闇堕ち騎士と呪われた魔術師

さうす

文字の大きさ
21 / 25

21.魔王城へ

しおりを挟む
 俺とマーリン、ジャンヌ、カインとアベルは魔王の城に向けて教会を出発した。シスターは『閃光の魔術師』の怪我の手当てのために教会に残った。

「ランスロット様……お身体はもう大丈夫ですか?」
「ああ……」

 目を泣き腫らしているのが恥ずかしくて、ジャンヌと視線を合わせられなかった。

「まさか騎士様とマーリンがデキてたとはねぇ。騎士様、マーリンに抱かれたの? 気持ちよかった?」
「やめなさい、アベル。騎士様は今、傷心中なんですから」

 カインとアベルは面白そうに笑い合っていて、相変わらず俺のことを心配する気なんて微塵もないようだが、かえってその方が俺にとってはよかった。
 町にいる魔術師たちは、俺たちに冷たい視線を浴びせてきたが、攻撃はしてこなかった。俺が既に襲ってきた魔術師たちを殺しているため、警戒しているのだろうということは推測できた。時折現れる魔物を何体か倒して、俺たちは城が見えるところまでやってきた。
 魔王の城は結界が張られ、禍々しい雰囲気を放っていた。

「あの結界は、どうやって破るのですか?」

 ジャンヌの問いに、俺はあいつと魔王城に乗り込んだときのことを思い返しながら答えた。

「あの結界は見た目に反して、意外と脆いんだ。魔法を使って破ろうとすると破れないが、剣で傷つけるとあっさり破れる」
「それで城の警備としては大丈夫なのですか?」
「魔王の領地に住む魔術師は自分の魔法に自信を持っている。魔法を使わずに結界を破るっていう発想がないんだ。一方で、魔法の使えない人間は侵入したところで、城の内部にいる魔術師が簡単に魔法で殺すことができる」
「なるほど……」

 そんなことを話しながら、俺たちはついに城の麓までやってきた。石造りの大きな城の前に立つと、自然と緊張感が漂った。
 すると、城の周りを覆っていた結界が、ひとりでにスーッと消えていった。そして、大きな門がギギギ……と音を出しながら開いていった。

「魔王は騎士様を歓迎してるみたいだね」
「……そうみたいだな」

 俺は剣を握りしめて、城の中に足を踏み入れた。城の明かりがその瞬間にふっと灯った。
 ピチャ、と俺のブーツが何か濡れたものを踏んだ。
 そこには、血まみれの人間がゴロゴロと転がっていた。それは、俺のいた騎士団の仲間たちだった。

「なんだ、これ……」

 いや、動揺している場合じゃない……俺は屈んで騎士の脈を調べた。

「まだ生きてる……」

 俺は振り返って叫んだ。

「ジャンヌ!! 早くこいつらの手当てを!!」
「分かりました……! カイン、アベル、手伝ってください!」
「えー、なんで?」
「報酬なら出しますから……!」
「本当? 約束だよ?」

 ジャンヌ、カインとアベルが騎士たちを運んで城の外に出している間に、俺は階段を上って、かつて魔王と戦った部屋に向かった。

「ランスロット」

 呼ばれて反射的に振り返ると、俺の後ろにマーリンがついてきていた。

「なんだよ」
「ひとりでは危険だ。俺も行く」
「……勝手にしろ」

 魔王の部屋の前に着くと、扉の隙間から、赤い血が漏れ出していた。
 慌てて扉を開け放つと、足元に、男が倒れていた。

「シャルル王子……!?」

 俺を散々嬲ってきたあの王子だ。魔王と何かしらの繋がりがあるとは思っていたが……。

「もう手遅れだ」

 マーリンが冷静に告げた。俺はゴクリと唾を飲んで、顔を上げた。
 王子の死体を避けて、部屋の奥へと進む。
 シャンデリアの明かりがついて、部屋の奥の玉座が露わになった。
 その玉座の前にひとりの青年が立っていた。

「やっと会えたね、ランスロット!」

 その青年は、キラキラと眩しいほどの笑顔でそう言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

朝目覚めたら横に悪魔がいたんだが・・・告白されても困る!

渋川宙
BL
目覚めたら横に悪魔がいた! しかもそいつは自分に惚れたと言いだし、悪魔になれと囁いてくる!さらに魔界で結婚しようと言い出す!! 至って普通の大学生だったというのに、一体どうなってしまうんだ!?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

処理中です...