浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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47話:ダンジネスクラブ

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異世界生活四十一日目



出汁を取ることに成功したことで、日本人として次に欲しくなるのは――そう、お米だ。



「なんとかしてお米作れないかなあ、ミコちゃん」



「うーん……とりあえずイメージを共有して、“お米”ってやつを探してみるよ」



ミコちゃんが出発しようとした、そのとき。



「メグミ様!」



ナイトくんが慌てた様子で駆け込んできた。



「力の一族が、青の一族の住処を襲撃しました!青の一族の者たちは追われて、こちらに向かっています!」



「えぇ!?ブルークラブさんたちは無事なの!?」



「はい、最初から数で劣っていたため、現地のリーダーが即座に撤退を判断。ケガ人も犠牲者も出ていません」



「うーん……やっぱり力の一族は、“力こそ正義”って感じなんだよね……」



「その通りです。彼らは自分より強い者の言うことしか聞きません。もしこちらに来れば、衝突は避けられないでしょう」



「なんとか、ケンカせずに力を示す方法……あっ、そうだ!」



メグミはひらめいたように叫んだ。



「ヤッシー!ヤシの木をきれいに倒して、丸太にして持ってきてくれる?」



「わかったっす!……でも、それ何に使うんすか?」



「“丸太引き”をするんだよ!綱引きの代わりに、丸太を引っ張り合って勝負するの!力で勝負はするけど、誰も傷つかない方法!」



「なるほどのう。膂力りょりょく勝負を平和的にやる、か……わしは賛成じゃ」



「でも、相手は数が多いんですよね?こちらは青の一族とワタリガニ族、合わせて対抗する必要があります」



「だったら俺たち土木チームも行くぜ。体はでかいし、見た目だけでも威圧になるだろ」



「拙者は留守番でもよろしいでしょうか?また襲われたら――」



「最初から全員で行けば、住処を守る必要はないでしょ!しかもケンカじゃなくて、勝負しに行くんだよ?」



「モクさんたち海のカニさんたちは、海に避難してもらえばいいしね」



「なんか……昆布を取りに行ったときより大行列になりそうですね」



「うぅ……また、隊列組まなきゃダメなの……?」



「当然です!メグミ様が主であることは、しっかりアピールせねばなりません!」



「やっぱり、ダメなんだ……」



こうして、私たちは総出でブルークラブさんたちの住処へと向かうことになった。丸太を携えて――。



到着すると、そこには大柄なカニたちが闊歩していた。



【ダンジネスクラブ】

・イチョウガニ科。アメリカ西海岸を代表する大型のカニ。

・甲幅20cm超。砂底・泥底に生息。

・甘みのある繊細な身で、北米では高級食材とされている。



「うわぁ……カニペディアだ。ブルークラブさんと、私の世界では反対の海岸にいるカニなんだ。不思議……そして、やっぱり美味しいんだね……(食べないけど)」



「ん? 敗北者の青の一族が何の用だ?」



「力の一族よ!お前たちは、我々の留守を狙ったに過ぎない。こちらが現在の全戦力だ!」



ズラーーーッ!



「ぬっ!数だけは合わせてきたか。しかしその程度で我々が怯むと思うなよ!」



ダンジネスクラブの戦士がハサミを掲げ、今にも飛びかかりそうだ。



「待って!あなたたちは“力がすべて”っていうんでしょ?だったらこの丸太を引っ張って、どっちが強いか勝負しようよ!ハサミでケガする必要はないよ!」



「……妙な生き物が妙な提案をしてきたが、“力比べ”なら断れん。代表を選んでくる。少し待て」



「結構うまくいきそうかも!」



「いえ、メグミ様。ここからが重要です。我々は数で優っていましたが、“代表戦”となると優位性がなくなります」



「でもガザ爺とヤッシーがいれば問題ないよ!オカちゃんも力あるし!」



「確かに……でも、それでは“メグミ様が強者を使っている”という構図になり、納得しない可能性もあります」



「……じゃあ、私も一番後ろで丸太引っ張る!」



「いや、それは無茶では……」



「でも、わたしワタルくんより力あるよ?」



「……たしかに、こないだ引きずられてたのお」



「うっ……あれは油断しただけです……メグミがとんでもなく強くなってるだけですから!」



「フフフ、ワタルくんも拙者と似たポジションになってきましたな~」



「ケイちゃんもちゃんと引っ張ってね?」



「いや拙者はその、あの、責任重大ですし……」



「体がでかいんだから大丈夫!」



「おい、こちらの代表が決まったぞ。10対10でいいな?」



「問題ないよ!この線を越えたら勝ちってルールね!」



「よし!我ら力の一族の力、見せてやる!」



「開始の合図は僕がやるね! よーい、はじめっ!」



「どっせーーーーーい!!」



ヤッシーが凄まじい勢いで丸太を引く!

相手も必死に耐えるが、ズルズルと引きずられていく――!



わたしはつまずかないように、後ろで懸命に踏ん張った。



ズズズズズーッ!!



「勝負あり!メグミたちの勝ちだよ!」



「ば、馬鹿な……我々の力が通じないだと……」



「ダンジネスクラブさん。わたしたちの力、分かってくれた?」



「ああ……完敗だ。この場所は明け渡そう。不思議な生き物よ。お前がこの強者たちを束ねているのか?」



「うん、わたしはメグミ。なんだか分からないけど、この集まりのリーダーやってるよ!」



「ならば、我らもその集まりに加わらせてくれないか?青の一族のように、さらなる力を得るために」



「え? 全然かまわないけど……大丈夫なの?」



「ここに連れてきた仲間は、今の勝負で納得している。残っている者より、今ここにいる方が力に優れている。説得は容易い」



「じゃあ、ダンジネスクラブさんたちのリーダーは、あなたでいいの?」



「ん? ああ。俺が一番の戦士だ」



「ふふん、じゃあ……あなたは“センシくん”ね!」



「呼び方をつけるのか。面白い風習だな」



「うん!これからよろしくね、センシくん!」



こうして、私たちはブルークラブさんたちの住処を奪還し、



さらにダンジネスクラブさんたちを仲間に加えることに成功したのだった。
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