最初に抱いた愛をわすれないで

悠木矢彩

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元夫視点

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何度か出した手紙でリネージュへの面会は断られた。

しばらくすると、僕の熱意に負けたのか、条件付きという形でリネージュに会わせてくれるらしい。


僕は当座片づけなければならない仕事を片付け、隣国に向かうことにした。


その条件とは


リネージュの許可が出れば会わせてもらえること。

今回の場では決して物音は立ててはならない。

この二点だけだった。


だから僕はこれならすぐにリネージュに会わせてもらえるかもしれないと思っていた。

そうして出発の当日の玄関で父とマルコに仕事を託す。


「私事で離れることをお許しください。必ずリネージュと帰ってくることにいたします」

「レディ・アントレットに無理はさせるな。現在治療中とのことなんだろ。無理やりにお前がことを運ぶことだけは絶対するな。」


「承知してます。マルコ後のことは頼んだ。」


「行ってらっしゃいませ、アレク様。どのような結果になったとしても自棄にならずにお願いいたします。」


「勿論、今回リネージュに会えなかったとしても何度でも足を運ぶつもりだ。あまり悲観するんじゃない。」

「…かしこまりました。」


マルコはなぜか、この話がうまくいかないような口ぶりで話す。
今回だけじゃない。何度だって会いに行く。


待っててくれリネージュ。


















隣国のマリリス病の治験施設に見学という形で、今僕はここに居る。


治験者はそれぞれ少し離れた屋敷にいるらしい。

リネージュももちろんそれのどこかにいるのだろう。

ゼン医師が持って帰ってきたデータによると、薬の副作用で髪の毛が抜けたらしい。

そんなことまで書くなんてと抗議したかったが、治験のデータ上どんな些細なことでも記載することになっているそうだ。
些細なことではないけど…僕のリネージュをそんな辱めるなんてと思ってしまった。




「こちらでお待ちください。」



白衣をきた職員に通されたのは応接間のようだ。
腰を掛けてしばらくしていると二人の男性が入ってきた。


「この施設の責任者のナミルです」

表情が分かりにくい人物だなと思った。

「このプロジェクトの責任者のランバートだ。」

ランバートといえば、この国の王族ではないのか?
ぼくが首をかしげていると…

「王族だが、今は形式ばった挨拶は不要だ。貴殿がここに来た理由は、リネージュ・アントレットのことだろう?」


「そ、そうです、彼女とそのすれ違いがありまして…」


ぼくがそういうと、殿下は右手を顎に添えながら言った。


「マリアから確認したのと違うな。」


「え?」

「貴殿の家で以前仕えていて現在レディ・アントレット個人の侍女になっているマリアだ。まぁ、いち使用人など覚えておられないかもしれないが。」

「…い、いいえ。彼女はリネージュの専属侍女でしたから…彼女も今こちらに?」

「ああ、そうだ。彼女こう言っていた。
 貴殿に愛する人がいたからリネージュ様奥様は離婚を言い渡されたと。」

知っている。僕の離婚事由を…

「ちなみに…そちらの国の社交界のゴシップも届いている。」

「え?」

も、もしかして…

「貴殿が子をなせない種無しということと愛人とお別れしたこともね。」


血の気が引いていくのを感じた。


「いや…あの…それは事実です。ただ手紙でいうことでもないかなと…。」

ランバート殿下は足を組み替えて僕をじっと見ている。


「そういうことにしておこうか。これから貴殿に移動してもらう。レディには私から確認しよう。そこでレディの答えを聞いてから後のことは考えてくれ。手紙で提示した条件は理解しているか?」


僕は声を発することができす、コクリと頷くにとどめた。


「では、行こうか」





やっとリネージュに会うことができる。

それで、伝えるんだ。彼女に愛していると…







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