺は《黒焔の祝福フレイム・ベリアル》を掻き消した。

「ど、どういうつもりだ……? それに貴様……《黒焔の祝福フレイム・ベリアル》を制御できるのか……?」

「この程度、三輪車よりも制御が容易たやすい。そういえば、お前はこの魔術を制御できないと言っていたな?」

「黙れ! 劣等生の虫けらがァアア!!」

 錯乱したイリカは、魔術を発動しようとする。
 だが、既に俺が魔術スキルを奪っているため、発動は当然できない。

「な、何……!! 何が起きているんだ!!」

「理解力の無い男だ。さて、それでは俺の9発を浴びせてやろう」

 俺はイリカから奪った魔術を唱える。

「《下級の雷矢サンダー・アロー》」

「ぐあぁあああ! 痺れる!」

「《中級の氷槍アイス・ランス》」

「ぐあぁあああ! 冷たい!」

「《最上級の水球ハイドロ・ボール》」

「ぐあぁあああ! 溺れる!」

 イリカから奪った魔術は、どれも強力だ。
 だが……イリカがタフ過ぎて、イマイチ効いているかわからない。

「それは……ワタシの魔術!?」

「お、気付いたか?」

「あ、ありえない……貴様のような劣等生がワタシの魔術を扱えるなど、あり得ない!!」

「その通り。以前までなら、あり得なかったな」

「まさか貴様……、ワタシの魔術を奪ったのか!?」

「さっきからそう言ってるだろう」

「だが、魔術を奪うなど……聞いたことがない! 貴様、どうやってワタシの魔術を奪った!?」

「説明しても、理解できないだろう」

「返せ! ワタシの魔術を、才能を返せ!」

「はぁ……、愚かな男だ。こんなのが俺の実兄だなんて、恥ずかしい限りだ」

 ため息を吐きながら、イリカに近づく。
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