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【別れ】10歳
第10話
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そうして穏やかな日々が続いたある晩御飯の席の事、
「最近なんかあったのか?」
「なんにもないよ。」
唐突に話を振られるが、正直少し浮足立っていた。
「最近やたらよそよそしいじゃないか。
子供はちょっとわがまま言うぐらいがちょうどいいぞ。」
「・・・じゃあさ、僕ってなんなの?」
シャルが居なくなってからもいつものように外で修行をしていたある日、
僕は、たまたま同じシャロン族を見かけたんだけどおかしかったんだ。
「どうしたんだいきなり?」
ガロンは先程までのフランクな感じから一転、
表情は真剣になった。
ちょっと怖かったのは内緒だ。
「近くで拾われたことは聞いたけどさ、
地上へのおつかいも僕には回ってこないじゃん。
聞いた話だったら、もう行ってもおかしくないのに。
それにさ、僕ってなんでこんなに大きいの?
たまたま見た近くの子供より僕、全然大きいじゃん。
今まではガロンさんしか見てこなかったから正直あんまり気にしてなかったけど、
なんかの病気だったりするの?」
「あぁ、別に病気じゃねぇとは思うぞ。
むしろ普通だよ。
ちょっとおとなしいぐらいか?」
何故だろう、なんか話をはぐらかそうとされてる気がする。
「そんな訳ないでしょ!
おかしいと思って他の人も隠れて見てきたけど
僕、絶対に一番大きいじゃん!
なにより大人がガロンさんぐらいの人がほとんどじゃんか。」
「なんだ、見ちまったのか。」
ガロンさんは僕の真剣な声に何故か笑みがこぼれてしまった。
「なんだよ、その反応!」
さすがにこっちが真面目に話してるのに笑われたら
そりゃむかつきもするさ。
「お前もそんな風に怒ることもあるんだなぁと思ってさ。」
「あ、ごめんなさい。」
言われて急に頭が冷えた。
お世話になってるっていうのは自覚してたからなんか遠慮してたんだよね。
「いいんだよ。
むしろ良くこれだけお前に隠せたもんだと思ってな。
やっぱシャル様はすげぇな。」
「なんでシャルの事知って」
本当なら知らないはずの名前が急に出てきてびっくりした。
思わず椅子から立ち上がるほどに。
「いい機会だしな。
時間もあんまり無いみたいだし、本当の事を話すよ。
いいでしょ、シャル様。」
ガロンさんがそう言って上を向いて呟いたら、
シャルが現れた。
帰って来てたなら言ってくれればいいのに。
【いいのかい?】
「もうこっちの準備は終わりました。
戻ってこられたってことはシャル様の方もいいんでしょ?」
【・・・うん】
改めてこちらに向き直るガロン。
何か二人は事情を知っていそうだが、僕の質問には答えてくれない。
「とりあえず先にお前の質問だが
俺の知ってる限りお前は健康だよ。
不安に思うのも仕方ねぇが
ユウト、お前はシャロン族じゃねぇ。」
「・・・まぁそうだよね。」
それは薄々感じていたことだ。
これだけ”厄介者”みたいな扱いを受けてればそりゃね。
「ちょいと昔話が入るが、
約3年位前に気を失ったお前をシャル様がここに連れてきたんだ。
ただ、基本的に俺らシャロン族は他種族との交流は必要最低限以外じゃ
やらねぇ。
ほとんどのシャロン族はビビっちまって、
最初は追い出せと言いやがった。
主に昔の争いを伝え聞いてるじじい共が原因だが。
シャル様やソル様の言い分もあって、
外れに住んでる俺に預けられたんだ。」
「そっか、迷惑かけたんだね。」
ふっと出てきた感想はこれだった。
ガロンは首を振り、笑顔で答えてくれる。
「そんなこと言うなよ。
成り行きで一緒に暮らすことになったが、俺は楽しかったぜ。
これは本心だ。」
「ありがとう。」
少し泣きそうになった。
何も知らない僕の面倒を見てくれて、
それに”楽しかった”なんて言ってくれるなんて。
感謝の言葉は自然と出てきた。
「それと、シャル様から聞いてるかもしれねぇが
ユウト、もうあんまり長い事ここにはいられねぇ。
いつ出てくかは知らねぇが、これは持ってけ。
俺からの餞別だ。」
そう言って懐から
透き通るような青色の石と内部が光輝いている透明の石を渡してきた。
シャルがやたら驚いている。
【まさか、それは・・・】
「これは?」
「これは昔、第一次世界戦争で
俺らの祖先が地下世界に潜った要因の一つ、
フォロン族が生涯で一度だけ作れる
最高傑作の武器だ。」
「プレミール・ウイーレ?
それよりも一生に一度だけって!?」
説明してくれるが分からない単語が出てくるし
僕には聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「それは作り手が、最初に渡した使い手の魔力に適合して
自動的に契約される代物だ。
お前以外は誰も使えないし、触れもしない。
声が聞こえねぇか?」
そう言われ疑問もいくつか浮かぶが、渡された石に目を向けると
何度か感じたことがある違和感が来た。
【名を】
ほとんど考えることを止めた僕に
ただ一言だけ送られてきた内容について、しばらく悩むが
何故か自然と思い浮かんだ。
「エウィーレとシャレット。」
そう言葉に出した瞬間に石が同意を示すように光り輝き、
やがて収まった。
「これで無事契約完了だな。」
目の前には満足そうに頷くガロンが居る。
ガロンの隣にいるシャルは何故か渋い顔をしていた。
違う反応と分からない言葉にやっぱり僕の頭は考えることを止めていた。
「聞いたことねぇか?
武器に銘をつける習慣。
それはこの武装石との契約が起源だ。
恐らく、この世界探しても持ってるのはお前だけだ。」
「は?」
先程から分からないことが多すぎて、
思わず口に出してしまった。
「元気でな!」
何故か逃げだすように自室に向かっていったガロンを
僕は引き留めようと追いかけようとした。
【ユウト!まちたまえ、
今はそっとしておいてあげてくれ。】
何かガロンが逃げ出すような事情を知っているなら教えて欲しい。
懇願するようにシャルに顔を向けた。
【・・・教えてあげるよ。でも、すごく暗い話だ。】
「最近なんかあったのか?」
「なんにもないよ。」
唐突に話を振られるが、正直少し浮足立っていた。
「最近やたらよそよそしいじゃないか。
子供はちょっとわがまま言うぐらいがちょうどいいぞ。」
「・・・じゃあさ、僕ってなんなの?」
シャルが居なくなってからもいつものように外で修行をしていたある日、
僕は、たまたま同じシャロン族を見かけたんだけどおかしかったんだ。
「どうしたんだいきなり?」
ガロンは先程までのフランクな感じから一転、
表情は真剣になった。
ちょっと怖かったのは内緒だ。
「近くで拾われたことは聞いたけどさ、
地上へのおつかいも僕には回ってこないじゃん。
聞いた話だったら、もう行ってもおかしくないのに。
それにさ、僕ってなんでこんなに大きいの?
たまたま見た近くの子供より僕、全然大きいじゃん。
今まではガロンさんしか見てこなかったから正直あんまり気にしてなかったけど、
なんかの病気だったりするの?」
「あぁ、別に病気じゃねぇとは思うぞ。
むしろ普通だよ。
ちょっとおとなしいぐらいか?」
何故だろう、なんか話をはぐらかそうとされてる気がする。
「そんな訳ないでしょ!
おかしいと思って他の人も隠れて見てきたけど
僕、絶対に一番大きいじゃん!
なにより大人がガロンさんぐらいの人がほとんどじゃんか。」
「なんだ、見ちまったのか。」
ガロンさんは僕の真剣な声に何故か笑みがこぼれてしまった。
「なんだよ、その反応!」
さすがにこっちが真面目に話してるのに笑われたら
そりゃむかつきもするさ。
「お前もそんな風に怒ることもあるんだなぁと思ってさ。」
「あ、ごめんなさい。」
言われて急に頭が冷えた。
お世話になってるっていうのは自覚してたからなんか遠慮してたんだよね。
「いいんだよ。
むしろ良くこれだけお前に隠せたもんだと思ってな。
やっぱシャル様はすげぇな。」
「なんでシャルの事知って」
本当なら知らないはずの名前が急に出てきてびっくりした。
思わず椅子から立ち上がるほどに。
「いい機会だしな。
時間もあんまり無いみたいだし、本当の事を話すよ。
いいでしょ、シャル様。」
ガロンさんがそう言って上を向いて呟いたら、
シャルが現れた。
帰って来てたなら言ってくれればいいのに。
【いいのかい?】
「もうこっちの準備は終わりました。
戻ってこられたってことはシャル様の方もいいんでしょ?」
【・・・うん】
改めてこちらに向き直るガロン。
何か二人は事情を知っていそうだが、僕の質問には答えてくれない。
「とりあえず先にお前の質問だが
俺の知ってる限りお前は健康だよ。
不安に思うのも仕方ねぇが
ユウト、お前はシャロン族じゃねぇ。」
「・・・まぁそうだよね。」
それは薄々感じていたことだ。
これだけ”厄介者”みたいな扱いを受けてればそりゃね。
「ちょいと昔話が入るが、
約3年位前に気を失ったお前をシャル様がここに連れてきたんだ。
ただ、基本的に俺らシャロン族は他種族との交流は必要最低限以外じゃ
やらねぇ。
ほとんどのシャロン族はビビっちまって、
最初は追い出せと言いやがった。
主に昔の争いを伝え聞いてるじじい共が原因だが。
シャル様やソル様の言い分もあって、
外れに住んでる俺に預けられたんだ。」
「そっか、迷惑かけたんだね。」
ふっと出てきた感想はこれだった。
ガロンは首を振り、笑顔で答えてくれる。
「そんなこと言うなよ。
成り行きで一緒に暮らすことになったが、俺は楽しかったぜ。
これは本心だ。」
「ありがとう。」
少し泣きそうになった。
何も知らない僕の面倒を見てくれて、
それに”楽しかった”なんて言ってくれるなんて。
感謝の言葉は自然と出てきた。
「それと、シャル様から聞いてるかもしれねぇが
ユウト、もうあんまり長い事ここにはいられねぇ。
いつ出てくかは知らねぇが、これは持ってけ。
俺からの餞別だ。」
そう言って懐から
透き通るような青色の石と内部が光輝いている透明の石を渡してきた。
シャルがやたら驚いている。
【まさか、それは・・・】
「これは?」
「これは昔、第一次世界戦争で
俺らの祖先が地下世界に潜った要因の一つ、
フォロン族が生涯で一度だけ作れる
最高傑作の武器だ。」
「プレミール・ウイーレ?
それよりも一生に一度だけって!?」
説明してくれるが分からない単語が出てくるし
僕には聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「それは作り手が、最初に渡した使い手の魔力に適合して
自動的に契約される代物だ。
お前以外は誰も使えないし、触れもしない。
声が聞こえねぇか?」
そう言われ疑問もいくつか浮かぶが、渡された石に目を向けると
何度か感じたことがある違和感が来た。
【名を】
ほとんど考えることを止めた僕に
ただ一言だけ送られてきた内容について、しばらく悩むが
何故か自然と思い浮かんだ。
「エウィーレとシャレット。」
そう言葉に出した瞬間に石が同意を示すように光り輝き、
やがて収まった。
「これで無事契約完了だな。」
目の前には満足そうに頷くガロンが居る。
ガロンの隣にいるシャルは何故か渋い顔をしていた。
違う反応と分からない言葉にやっぱり僕の頭は考えることを止めていた。
「聞いたことねぇか?
武器に銘をつける習慣。
それはこの武装石との契約が起源だ。
恐らく、この世界探しても持ってるのはお前だけだ。」
「は?」
先程から分からないことが多すぎて、
思わず口に出してしまった。
「元気でな!」
何故か逃げだすように自室に向かっていったガロンを
僕は引き留めようと追いかけようとした。
【ユウト!まちたまえ、
今はそっとしておいてあげてくれ。】
何かガロンが逃げ出すような事情を知っているなら教えて欲しい。
懇願するようにシャルに顔を向けた。
【・・・教えてあげるよ。でも、すごく暗い話だ。】
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