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「2階は楽器ケースやカバン。
あとはお洒落なオリジナルTシャツも売ってるよ!
会計が決まったら2階に上がってきとくれ。
アタイは面倒な事務作業してるからね。」
自営業だと税金周りがねぇ
と呟くき六々はすごすごと階段をあがっていった。
「さぁ!どれにいたします!?」
「そうだな、見えないからどいてくれ。」
眼前でギター群を背に両手を広げるシスターを
シッシッと追い払えば、
やはり目を奪われてしまうほど壮観な景色が
広がっていた。
なんだか、ワクワクするな。
「わかりますよ!
この胸の高鳴りは代え難いものですよね!」
「当たり前のように読心術を使わないでくれ…」
そうは言うが、実のところ
この心躍る感覚を隠しきれている自信は無かった。
震える手に、思わず浮かんでしまう笑み、
ついこの間までの自分では考えられないほど
生き生きとした顔をしている自信がある。
「…いいな、この感覚。」
まず最初に手に取ったのはソリッドギター。
エレキギターと言われれば
薄ぼんやりと思い浮かべる形をしたそれは
やはり良く手に馴染む。
「あぁ、美しいですね……」
方や感嘆の声を上げるシスターが手に持つのは
矢のようなシルエットをしたV字型のギター。
「なんとなくお前は低音な気がしてたけど
中域くらいの音が好きなのか?」
なんの気無しに話題を振れば
恍惚とした笑みを浮かべてこちらに振り向く。
「勿論低音は素晴らしいものですが、
やはり私個人としては中域が好ましいです!
飾り気のないストレートな音は、
確かに神の愛を人々に伝えますから!」
此処からは聞いていない話が続くだろうが、
自然と苦痛や苦難は感じなかった。
むしろ楽しささえ感じていたに違いない。
本当に学生時代を思い出したようだった。
母親に頭を下げて、なけなしの小遣いを貯めて
かき集めた8万円でギターを買いに行ったんだ。
結局、欲しかったギターは10万円くらいで
父さんが払ってくれたんだったよな……
あのあとは、当分こき使われたっけな。
「これなんてどうです!?
エクスプローラータイプ!!
この角ばったシルエットが美しいでしょう!?」
「お前あれだろ、
変形のギターが好きなだけだろ。」
アルファベットのZを横に倒したような
形をするギターを見せびらかすように
こちらに掲げてくるシスターを一瞥して口を挟む。
「そんなわけありません!
私は全ての楽器をこよなく愛しています!
この愛は平等なものなのですよ!
ほら、こちらなどは!?斬新で美しい!」
「ヘッドレスギターね。
ありがとう、確信できたわ。」
ギターの頭がなく、体がやけに
角ばったギターを愛おしそうに差し出す
シスターをまたも一瞥して置いておく。
こうやって見てみれば改めて凄い。
先程から賛辞の句が美しいしかないシスターを
内心小馬鹿に扱っていたが、
結局のところ突き詰めれば
凄いという言葉しか浮き出てこない。
それほどまでに立てかけれた数々を
横からなぞるように眺めていく。
星を引き伸ばしたような変形タイプ。
丸っこいボディをもつレスポールタイプ。
高音域に優れたファイヤーバードタイプ。
どれをとっても一流の品ばかり。
シックな赤色から落ち着いた黒、茶色。
一転してレモンのような明るい黄色。
目の奥が点滅してしまうほどの景色を前に
思い出したのは教会でのステンドグラス。
だがあの時の景色はもっと鮮烈で鮮明で
色彩を焼いて焦がすような
あぁ、丁度こんな色をした
「…あ。」
壁に立てかけられたギターはテレキャスタータイプ。
エレキギターの始祖とも呼ばれるそれは
他のエレキギターに比べて軽量な事が特徴。
また、全てのペグが一方に収まっている
片側6連タイプであるためチューニングもブレづらい。
初心者用として受け入れられるそれは
確かに作りは単調ではあるものの
使いやすく、何より音の調子がいい。
加えて演奏性が高く、
ロック系統のアーティストに好かれる傾向がある。
だがそんな物が雑事に感じるほど、
その鮮やかな色に目を引かれる。
雑多に言い表わすのならば、薄い黄色。
きっと何処にでもあるカラーコードで
英数字を混ぜ込んだ名前がつけられているんだろう。
それでも、確かにこれは
あの時に見た光に似ていた。
「これは……、
轆轤さんのご友人様が作られている物ですね。
本職は何をされている方かは存じませんが
時折こうやって、何本か納品しているようです。
……ほら、ここのタグを。
他のギターに比べてロゴが違うでしょう?」
横から覗き込んできたシスターが
ネックについたタグをペラリとめくると
見たことないロゴが埋め込まれていた。
「3次弦工房?」
ギターのネックを丸く抜き取ったような
デザインが特徴的な白と黒のロゴ。
他のブランド物と比べて確かに知らない。
高校までは楽器店にも通っていたし
CMやスポンサーとして名前を聞くわけでもない。
「直接お会いしたことはございませんが、
気持ちの良い方と聞いております。
こんなにも素晴らしい物を
お作りになるのですから、
きっと素晴らしい方なのでしょうね!!」
TLタイプに手を伸ばす。
立てかけられた壁からそっと離して、
TLタイプから伸びるベルトに首を通す。
下に引っ張られるような感覚が心地よい。
右手をネックに、左手は弦に。
何千、何万回と繰り返したはずの行動が
とても新鮮に感じる。
「あぁ、いいな。」
やけにしっくりと手に馴染む。
そこに大きな感動や震撼はなかった。
あったのはただ、漠然とした安心。
脈拍も、発汗も、目眩もない。
ただあるのは、力む指先と脱力した手首だけ。
「素晴らしい!似合ってますよ!ケイ!」
興奮した様子のシスターアンナの視線は
試奏を急かすように肌を刺す。
「って、アンプがねぇじゃん。」
その視線に乗るようにしたところで、
立てかけられていた事実に気がつく。
危うく3年越しの感動が掠れるところだった。
「あぁ。私としたことが!
試奏をするなら2階に上がりましょう。
轆轤さんが取り計らってくれるはずです。」
一度TLを首から外し、
なるべく丁寧に抱えるようにして持ち運ぶ。
階段を目指しギターコーナーから抜け出せば
1枚のコルクボードが目に付く。
ソコには雑誌の切り取られたページや
新商品などのトピック
近隣でのイベント情報がまちまち貼られている。
その中でも特段目を引くのは
他と比べて一際あたらしげな紙面。
「インディーズバンド特集……」
その中でもイヤに目を引く一文。
「バンドメンバー…か。」
そういえば、と一つ思う。
結局シスターアンナとはどんな関係なんだろうか。
昨日今日の関係ではあるが、
熱烈なロックへの勧誘は
やはり特別な感情を抱いてのものなのだろうか。
「なぁ。」
1段目に足をかけたところで、振り返る。
「はい、いかがなさいましたか?」
手にした音楽雑誌から顔を上げたシスターは
変わらず人当たりの良い顔でこちらをみていた。
「……いや、なんでもない。
それより絶対に先帰んなよ。
俺の車なんだからな。」
青い瞳、金色の髪、赤い唇。
整った顔立ちは変わらない。
「勿論、急かすつもりはございませんので
どうかごゆっくりお楽しみください。」
変わったとするのならばそれは
俺が見方を変えただけだろう。
あとはお洒落なオリジナルTシャツも売ってるよ!
会計が決まったら2階に上がってきとくれ。
アタイは面倒な事務作業してるからね。」
自営業だと税金周りがねぇ
と呟くき六々はすごすごと階段をあがっていった。
「さぁ!どれにいたします!?」
「そうだな、見えないからどいてくれ。」
眼前でギター群を背に両手を広げるシスターを
シッシッと追い払えば、
やはり目を奪われてしまうほど壮観な景色が
広がっていた。
なんだか、ワクワクするな。
「わかりますよ!
この胸の高鳴りは代え難いものですよね!」
「当たり前のように読心術を使わないでくれ…」
そうは言うが、実のところ
この心躍る感覚を隠しきれている自信は無かった。
震える手に、思わず浮かんでしまう笑み、
ついこの間までの自分では考えられないほど
生き生きとした顔をしている自信がある。
「…いいな、この感覚。」
まず最初に手に取ったのはソリッドギター。
エレキギターと言われれば
薄ぼんやりと思い浮かべる形をしたそれは
やはり良く手に馴染む。
「あぁ、美しいですね……」
方や感嘆の声を上げるシスターが手に持つのは
矢のようなシルエットをしたV字型のギター。
「なんとなくお前は低音な気がしてたけど
中域くらいの音が好きなのか?」
なんの気無しに話題を振れば
恍惚とした笑みを浮かべてこちらに振り向く。
「勿論低音は素晴らしいものですが、
やはり私個人としては中域が好ましいです!
飾り気のないストレートな音は、
確かに神の愛を人々に伝えますから!」
此処からは聞いていない話が続くだろうが、
自然と苦痛や苦難は感じなかった。
むしろ楽しささえ感じていたに違いない。
本当に学生時代を思い出したようだった。
母親に頭を下げて、なけなしの小遣いを貯めて
かき集めた8万円でギターを買いに行ったんだ。
結局、欲しかったギターは10万円くらいで
父さんが払ってくれたんだったよな……
あのあとは、当分こき使われたっけな。
「これなんてどうです!?
エクスプローラータイプ!!
この角ばったシルエットが美しいでしょう!?」
「お前あれだろ、
変形のギターが好きなだけだろ。」
アルファベットのZを横に倒したような
形をするギターを見せびらかすように
こちらに掲げてくるシスターを一瞥して口を挟む。
「そんなわけありません!
私は全ての楽器をこよなく愛しています!
この愛は平等なものなのですよ!
ほら、こちらなどは!?斬新で美しい!」
「ヘッドレスギターね。
ありがとう、確信できたわ。」
ギターの頭がなく、体がやけに
角ばったギターを愛おしそうに差し出す
シスターをまたも一瞥して置いておく。
こうやって見てみれば改めて凄い。
先程から賛辞の句が美しいしかないシスターを
内心小馬鹿に扱っていたが、
結局のところ突き詰めれば
凄いという言葉しか浮き出てこない。
それほどまでに立てかけれた数々を
横からなぞるように眺めていく。
星を引き伸ばしたような変形タイプ。
丸っこいボディをもつレスポールタイプ。
高音域に優れたファイヤーバードタイプ。
どれをとっても一流の品ばかり。
シックな赤色から落ち着いた黒、茶色。
一転してレモンのような明るい黄色。
目の奥が点滅してしまうほどの景色を前に
思い出したのは教会でのステンドグラス。
だがあの時の景色はもっと鮮烈で鮮明で
色彩を焼いて焦がすような
あぁ、丁度こんな色をした
「…あ。」
壁に立てかけられたギターはテレキャスタータイプ。
エレキギターの始祖とも呼ばれるそれは
他のエレキギターに比べて軽量な事が特徴。
また、全てのペグが一方に収まっている
片側6連タイプであるためチューニングもブレづらい。
初心者用として受け入れられるそれは
確かに作りは単調ではあるものの
使いやすく、何より音の調子がいい。
加えて演奏性が高く、
ロック系統のアーティストに好かれる傾向がある。
だがそんな物が雑事に感じるほど、
その鮮やかな色に目を引かれる。
雑多に言い表わすのならば、薄い黄色。
きっと何処にでもあるカラーコードで
英数字を混ぜ込んだ名前がつけられているんだろう。
それでも、確かにこれは
あの時に見た光に似ていた。
「これは……、
轆轤さんのご友人様が作られている物ですね。
本職は何をされている方かは存じませんが
時折こうやって、何本か納品しているようです。
……ほら、ここのタグを。
他のギターに比べてロゴが違うでしょう?」
横から覗き込んできたシスターが
ネックについたタグをペラリとめくると
見たことないロゴが埋め込まれていた。
「3次弦工房?」
ギターのネックを丸く抜き取ったような
デザインが特徴的な白と黒のロゴ。
他のブランド物と比べて確かに知らない。
高校までは楽器店にも通っていたし
CMやスポンサーとして名前を聞くわけでもない。
「直接お会いしたことはございませんが、
気持ちの良い方と聞いております。
こんなにも素晴らしい物を
お作りになるのですから、
きっと素晴らしい方なのでしょうね!!」
TLタイプに手を伸ばす。
立てかけられた壁からそっと離して、
TLタイプから伸びるベルトに首を通す。
下に引っ張られるような感覚が心地よい。
右手をネックに、左手は弦に。
何千、何万回と繰り返したはずの行動が
とても新鮮に感じる。
「あぁ、いいな。」
やけにしっくりと手に馴染む。
そこに大きな感動や震撼はなかった。
あったのはただ、漠然とした安心。
脈拍も、発汗も、目眩もない。
ただあるのは、力む指先と脱力した手首だけ。
「素晴らしい!似合ってますよ!ケイ!」
興奮した様子のシスターアンナの視線は
試奏を急かすように肌を刺す。
「って、アンプがねぇじゃん。」
その視線に乗るようにしたところで、
立てかけられていた事実に気がつく。
危うく3年越しの感動が掠れるところだった。
「あぁ。私としたことが!
試奏をするなら2階に上がりましょう。
轆轤さんが取り計らってくれるはずです。」
一度TLを首から外し、
なるべく丁寧に抱えるようにして持ち運ぶ。
階段を目指しギターコーナーから抜け出せば
1枚のコルクボードが目に付く。
ソコには雑誌の切り取られたページや
新商品などのトピック
近隣でのイベント情報がまちまち貼られている。
その中でも特段目を引くのは
他と比べて一際あたらしげな紙面。
「インディーズバンド特集……」
その中でもイヤに目を引く一文。
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そういえば、と一つ思う。
結局シスターアンナとはどんな関係なんだろうか。
昨日今日の関係ではあるが、
熱烈なロックへの勧誘は
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「なぁ。」
1段目に足をかけたところで、振り返る。
「はい、いかがなさいましたか?」
手にした音楽雑誌から顔を上げたシスターは
変わらず人当たりの良い顔でこちらをみていた。
「……いや、なんでもない。
それより絶対に先帰んなよ。
俺の車なんだからな。」
青い瞳、金色の髪、赤い唇。
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変わったとするのならばそれは
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良かったら読んでください!
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