17 / 24
公爵令嬢様はお持ち帰りする 過去編
やっぱり家庭の味よね
しおりを挟むレイチェル事件のあと、王太子殿下に呼ばれ、登城した。
「事件は解決したのになんで呼ばれたんスかね」
レイモンドが言う。
「私の製品を買ってくれるのかしらね?」
アリシアはいう。実際、記録アクセサリーは注文が入った。主に司法部門と諜報活動用にと…
それと同時に一般発売を禁じられた。
「搾り取ってやるわ!私の製品を世に知らしめないなんて!!」
アリシアは馬車の中で立ち上がる。
「危ないっすよ。お嬢…」
落ち着けと言わんばかりの大きく吐かれた息。
なにやらあんまりよろしくない雲行きではないか?と考えてしまうレイモンド。
「ここでお待ちください」
そう言って、執事は一礼をし出て行った。
「レイモンドいる?」
そういってアリシアは卓上にあるお菓子をさす。
「いえ…要らないっす。俺、屋敷でメリーさんに入れてもらった紅茶とお菓子があるんでそれつまみます」
「なにそれ!ずるいわ!!私もそっちがいいのに!私の分は!!?」
どこからともなく出した茶器に2人分入れるレイモンド。
「流石よ!わかってるわね!!」
コクリ一口飲む
「やっぱり家庭の味が最高よ!」
ーーーーコンコンコンコンーーーー
先ほどの執事が顔を出す。
その後に入ってきたのが、セリオス・ウル・モンテーニュその人だった。
「やぁ、待たせてすまない」
優雅な動作でアリシアの向かいに座る。
そしてギョッとする。
2人は王室が用意したものを一切口にしていないからである。
「お、お気に召さなかったか…?」
少し引きつった表情で2人を見る王太子殿下。
「いいえ?とても美味しそうでした。ですが、なにがあるかわかりませんので。いつ何処の誰が何をしでかすかわかりませんから ふふっ」
扇で口元を抑えながら笑顔でいうアリシア。
それをさも平気そうに見ているレイモンド。
本来従者は同じ席についてはいけないが、今回はレイモンド・ティアソンとして登城したので同席している。
「貴殿たちには世話になった。レイチェル嬢のことも見抜けず不甲斐なかった…」
そう言って膝で握りこぶしを作り、下を少し向くセリオス。
「あらー?別に気になさらなくていいですわ。私はただ作ったものを実験したかっただけですので」
「お嬢…そんなん言ってるからいつまでも錬金術狂いなんて言われるんすよ!」
睨みつけるレイモンド。
「あらー?楽しいからいいじゃない!!」
睨みつけるアリシア。
2人の喧嘩は日常茶飯事…
「すまぬ…」
もう一度いう。
「いいんですわよ、もう」
再度アリシアがいう。
「いいや、謝っても謝っても足りぬ。レイモンドいや…レイシュタッド」
2
あなたにおすすめの小説
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる