Fu✕k!F◯ck!Rock!!!

くらえっ!生命保険ビーム!!

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頼りになるのは六々だけ

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 仕事というとのは、存外思い通りにいかない。
 経営マネジメントを志して入社しても
 始めは営業に配属されるように、
 アルバイトに品出しで応募しても
 レジ打ちに回されてしまうように、
 人手や経験といった理由で
 理想からかけ離れた現実と向き合うことは
 珍しいことでもなんでもない。

「計、水の交換頼む。」

「了解っす、ついでにクリーナーも持ってきます。」

 整備士として就職したとしても
 洗車に汗を流すのも珍しい事じゃない。
 もっともこのような文言を並べた以上
 洗車は好ましくない作業のように取られるが
 普段ソコまで毛嫌いをしているわけではない。

 面倒くさいことに変わりはないが。

 しかしそれにも理由はある。
 家に帰れば嫁が待ってると自慢する同僚、
 いまいちそれに実感がわかなかったが
 趣味を取り戻した今、意味はわかる。

「帰ればギター帰ればギター帰ればギター帰ればギター帰ればギター帰ればギター帰ればギター帰ればギター。」

 抗いがたいものだ。
 拠り所があるというものは。
 貸し出しという形で手に入れてから今日で5日。
 味気のない自炊や苦し紛れの酒も
 何処か輝いてみえてくる。

「水、持ってきました。
 面倒くさいっすよね~ホースじゃ落ちない汚れ。」
     
「ま、やるしかないだろ。現場仕事だしな。
 それに終われば早く帰れるし。」

 水を含むタオルがいつもより軽い。
 身体全体を使う作業も、
 何処か伸びているような気さえする。
 有り体に吐き捨てるならモチベーションが高い。

「最近先輩帰るの早いっすよね。
 なんか顔つきもシュッとしてきましたし、
 …もしかして彼女さんでもできました?」

 ニマニマといやらしい笑みを浮かべる計。
 彼女は中学以来できた試しがないが
 よもやそれ以上の存在であることは確かだ。

「そんなんじゃない。
 まぁ趣味みたいなもんだ。」

 口にしておいてなんだが、
 生き甲斐を噛み締めて頬が緩んでしまう。

「…ぁはっ。」

 昼下がりの駐車場で
 水音に隠れてその声は響いた。


「で、なにしてんだよ。
 いやまぁもう驚かねぇけどさ。」

 仕事から上がり玄関の扉を開ければ
 ソコではシスターが静かに紅茶を啜っていた。

「おかえりなさい、ケイ。」

 なんの気なしに顔を上げるシスターは
 我が物顔でマグカップを包み持っている。

「今日は七時から轆轤さんのとこで
 スタジオ借りる予定だったろ?
 まだ6時にもなってないけど。」

 苦言を呈すも通じない。
 理屈とかではなく、法則的に。

「その前に話したいことがありまして。
 …レモンティーを入れましょう。
 さぁさ、どうぞ腰をかけて。」

「俺の家なんだよ。」

 一つの迷いもなく台所へ向かうシスターを尻目に
 洗面台で手を洗い、うがいをする。
 気にしたら負け。なんて言葉よりづっと厄介だ。

「市販のかよ。」

「企業努力を感じる味ですよね。
 ケイの好みが分からなかったので、
 とりあえず大企業のものを持ってきました。」

 市販の、それも2リットルサイズのペットボトル
 をコップの上に傾けて、
 シスターはレモンティーを零さないように
 神妙な顔つきで注ぎ込んでいる。
 味の好みがわからなくとも、
 選択肢に緑茶などはなく紅茶から入るのは
 流石に外国人なんだな。
 そんな関心を一つ口に含む。

「…まぁ、別にマズかないけどさ。」

「よかったです。
 良く冷えているのでお腹に気をつけてください。」

 ホットでもないし、
 その手の割にはこだわりを溝に捨てている。
 そんな疑念は共に流し込んだ。

「で、話って?」

 すっと体を冷やすそれを感じながら
 シスターへ顔を向ける。
 人当たりの良い顔は特段濁らずソコに佇む。

「…バンドメンバー、どうやって集めます?」

「ぇ?…あー。」

 額を伝って汗が垂れる。
 体を冷やした今、流れたのなら
 これは間違いなく冷や汗なのだろう。

「ツテとか、ある?」

「…いえ、まったく。」

 思えばというもの、
 この5日間は浮かれていた。
 運転中は好きだった曲を垂れ流し、
 音に気を使って練習に励み、
 存分に青春を取り戻そうと笑っていた。
 手前大きな問題を見過ごして。

「ってか何歳なんだ?おまえ。
 大学とか職場とかに居ないのか?」

 まったくという、言葉には突っかかる。
 それを追求するように口を開くが
 現実、見ないほうが良いものは多い。

「私は19歳で、無職です。
 貯金が相当あるので日がな一日
 信仰に時間を費やしております。
 信仰の時間を削ってまで働こうとも思いません。」

「ははっ、やば。」

 どこをつついてもヤバイところしかない。
 乾いた笑いをレモンティーで潤して
 どうにか平常心を保ち続ける。

「とっ、りあえず飯でもくう?
 餃子余ってるけど。」

「では、私は生姜醤油で。」

 どんな角度から見ても冷静ではなかった。
 それを知るのはおかわりを要求するシスターの
 茶碗に米をよそっている最中だった。


「…つきましたよ、ケイ。」

「あぁ、着いたな。ついに。」

 結局、何も決まらなかった。
 何も決まらないまま着いてしまった。
 2人揃って問題から目を背けて
 車内ミュージックの話に花を咲かせていた。
 自制心がないのか、忘れっぽいだけなのか。
 それを振り払うように車の扉をしめて
 強めにロックのキーを握り込む。

「おう!いらっしゃい。待ってたよ!」

 カランコロンと音を鳴らす扉の先で
 六々は額にねじりを巻いて段ボールを運んでいた。

「あり?浮かない顔だねぇ。
 せっかくスタジオを借りるってのに
 どうしたんだい?」

 珍しくうなだれるシスターは
 助けを求めるように手を彷徨わせ
 六々の細身な肩を力なくつかむ。

「バンドメンバーを集める方法が
 なかなか思いつかないんです。
 助けてください!」

 その言葉を受け取った六々は
 はっと目を見開き、薄く息を吸う。

「カッコつけて轆轤さんなんて呼んでたのに
 圭の前でそっちで呼ぶほど堪えてるんだね…。
 可哀想にねぇ、アンナちゃん。」

 半ば膝をつくようなシスターを
 力いっぱいに抱きしめるその姿は
 幼い外見も相まって
 疲れた大人を癒す子どもの絵にみえなくもない。
 実際は疲れた子どもと癒す大人という
 一切のギャップがない光景のはずなのに。

「圭も手がかりなしかい?」

「そう、ですね。
 完全に音楽を絶っていたんで
 そういう脈もなくて。」

 口を開いてみれば、
 恥ずかしくも縋りたくなるものだ。

「とは言ってもねぇ、
 アタイの知り合いは皆クラシックだし
 ロックをやりそうな奴らってのは…」

「六々ちゃん……」

 何処か申し訳がちに俯く轆轤に
 抱きつくシスターが合わさって
 余計な悲惨さがか持ち出されていく。

「いるんだよ、これが!」

「六々ちゃん!!!!」

「六々さん!!!!」

 大逆転がソコにはあった。
 太陽の光が暗雲の隙間からこもれでたような
 温かで明るい希望。
 一心にそれを受け止める轆轤六々は
 まるで君臨した神にも見えた。

「まぁいるっていうか、
 正確にはアテがあるってだけなんだけどね。
 ちょっとまっとくれよ。
 取りに行ってくるからね。」

 振り返り2階に向かう背中は
 やはり逞しくみえた。

「…意外とノリが良いんだな、シスター。」

 暗がりに消えていく六々を視線でおいかけつつ
 シスターアンナへ声をかける。

「ケイもノッていたじゃありませんか。」

 少しいじらしく問を返すシスターに
 思わず緩んだ口端からの声を繋げてしまう。
 それはきっと自分自身への失笑、
 そしてシスターアンナへの同情。

 俺達は本当に、友達いなかったんだろうな。

 そんな思いは心に引き留めておいた。


「またせたね!さぁさ、ご覧よ!」

 程なくして舞い戻った六々が手にしていたのは
 ネイビー色が強めの封筒。

「こちらは?」

 差し出されたそれに
 小首を傾げながらもシスターアンナは
 丁重に両手で包み込む。

「アタイの知り合いが
 経営してるクラブの招待状さ。」

 シスターアンナから一枚手渡された封筒には
 高級感のある封蝋がなされており、
 翻した反対には金色の筆記体がつづられていた。

「…クラブで、ナンパとか?」

 絶対に間違えているとは思うが
 それ以上に思い当たる節はない。
 そもそもDJでもない以上、
 楽器を持ち込むようなことはないはずだ。

「あっはっはっ!それも良いねぇ!
 ただ気をつけるんだよ、
 悪い女の子ってのは存外多いからね。」

 当然、男の子もね。
 とシスターへ視線を送りいたずらっぽく笑う
 六々はそのまま話を続ける。

「一階はクラブ、二階がバー。
 大本命は地下一階のライブハウスだよ。」

 ひび割れが目立つ液晶版に映し出されたのは
 きらびやかなホームページ。

「クラブ、シャインシェイクスター?」

「そうさ。ShineShakeStar。
 SSSって呼ばれてるらしいね。」

 改めて招待状に目を向ければ
 確かにそう読み取れないこともない。
 ラメの反射とクセがつよく
 そう言われてみれば、程度だが。

「クラブがShake、バーがStar
 ライブハウスがShineというらしいですね。」

 まじまじと画面を眺めるシスターは
 興味深げにつぶやいた。

「それでその、Shineにアテがあると?」

 一つ聞けば、六々は満足げに首を縦に振る。

「そう、Shineはプロアマ関係なく
 予約代とステージ代だけ払えば
 何時でも演奏出来るのさ。
 チケット代なんて気にする必要もないし
 比較的予約も取りやすい。いい条件だろ?」

 確かに好条件だ。
 本来ライブハウスでそれもマイナーとして
 演奏をするとなれば
 馬鹿にならない値段のチケットを知人に押し付け
 無理やり元を取るような手法が採用される。

「演奏が楽にできるとして、
 やっぱりメンバーがいないと成立しないですよ。」

 だがそれらは全てを終えてからの話。
 現実問題として直面しているのは件の出来事。


 ステージに立って演奏すりゃ、
 観客は嫌でもアンタ達の音を聴くことになる。
 そこで皆を虜にして最後に一言いってやるのさ。
 バンドメンバー、募集中ってね。」

 出来るのか?そんなことが。
 第一に浮かびがるのはそんな疑念。
 だが、それらを噛み砕いて理解するよりも早く
 脳内を駆け巡ったのは

「なんとも、楽しそうでございますね!」

 袖口を引くシスターを笑うことはできない。
 一言一句同じ感想だから。
 故にこそ、此処で盲目になるわけにもいかない。

「仮に演奏をするとして、
 足りてない要員はどう確保する?
 流石に2人で、ってのは難しいだろ。」

「勿論そこも心配ないよ!
 Shineにゃ予約のときに連絡を入れれば
 スタッフか、ある程度の奴を連れてきて
 くれるからね。
 その分料金はうんと高くなるけど、
 まぁ苦労を省いたと思えば安いもんさ。」

 一月先くらいの予約なら問題ないとおもうよ。
 そう付け加える六々を眺めて
 いやに現実味が帯びてきた、
 そんな他人事みたいな感想が浮かび上がった。
 きっとそれは、興奮と高揚がシナプスを
 麻痺らせたから。
 遠足前夜の子どものように、
 行き場のない期待が隠しきれない。

「是非お願いしたいです!
 予約の手続きとかは何処ですればいいですか?」 

 嬉々として目を輝けるシスターに
 頼もしく六々はドンと胸を張る。

「アンナちゃんとそれから
 未来のスター門出だからね!
 今後とも贔屓してもらうためにも
 此処はアタイに任せときな!」

 余りにも頼りになる。
 その小さな体がまるで菩薩のように見える。
 べつにアイツのように信仰しているわけではないが
 輝いて見えることだけは確かだった。

「本当にありがとうございます。
 きちんとお金は払わせていただきます。」

「…ん~~。まぁ、そうだね!
 後腐れない付き合いにゃ貸し借りは不要。
 初ライブの邪念になっても嫌だしねぇ。
 ま、手数料までは取らないでやるさ。」

 軽快なやりとりを急かすように
 心臓が早鐘を鳴らす。
 それはシスターも同じなようで
 ギターケースを抱える手が
 小刻みに震えている。

「じゃあ差し当たって確認なんだけど、
 助っ人は何人必要なんだい?」

「2人ですよね?」

「そうだな、ドラムとキーボード。」

 ドレスを包むような前掛けから
 メモ帳を一冊取り出して、六々は
 プラスチック性のボールペンを走らせる。

「ドラムにキーボード、ね。
 ちなみに、どっちがギターでどっちがベース
 なんだい?」

 小首をかしげる六々に
 思わず笑みがこぼれてしまう。
 TLをこの店で選んだ日から
 ポジションは決まっているし、
 それにシスターが口出しをしてこない。
 まぁ責任を取ってくれている
    ということなんだろう。

「「それは勿論」」

 最初に出会った日から考えてみれば
 日は短くとも、馴染んでいるのだろう。

「「僕(私)がギターで」」

 ロックの力とは素晴らしいものではないか。

「「コイツ(ケイ)がベースです(ですよ。)。」」

 こんなにも、心が通じ合うのだから。

「「あぁ(えぇ)!?」」
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