お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩

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小さな友人

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兄とは離縁された後に商品開発を手伝う約束を致しました。
婚姻関係にある今はアクラム様との約束を守りたいのです。








「奥様! こちらの草は何ですか?」

私の小さな友人であるエーミルが指をさしています。

「これは、 ラトールという薬草でね、虫くだしに使うのよ」

「へー ! 」

まじまじとラトールを見るエーミルはとても可愛いです。
兄の別荘には薬草園がありました。
普段はメアリーが世話をしているそうですが、私がいる間は私が世話をさせてもらってます。
エーミルは、庭師のファビアンの息子で親子で住み込みで別荘の庭園を管理してくれています。
残念ながら、奥方は亡くなってしまったときいてます。
それでも エーミルは擦れることなく育っているよう思います。



私にも子供がいたら何か違っていたでしょうか。
初夜以外でアクラム様と閨を共にしたことはありません。
私には最初から何も求めておられないのかもしれません。苦しくて、辛くて涙を流したことは数知れず、月だけが私を知っていました。



「こら!奥様の邪魔をしてはいけないよ」

「邪魔なんかしてないもん」

父であるファビアンに注意されたからか拗ねた顔をして出ていってしまいました。

「申し訳ありません…奥様」

「クスクス... いいえ、私もエーミルと話すのは楽しかったの。だから怒らないであげて」

ファビアンはまだ微妙な顔をしていたけれども、本当に楽しかったのです。
パチリ と薬草を切る。若芽を少しお茶に浮かべるのも美味しいのです。
ファビアンは一緒に、採取してくれていました。
自分の目的の量がとれたので満足していました。


「休憩されますか?」

「ええ、 そうね……キャア!」

そこにいきなり突風が吹いたのです。

「びっくりしたわ」


「本当ですね、奥様大丈夫ですか?」

ファビアンの方に目を向けようと
しましたら、私の髪が木の枝にひっかかってしまってました。

「あら?どうしましょう…」


「奥様、大変申し訳ありませんが髪を触れる許可を頂けませんか? 
先程の風でからまってしまっています」

「ごめんなさいね。じゃあお願いしようかしら」

「かしこまりました」

ファビアンは壊れ物を扱うかのように私の髪にそっと触れていました。

男性からそのような扱いをされたがあまりない私は少しドキドキしながら、見ておりました。
実際は違うとしても…







「何をしている!マレーネ」





そこには、今まで見たことのない鋭い目つきをしたアクラム様が立っておいででした。
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