浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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32話:訪れた脅威

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異世界生活二十三日目



今日もいい天気。まさに洗濯日和だ。



昨日つくった石鹸を早速試してみる。



「やっぱり泡立ちが違うよね~……あれ? なんか水の勢いが弱い……」



チョロチョロ……ピチョ。

……止まった。



「ええ!? 水が出ない! オカちゃんが工事してるのかな?」



とりあえず、サワキさんに聞いてみようと沢のほうへ向かいながら声をかけた。



「サワキさーん!」



すると——



「メグミ! すぐに住処に入れ! 絶対に出てくるな! 急げ!!」



ものすごい勢いでサワキさんが走ってきて、念話で怒鳴るように叫んできた。



ただならぬ様子に戸惑っていると、すぐにコメちゃんズが現れて、私を抱えて運び始めた。



「え? え? な、なに!?」



ミコちゃんが私から飛び降り、仲間に指示を出している。



「メグミを住処へ! 陸のカニたちは周囲に伝令! 急いで!」



——グオオオオオオオオ!!



森の奥から、地響きのような咆哮が響いた。



あれが原因なの……?



住処に運び込まれた私は、すぐにオカちゃんたちが入り口を土で封鎖していくのを見た。



「メグミ殿! サワキさんによると、森に凶暴な獣が出現したとのことです。どうか、奥で待機していてください!」



「拙者は最後の砦になりますぞ! 万が一、皆がやられたら拙者が囮になって時間を稼ぎます。その間に逃げてください!」



ケイちゃんが真剣な目で言ってくる。怖いことを言わないでよ……。



「そんなのダメ! 私だって何かの役に立てるかもしれない!」



「メグミ殿が喰われてしまったら、拙者たちは生きていけません! お別れとはわけが違うのですぞ!」



……ケイちゃんの気迫に、思わず息を飲んだ。



「……わかった。住処で大人しくしてる。でも、わたしも召喚で何かできないか、試してみるから!」



私は土壁の隙間から、外の様子をそっと覗いた。



オカちゃん、ヤマトくん、ホリくんたちが、物凄いスピードで堀を掘っている。

一方、ガザ爺、ヤッシー、ワタルくんは森へ向かって突撃していった。



——グオオオオオオオオ!!



咆哮が、どんどん近づいてくる。



「うわっ! ワタルくんが……!」



吹き飛ばされて戻ってきたワタルくんだったが、すぐさま体勢を立て直して再突撃。



その直後、森の影から現れたのは——



あまりにも巨大なクマだった。



「ぐぬう……! こやつ、力が強すぎるうえに、わしらのことなど意にも介しておらん!」



「これ、メグミちゃんのとこ一直線じゃないっすか!?」



「そうか……あやつは、“強きもの”を求めているんじゃ! 今、最も魔力が強いのはメグミ。だから引き寄せられたんじゃな!」



「追い払うのは無理じゃ! ここで倒さねばならん!」



「でもガザ爺のギザギザも、俺のハサミも通じないっすよー!」



「ならば足を狙え! 少しでも動きを止められれば、ミコちゃんの“秘策”が活きる!」



「了解っす! 後ろ足に集中攻撃っすー!」



「どっせーい!!」



ガザ爺たちの攻撃が、クマの足を鈍らせる。

その勢いのまま、クマはオカちゃんたちが掘った砂の堀へと突っ込んで、足元を取られた!



「グオオオオ!!」



怒り狂ったクマが、ガザ爺たちを振り払い、堀を越えようとした——その瞬間!



「今だよ! みんな、力を集中して!!」



ミコちゃんの合図とともに、コメちゃんズが一斉に姿を現す。



そのハサミが真っ赤に熱し、無数の熱エネルギーが集束していく。



「ガザ爺たちが離れた今だ!——照射!!」



ズドオオオオオオオオン!!



巨大な収束熱線が、クマの胴体を焼き貫いた。



「グガアアア……オオオ……ン……」



クマは絶命した。



「メグミ殿! 拙者たちの連係プレーが勝ちましたぞ!」



「う、うん……でもあのクマ、私を狙ってたんだよね……。私がいなければ、こんなことには……」



そのとき、よろよろとガザ爺が土壁を崩して現れた。



「それは違うぞ、メグミ。あやつはただ、自然の摂理に従っただけじゃ。強きものを喰らい、より強くなるという本能にな」



「ならば、我らもあやつを“喰らう”のが礼儀というものよ。——感謝を込めてな」



「そっすよー! 今はこの勝利を祝って、焼きパとかやるべきっすー!」



……ヤッシーは本当に、いつもどこまでも明るいなぁ。



「クマの解体は私たちが綺麗にやります。準備が整ったら、調理しましょう」



傷だらけのワタルくんが静かに言い、仲間たちとともにクマへ向かっていった。



「みんな……私のために、本当にありがとう」



「メグミはみんなの女王様だからね!」



ミコちゃんが私の肩に飛び乗り、にこっと笑う。



「ええ!? 女王様って……それはさすがにまだ早いよぉ……」



「女王陛下! 拙者たちは、命ある限り尽くしますぞ!」



ケイちゃんまでノリノリだ。



「もうっ! 女王はなしっ!」



「ハハハ、よいではないか。メグミがこの集団の中心なのは、まぎれもない事実じゃからな」



「メグミ女王バンザーイっすー!」



気づけば、わたしはカニさんたちに胴上げされていたのだった。
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