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【別れ】10歳
第9話
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自宅に戻ってきたガロンをユウトはご飯を作って出迎えた。
この地区で唯一の仕事が出来ない以上、
お世話になっていることを自覚しているユウトには
何もしないのは意に反していた。
今日も定例通り、ガロンとともに晩御飯を食べ、
後片付けをし、床についた。
「精霊さま、いるんでしょ?」
一人で鍛冶工房という名の自室で
唸っていたガロンは虚空に呼びかけた。
【もうそろそろ限界かい?】
どこからともなく頭に響いてくる声が聞こえ
光が目の前で集まり、見慣れた姿に変わった。
「すいません、先祖からの御恩があるのは重々承知なのですが
いかんせん子供らが怖がってるもんで・・・」
【いいんだよ。
こちらこそ無理を言ってすまないね。】
実はフォロン族の地にも教育という制度はある。
なぜなら先の件で地上世界に行く際、
地上での文化や金銭事情、その他必要な知識を教えるのに
集団行動という地上で見た光景はとても取り入れるべきだと
当時のフォロン族は学んだからだ。
ただ、種族の違いを受け入れられなかった
フォロン族に配慮して、シャルがユウトに教えなかった。
「謝らんでください。
子供らを言い訳にして、大人たちが怖がってるのも事実です。
俺には子供も弟子もいませんが、こんなに可愛げがあるのに、
扱いが可哀そうで仕方ねぇ。」
憂いた表情のガロンが苦し気に言葉を伝える。
【そんな風に君が思ってくれるだけで
あの子も浮かばれるよ】
「ところで、地上は大丈夫なんですかい?
3年程経ったとは言え、まだ危ない事には変わりないんでしょ?
どこか宛てはお考えで?」
【途中迂回はする予定だけど
フェデラール連邦へ向かおうと思うんだ。】
「ということは本格的に?」
会話からその後の展開を予想したガロンであったが、
思惑は外れた。
【それもあるけど、どちらかというなら交流のほうが目的かな?】
首を傾け、頭の整理が出来なかったガロンは尋ねる。
前にいるシャルは優し気な表情で答えてくれた。
【あの子はあなたが居てくれたけど、
同年代の交友関係は乏しいからね。
封印する前はどちらかというとお気楽なほうだったんだ。
友達も欲しかっただろうが、妙に聡かったせいで領地の子供らとは距離を取っていたらしい。
強いて言うならば、屋敷のお世話係に一人同い年が居たぐらいだろうか。
それでもやはり立場というものがあったから、そこまで友好的にはならなかったみたいだ。
ほとんどがエウから聞いた話だけど、少しは一緒にいたからね・・・
そんな気はするよ。】
「聡いのは分かりやすが、お気楽ですか。
今とは全然違ったんですね。
見て見たかったな・・・」
どこか遠い目の先には、拾ってから今まで一緒に居た生活を思い返し、
少し感傷に浸るガロン。
その表情はいつもの彼からは想像できないぐらいに穏やかであった。
【そう思えるなら君ももう立派な人の親だよ。】
「からかわんで下さい。
俺にはそんな資格はないですよ。
そんな事より出立はいつ頃のご予定で?」
そんなことをシャルに言われたガロンは慌てて顔を戻し、
話をそらした。
【どうだろうね?
ほのめかそうとは思うが、なるべくあなたの迷惑にならない程度には
早くするつもりだよ。】
「特に決まってなければ少し待ってもらいやせんか?」
【何かあるのかい?】
「いつかこういう日が来ることは分かってました。
特に俺の身長を超えた日から。
今あの子の装備品を手が空いた時に作っているんですが、
もう少しで出来そうなんです。」
立派な口髭を触り、恥ずかしさを隠そうとするも、
その顔はどこか誇らしげであった。
【ふふっ
やっぱり君は立派な父親だよ。】
「お恥ずかしい限りで。」
両者の表情は話の始めからは想像出来ないほど
穏やかだった。
次の日、
朝食を終え、ガロンはいつも通り工房へ向かっていき、
後片付けをするユウトの足元にふわりと光が集まった。
「いきなり現れてどうしたのシャル?
ガロンさんに見つかっちゃうよ?」
シャルの事は、似たような生き物がこの集落で見たことが無かったので
ガロンさん含めて、話さないようにしていたのだが、
こんな風に来るなんて珍しい。
【少し話があるんだ。】
「改まってどうしたのさ。部屋に行けばいい?」
【待ってるよ。】
用件だけ伝えられ、さっさと消えてしまったシャルの後を追うように
僕は急いで片付けをした。
「それで、どうしたの?」
部屋に入るとベッドの上でシャルが鎮座していた。
僕は隣に座り、話を振った。
【そろそろここで出来ることも少なくなってきたから
上に上がろうと思うんだ。】
「うん・・・それは嬉しいんだけどさ、
絶対他に何かあるよね。
いくら何でも唐突すぎるよ。」
【・・・頭が回るのはいい事だけど、
あまり勘繰るのは良くないよ?】
「そういう言い方するってことは何かあるんだね?
・・・それでいつ出発した方がいいの?」
気になることはあるが、シャルが話さないってことは
正直気分はいいものじゃないけど僕が知らなくてもいい事だっていうのが
今までの事だった。
それに聞いたところで一度として教えてくれたことは無かったので
すぐに諦めた。
【・・・物分かりが良すぎるのも考えものかね。】
どういう意味なんだろう?
あまり困らないようにしているつもりなんだけど。
【まぁいいや
またその時になったら伝えるよ。
それまで私は少し離れるから、
怠けるんじゃないよ。】
「分かったよ。」
それを伝えるとシャルは霧散していった。
「いつも思うけどシャルって一体なんなんだろ?
パっと表れて、スッていなくなるし。」
毎回不思議に思う事だけど、考えても仕方ないし、
それよりもガロンにお別れを伝えないとなぁ
まぁ前日でいいかな。
そう思いながらいつもの日常に戻っていった。
この地区で唯一の仕事が出来ない以上、
お世話になっていることを自覚しているユウトには
何もしないのは意に反していた。
今日も定例通り、ガロンとともに晩御飯を食べ、
後片付けをし、床についた。
「精霊さま、いるんでしょ?」
一人で鍛冶工房という名の自室で
唸っていたガロンは虚空に呼びかけた。
【もうそろそろ限界かい?】
どこからともなく頭に響いてくる声が聞こえ
光が目の前で集まり、見慣れた姿に変わった。
「すいません、先祖からの御恩があるのは重々承知なのですが
いかんせん子供らが怖がってるもんで・・・」
【いいんだよ。
こちらこそ無理を言ってすまないね。】
実はフォロン族の地にも教育という制度はある。
なぜなら先の件で地上世界に行く際、
地上での文化や金銭事情、その他必要な知識を教えるのに
集団行動という地上で見た光景はとても取り入れるべきだと
当時のフォロン族は学んだからだ。
ただ、種族の違いを受け入れられなかった
フォロン族に配慮して、シャルがユウトに教えなかった。
「謝らんでください。
子供らを言い訳にして、大人たちが怖がってるのも事実です。
俺には子供も弟子もいませんが、こんなに可愛げがあるのに、
扱いが可哀そうで仕方ねぇ。」
憂いた表情のガロンが苦し気に言葉を伝える。
【そんな風に君が思ってくれるだけで
あの子も浮かばれるよ】
「ところで、地上は大丈夫なんですかい?
3年程経ったとは言え、まだ危ない事には変わりないんでしょ?
どこか宛てはお考えで?」
【途中迂回はする予定だけど
フェデラール連邦へ向かおうと思うんだ。】
「ということは本格的に?」
会話からその後の展開を予想したガロンであったが、
思惑は外れた。
【それもあるけど、どちらかというなら交流のほうが目的かな?】
首を傾け、頭の整理が出来なかったガロンは尋ねる。
前にいるシャルは優し気な表情で答えてくれた。
【あの子はあなたが居てくれたけど、
同年代の交友関係は乏しいからね。
封印する前はどちらかというとお気楽なほうだったんだ。
友達も欲しかっただろうが、妙に聡かったせいで領地の子供らとは距離を取っていたらしい。
強いて言うならば、屋敷のお世話係に一人同い年が居たぐらいだろうか。
それでもやはり立場というものがあったから、そこまで友好的にはならなかったみたいだ。
ほとんどがエウから聞いた話だけど、少しは一緒にいたからね・・・
そんな気はするよ。】
「聡いのは分かりやすが、お気楽ですか。
今とは全然違ったんですね。
見て見たかったな・・・」
どこか遠い目の先には、拾ってから今まで一緒に居た生活を思い返し、
少し感傷に浸るガロン。
その表情はいつもの彼からは想像できないぐらいに穏やかであった。
【そう思えるなら君ももう立派な人の親だよ。】
「からかわんで下さい。
俺にはそんな資格はないですよ。
そんな事より出立はいつ頃のご予定で?」
そんなことをシャルに言われたガロンは慌てて顔を戻し、
話をそらした。
【どうだろうね?
ほのめかそうとは思うが、なるべくあなたの迷惑にならない程度には
早くするつもりだよ。】
「特に決まってなければ少し待ってもらいやせんか?」
【何かあるのかい?】
「いつかこういう日が来ることは分かってました。
特に俺の身長を超えた日から。
今あの子の装備品を手が空いた時に作っているんですが、
もう少しで出来そうなんです。」
立派な口髭を触り、恥ずかしさを隠そうとするも、
その顔はどこか誇らしげであった。
【ふふっ
やっぱり君は立派な父親だよ。】
「お恥ずかしい限りで。」
両者の表情は話の始めからは想像出来ないほど
穏やかだった。
次の日、
朝食を終え、ガロンはいつも通り工房へ向かっていき、
後片付けをするユウトの足元にふわりと光が集まった。
「いきなり現れてどうしたのシャル?
ガロンさんに見つかっちゃうよ?」
シャルの事は、似たような生き物がこの集落で見たことが無かったので
ガロンさん含めて、話さないようにしていたのだが、
こんな風に来るなんて珍しい。
【少し話があるんだ。】
「改まってどうしたのさ。部屋に行けばいい?」
【待ってるよ。】
用件だけ伝えられ、さっさと消えてしまったシャルの後を追うように
僕は急いで片付けをした。
「それで、どうしたの?」
部屋に入るとベッドの上でシャルが鎮座していた。
僕は隣に座り、話を振った。
【そろそろここで出来ることも少なくなってきたから
上に上がろうと思うんだ。】
「うん・・・それは嬉しいんだけどさ、
絶対他に何かあるよね。
いくら何でも唐突すぎるよ。」
【・・・頭が回るのはいい事だけど、
あまり勘繰るのは良くないよ?】
「そういう言い方するってことは何かあるんだね?
・・・それでいつ出発した方がいいの?」
気になることはあるが、シャルが話さないってことは
正直気分はいいものじゃないけど僕が知らなくてもいい事だっていうのが
今までの事だった。
それに聞いたところで一度として教えてくれたことは無かったので
すぐに諦めた。
【・・・物分かりが良すぎるのも考えものかね。】
どういう意味なんだろう?
あまり困らないようにしているつもりなんだけど。
【まぁいいや
またその時になったら伝えるよ。
それまで私は少し離れるから、
怠けるんじゃないよ。】
「分かったよ。」
それを伝えるとシャルは霧散していった。
「いつも思うけどシャルって一体なんなんだろ?
パっと表れて、スッていなくなるし。」
毎回不思議に思う事だけど、考えても仕方ないし、
それよりもガロンにお別れを伝えないとなぁ
まぁ前日でいいかな。
そう思いながらいつもの日常に戻っていった。
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