呪われた?旦那様、お約束通り半年が経ちましたので離縁させていただきます〜不遇な令嬢エリーが溺愛されるまで〜

涙乃(るの)

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「アンディ、ここを見て!」

「ん?どうしたエリー」

「ほら、ここ、この辺り。ちょっと芽が出ているでしょ? ね?ね?ふふ、よかったわ。これで欠点は免れそうね。」

「あぁ、ほんとだ。エリー。一時はどうなるかと思ったよ。このまま順調に育つといいね」

「えぇ、良かったわね」

「…」
「…」

私達は、学園の課題で2人でペアとなり “コダ”というこの国特有の花を育てている。

コダは芽が出るまでの手入れが難しいが、水の量、時間など毎日目安とされている分量や時間をきちんと守れば必ず芽が出る。逆にちょっとサボったりすれば全く芽が出ない。

だからこそペアとなった者との協力が不可欠となる。一人で育てるには日々の負担が大きい。協調性を育む目的もこの課題の一環だ。

芽がでれば、この花は余程のことがない限りは順調に育ち、赤、ピンク、青などの花を咲かせる。

何色が咲くかは分からない。

色によっても評価が左右されると言われている。何色が得点が高いとは教わっていないけれど。

この課題が学園での最後の授業となる。

このコダが咲く頃には私達は卒業を迎える。

アンディと私は腐れ縁とでもいうのか、学園でほとんど同じクラスだった。

アンディは学園卒業後、騎士として入団が決まっている。
彼は子爵家の長男なので、何年か勤めたのちに爵位を継ぐ。

この国では兵役が課せられており、伯爵家以上の家柄でない限り、例え貴族でも騎士として兵役を務めなければならない。

平民は騎士見習いから務めることになるので、貴族よりも兵役期間が長い。
功績を上げたものは本人の希望も考慮して、期間を繰り上げたり、そのまま騎士として勤めたりすることも可能だ。

一方女性は、20歳までの結婚が義務付けられている。結婚することによって魔力が安定すると言われている。女性は魔力の暴走を防ぐ為に遅くとも20歳までには結婚しなければならない。

男性の兵役を終えてから結婚するもの、兵役の前に結婚するもの、その割合は半々だ。

必然的に学園の卒業する頃までには婚約者がいるものが大半を占める

私もアンディも明確な婚約者はまだ決まっていない。

恐らく、私は政略結婚の道具としてどこかに嫁がされる…

もしくは既に決まっているのかもしれない

私が知らないだけで


そういう家だから…


気軽にこうして話せるアンディを慕っていないと言えば偽りになる

そう、私はアンディに好意を寄せている


昔からずっと


まぁ他に親しく話す男性がいないというのもあるけれど、

彼が傍にいてくれるだけで胸がいっぱいになる


でも…

我が家は伯爵家


家格を何よりも重んじる父はアンディの存在なんて認めてくれない


一度我が家にアンディを招待した時


アンディが子爵家だと知ると、まるで自分とは住む世界が違うとでも言わんばかりの態度だった


あの時のなんとも言えないアンディの表情が心から離れない


それ以来アンディを家に招くことはしなかった


父からは「自分の品位を落とすような相手とは付き合わないように、

ラングトン家の名を穢すことがないように」

とことあるごとにその言葉を私に降り注ぐ


一体父の言う品位って何なのか…






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