なぜか軟禁されてました〜脇役はどうしたらいいですか〜

涙乃(るの)

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第一部

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ーコンコンー

ノックの音がする。

『はい。今開けます』

扉を開けるとカイン様が立っていた。

「やぁ。リィーン。変わりはないか?」

社交辞令とは分かっていても、私のことを気にかけてくれるのは嬉しい。

『はい。大丈夫です。カイン様もお元気そうでなにより。どうぞ』

私達はいつも通り小さなテーブルを挟み、向かい合わせで座る。

ふと思い出し、コップを取りに行く。

「お水をどうぞ」

テーブルにお水の入ったコップを置く。

「リィーン、昨日頼み事を引き受けてくれたので、今日はお礼といってはなんだがクッキーを持ってきた。」

『クッキー…?』

クッキーなんて見たことない。

「お皿は…」
カイン様は食器棚に向かう。慌てて私も後を追った。

「このお皿を借りてもいいか?」
カイン様は、食器棚からお皿を取り出していた。

『は、はい。どうぞ』

「ありがとう。では借りる」

微笑みながらお礼を言うカイン様に、ドキッとした。

改めて向かい合って座った。
お皿に並べられたクッキーをみて、思わず笑みがこぼれる。

「食べられるだけ食べるといい」

『ありがとうございます。いただきます。』

私はさっそくクッキーを1枚口に運ぶ。

『美味しい』

サクッとした食感で、思わず笑顔が溢れる。

「そうか。おいしいか。リィーンが笑ってくれて良かった。」

私が喜ぶ姿を、微笑みながら見つめてくるカイン様。
カイン様の視線を感じて、恥ずかしくなって俯いてしまう。

私は、気持ちを誤魔化すように、黙々とクッキーを食べていた。

クッキー。
お菓子なんて食べられるとは思っていなかった。
私には、贅沢品。

カイン様にとっては、なんでもないことなのだろうけど。

さり気ないカイン様の優しさが、嬉しくて、また涙がこぼれていた。

涙を隠すように、ずっと下を向いて食べていた。


カイン様は、そんな私を複雑な気持ちで見つめていた。

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