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公爵令嬢様はお持ち帰りする 過去編
そこいたのは…
しおりを挟む……キレイと僕に言ったその人の方がよっぽどキレイだと僕は思った…
「鉄格子?」
度胸はそんじょそこらの令嬢や令息よりあると自負しているアリシアでさえギョッとする。
隠し通路の先にある鉄格子…
それは、監禁するといっているようなもの。
人の目に触れたくないものがあるということ。
「うーん、さすがにこれはダメかも…」
アリシアはヒヤッとする鉄格子を触りながらいう。
彼女も彼女の身分も万能ではない。
立ち入って仕舞えば…
「ぅぅ…」
鉄格子から手をはなす。
そして顔だけ近づけてみる。
「ぅぅ…ぁう」
微かに聞こえる声。
一体ココに何がいるのだろうか。
「誰かいるの?」
いつもよる少し声が震える。
いくら未知が好きといっても此処には大人がいない。
ある程度のことは対処できるようにはしてきているが、いかんせんそれも限界があるからだ。
できる限り腕を伸ばす。
しかし鉄格子の奥には明かりが届かない。
空気はカビ臭く、正直こんなところで生き物が生きられるかと言われれば否と答える。
「もし、罪人かなんかだとしてもこれはダメだわ。環境の改善を訴えなくちゃ」
ブツブツとつぶやく。
ガサ
「なにっ!?」
なにかがこすれるような音がした。
アリシアは出来るだけ中をみようとする。
その間も呻くような声も聞こえる。
「だれか!誰かいるの!?」
アリシアは精一杯声を張り上げた。
灯りは届かず、自分の目の前しか灯らない。
声はするけど姿は見えず、ここまできてその正体を見られないのは、彼女としてはとても不本意である。
突然、暗闇になる。
灯りの燃料が切れたためだ。
「しまった!」
ガシャと音を立てて彼女は灯りの燃料を足そうとする。
この時音を立てたのはわざとである。
正直心細かったからだ。
どう見積もっても少女である。
彼女は知識はあっても力はない。
その知識欲を満たすために好奇心に突き動かされてここまできたのだけれど、いかんせんここは戻った方がいいだろうかと逡巡していた。
しかし最後にもう一度だけみようと補給した灯りを灯した。
「きゃあああああああああ!」
突然目の前に現れた物体にびっくりする。
しかし、それが人間のようなものかもしれないと思ったのは、格子に自分によく似た手が握られていたかであった。
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