闇堕ち騎士と呪われた魔術師

さうす

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17.再会

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「暗くなったな」

 雪の森を歩き続けて、気がつけばすっかり夜になっていた。

「今日は野宿だな」
「こんな森の中で野宿? 危険だぞ」
「ああ。だから、交代で仮眠をとるんだ」
「こんな寒いところで寝たら死なねえかな」
「焚き火をしよう。ランスロット、木の枝を拾ってきてくれ」
「分かった」

 俺は枝を集めてマーリンの元に持ってきた。
 すると、マーリンは倒れた木に、木の枝を立てて擦り付けた。

「摩擦で火をつけるってことか?」

 そう簡単にはつかないだろうと思っていたのだが、マーリンは圧倒的なパワーと素早さで木を擦り、あっという間に火をつけてしまった。

「すげえな……」

 パチパチと燃える火を眺めながら、俺たちは木のそばに腰を下ろした。

「ランスロット、先に寝ていいぞ」
「ああ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
「膝枕をしてやろう」
「え」

 俺はマーリンの膝の上に無理やり寝かしつけられた。

「なんか、お前の足、ゴツゴツしてて眠りにくい……」
「すまないな、我慢してくれ」

 マーリンは子どもを寝かせるときのように俺の頭を優しく撫でた。こんな寒い森の中だというのに、マーリンがそばにいるとなんだか安心して、俺はいつの間にか眠りの中に落ちていった。


 目が覚めると、もう夜明け近くになって明るくなってきていた。

「おはよう、ランスロット」
「ごめん!! 寝過ぎた……!」
「俺は睡眠時間が短くても平気だから、気にするな」
「本当か……?」

 気を遣って言っているだけじゃないかと思ったが、思い返すと、確かにマーリンはいつも俺より早起きだった。

「とにかく寝ろ! 膝枕してやる!」
「いや、結構だ」
「……は? なんでだよ」
「理性が飛ぶ」

 マーリンは俺の肩にもたれると、静かに目を瞑った。俺はしばらくぼんやりとマーリンのつむじを眺めていたが、ふとやましい気持ちが湧いて、そっとマーリンの手に触れてみた。マーリンはすぐに眠ってしまったようで、反応はなかった。俺はドキドキしながらその手を上から握ってみた。それでもマーリンは起きる気配がない。マーリンの手を取り、そっと唇を近づけようとしたそのとき、

「ランスロット様!」

と声が聞こえた。

「ジャンヌ……!?」

 俺は慌ててマーリンの手を離した。
 そこには、マントを纏った少女と、修道服を身につけた女性と、魔族たちがいた。

「えっと、彼女たちは……」
「彼女は私の知り合いのシスター、彼らは元魔王軍の魔族たちです」
「ああ、知ってる」

 シスターは、魔物討伐に訪れた教会で会ったし、魔族たちは城で出会った兄弟、カインとアベルだ。だが、この面子が一緒に雪の森にいる理由が分からない。

「実は、王子が護衛騎士数名とともに失踪しまして……。王子を探すための聞き込みの最中、魔術師の彼女と出会い、協力してもらっていたのですが、そうしたら、王子が魔王の支配地域へ向かったという情報が入ってきまして、それで、元魔王軍の彼らに案内をさせていたのです」
「なるほどな。……王子はおそらく魔王軍と何らかの繋がりがある。ひょっとすると、魔王城へ向かったのかもしれねえ」
「ええ……。私もそう思います。ランスロット様が倒した魔王軍の魔術師の死体を見ました。魔王が復活し、動いているのは明らかです。ランスロット様も狙われているようですね」
「いや……正確には、狙われているのはマーリンだ。魔王は俺と話をしたがってるらしい」
「話を?」
「詳しいことは俺にも分からねえが……とにかく、俺とマーリンは魔王城へ向かう。王子のことも何か分かるかもしれない」
「それでは……私たちも同行して良いですか、ランスロット様。仲間はひとりでも多い方が良いでしょう」

 そう言われ、俺は頷きつつ、どこか寂しい気もしていた。マーリンとふたりきりの旅はここで終わりなのだと。

「……この前は、何も知らず、ランスロット様のご主人に無礼な口を利いてしまい、すみませんでした。私は彼が魔術師だというだけで、彼が悪だと決めつけていた」
「それはマーリンに言ってやってくれ」

 俺はそう言って、ジャンヌたちの顔を見上げた。

「俺たちと一緒に魔王城まで来てくれるのは構わないが……魔王城は危険だ。一度魔王と戦った俺には分かる。だから、魔王には俺とマーリンだけで会う」
「私が魔王よりも弱いからですか?」
「そういうことじゃない。ただ……俺たちの復讐に、巻き込みたくない」
「……分かりました。でも、できる限り、ランスロット様の力にならせてください」
「ああ」
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