浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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33話:美味しくいただこう!

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異世界生活二十三日目(続)



わたしたちは、森から現れた巨大なクマを倒した。



食べるためではなく、自衛のために命を奪うのは……やっぱり、なかなか慣れない。



「メグミよ、奪った命はわしらの血肉にするのが礼儀じゃ。美味しくいただこうではないか」



「うん、そうだよね。でも、クマなんて食べたことないんだよね」



「拙者も当然ありませんぞ!」



「こんな大物、食べたことあるやついないっすよー」



「勝さんならあるかも。岩よりおおきいし」



「王は陸の生き物は食わんのじゃないかのう……」



「えり好みするタイプだった……」



「メグミさん!胴体の焼けてない部分を解体してきました!」



ワタルくんが、新鮮なクマ肉をえっさえっさと運んでくる。



「ちょ、血が滴ってる……!」



「とりあえず焼いてみよう!」



石板プレートを加熱して、少し油をひく。



ジュワ~ッ。



「きちんと火を通さないとね」



両面をしっかり焼き、塩を振る。ヤッシーがフレッシュなヤシ油を絞って添えた。



クマ肉の塩焼きが完成!



では、実食!



パクリ、モグモグ……



「うーん! 脂の甘みがスゴイ!美味しい!……でも、ちょっとかたいし、少し臭みがあるような……」



「そうですかな?拙者は塩なしですが、ものすごいエネルギーを感じて美味しいですぞ!」



「ふむ、たしかに栄養価は高いが、メグミの違和感もわかるのう」



「なんというか、“焼く”のが合ってない気がするなあ」



「じゃあ、煮てみようかな。お肉、まだあるよね?」



「山のようにあります。皆で食べても、まだまだ残りますよ」



「しばらくクマ肉だね。いい調理方法を見つけなくちゃ」



というわけで、クマ肉を鍋に入れて煮る。



ぐつぐつ。



よく火が通ったのを確認して……実食!



「うーん……なんか足りない。お肉自体は美味しいけど、煮物としては味がぼんやりしてる……」



「たしかに、焼いたほうがうまみがガツンと来た気がするのう」



「……ガザ爺、ここって南国だよね?」



「何を今さら言うんじゃ……まさか」



「香辛料を探しに森へ行こう! あと、スズメバチもいたから蜂蜜も探そう!」



「今、森からクマが出てきたばっかりじゃろ!?」



「うーん……でも、あのクマはあっちの方から来たし、多分だいじょ……ぶ、かなって」



「物怖じせんのう……」



「今すぐじゃなくて、明日、みんなで行こうと思ってるから」



「俺は全然オッケーっすよー! でも香辛料ってなんすか?」



「ピリッとしたり、いい香りがしたりする植物だよ。ここならコショウとかハーブとか、ありそう!」



「ってことは、食べられるかどうか、調べないといけないっすよね?」



「そうだね……あ! こないだ洗濯してた時にいたスベスベマンジュウガニさん、毒の判別ができるっぽかった!」



「ミコちゃん、スベスベマンジュウガニさんを探してきてくれる?」



「わかった!すぐ見つけてくるね!」



ミコちゃんは、コメちゃんズと一緒に磯へダッシュ!



しばらくして──



「私を探していたと聞いたが、何用かな?」



「はい。わたしたち、森へ香辛料を探しに行こうと思っているんです。でも、どれが毒かわからなくて……スベスベマンジュウガニさんの力をお借りできたらと」



「ほう。森の毒物採取か。私一匹では危険極まりなくて行けなかったのだが、君らと一緒なら、たくさん見つけられそうだな」



「毒物を探してるわけじゃないんですけど……」



「だが刺激物は大体、毒物でもある。私の需要も君らの目的も、同時に満たせる。そうだろう?」



「た、たしかに……」



「それから、“スベスベマンジュウガニ”という名前は少し長い。呼びやすい名前を希望する」



「えーと……じゃあ、“ベススさん”でお願いします!」



「ふむ、“ベスス”か。いいね。私の甲殻を表しているようだ」



こうして、わたしたちはスベスベマンジュウガニの“ベススさん”を新たに仲間に加え、香辛料探しの旅へと出発するのだった。
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