浜辺のスローライフ~カニさんたちとの異世界生活日誌~

かにすごくうまい

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76話:徹くんの電撃炉

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異世界生活七十日目(続)



ズシン、ズシン。



徹くんと一緒に窯業エリアに来た。



「うわ!なんか揺れると思ったら、徹さんかい。ここには縁のなさそうなカニな気がするんだが」



「ヤマトくん。徹くんは金属の加工を手伝ってくれるの。お鍋の鋳型出してくれる?」



「金属って言うと、あの揚げ物ができる素材か。たしか材料も火力もないから、足踏みしてたやつだな」



「そうそう、さっきキワミくんとアッシーくん達が材料を取ってきてくれたの」



「それがこれだ」



ズシーーーン。



丸めた金属塊を徹くんが置いた。



「ははあ、これが金属か、徹さんの体と似てるな」



「俺の体はこんなショボい強度じゃないけどな。まあ金属という点では一緒だ」



「この金属塊をガラス溶鉱炉で溶かすんだって」



「ええ!?あれはガラス用で金属には対応してないぞ!」



「まあ、試しだ。ちょっと小さい金属塊を溶かすだけだから大丈夫だろ」



徹くんは、そういうとしばらく稼働していなかった、ガラス溶鉱炉に小さい金属塊をセットする。



「メグミ様」



「なあに、キワミくん」



「徹様はああ言っておりますが、大変大雑把な方です。ガラス溶鉱炉がギリギリ見える位置まで退避して、見守った方がいいかと。そちらの職人カニの方々も、お下がりすることをお勧めします。」



「それは……つまり危ないってことだよね?」



「有体に言えばそうです」



「徹くんガラス溶鉱炉壊さないでね!」



「メグミ。安心しろ少し俺からすると、サイズが小さいが、丁寧に扱う」



徹くんはそういうが、一応キワミくんがとても心配そうなので、ヤマトくんたちとギリギリガラス溶鉱炉が確認できる位置に下がる。



「全く心配性な奴らだぜ、俺の実力を疑いやがって」



ぶつぶつ言いながら徹くんがハサミに紫電を纏わせて溶鉱炉に突っ込んだ。



ドガーーーーーーーーン!!



ガラス溶鉱炉と前に置いていた鋳型が粉々に吹き飛んだ!



ススッ。



キワミくんが素早く私の前に移動し破片を防いでくれる。



「やはりこうなりましたか……」



「キワミくんわかってたならなんで止めなかったの……」



「徹様は私が言って聞くような方ではないので」



「ああ、ガラス溶鉱炉が……」



ヤマトくんは放心状態だ。



「メグミ!お前のところの溶鉱炉めちゃくちゃ脆いぞ!」



「徹くんが力加減わかってないからでしょ!ヤマトくんなんか放心状態なんだからね!」



「う、す、すまん、キワミくん!ズワイガニどもを集めて溶鉱炉を作り直すぞ!」



「かしこまりました」



キワミくんは素早く海に入りすぐにズワイガニたちを連れてきた。



キワミくんが素早く指示を出すと規律の取れたズワイガニの集団が一気に溶鉱炉を作り出す。



「ミコちゃんがイメージ共有してるわけでもないのに、凄い勢いでつくるんだねえ」



「なんだかよくわからねえが、あいつらも土木チームに入ってくれねえかな」



オカちゃんがキラキラした目でズワイガニたちの作業を見ていた。



「形はできたな。仕上げは俺の装甲を溶接する」



バキッバキッ!バチバチッ!



徹くんがおもむろに自分の体を毟り、溶鉱炉の外側に電撃を使い溶接していく。



「徹くん!痛くないの!?」



「ん?装甲の表面毟ってるだけだから平気だ。すぐ治るしな。お前たちの大切なものを壊しちまったわけだからこれくらいはしないとな。まあ今度は俺の装甲使ってるから吹き飛ぶことはないだろう」



「徹様が、他者の物を補填するなどということは、大変珍しいことですよ」



キワミくんがこっそり補足してくれた。



「で、ヤマトくんだったか、鋳型はまだあるのか?」



「あ、ああ、鍋型は複数作ってあるからまだあるぞ」



「またセットしてくれ、今度はバッチリ鉄鍋を作ってやる」



ヤマトくんが手際よく鋳型をセットすると、徹くんが金属塊を炉の中に入れて電撃を放つ。



ズガーーーン。



凄まじい電撃が炉の中を駆け巡ったが、今度ははじけ飛ばず、中から真っ赤になった金属が流れ出す。



鋳型に注がれ、少し溢れた。



「少し金属の量が多かったか」



どこからともなく集まってきたコメちゃんズ達が鋳型を冷却する。



パカッ。



冷やした鋳型を開けるとそこには見事な鍋が出来ていた。



「余分な金属は切り飛ばして、と。これで使えると思うぞ」



ズシリと重い金属鍋を手渡される。



「溶鉱炉を壊された時はどうなることかと思ったけど……徹くんありがとうね!」



「ま、まあこれくらいは俺には朝飯前だ、なんかあったらまた俺に言うんだぞ!」



バシャーーーーン!!



なぜか徹くんは高速で海に潜っていった。



私の手元には金属鍋そして窯業エリアには徹くん色の新しい溶鉱炉がそびえたつのであった。
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