星のテロメア

ぼを

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第5話:アルバム-2

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「ふ、ふ、ふふ…。じ、じ、神宮前ちゃんらしいわね」
「びっくりしたよ。本星崎が死んだ、なんて言い出すからさ。でも、それが間違いだってわかって、心底安心していたみたいだったな。近々、連絡してあげなよ」
「う、うん…。そ、そう、そうする。そっか…。じ、じん、神宮前ちゃんは、そ、そつ、卒業式から死ぬまで、に、にど、2度と会わないかもしれない私の死を聞いて、かな、悲しんでくれたんだ」
「それはまあ、そうなんだけどさ…。本星崎は、神宮前の話を聞いてどう思う?」
「じ、神宮前ちゃんの話? そ、そ、そつ、卒業後に1度も会わずにお互いに死ぬ事は、そ、そ、そつ…卒業後にお互いに死んでいたことと同義だろうか? って、こと?」
「うん。物理的には同じ事象を指している気がするのに、卒業後に2度と会わないで死にゆくことを、どうして悲しく思わないのか」
「な、な、なる、鳴海君でも悩むことがあるのね」
「そりゃあね」
「そ、そう、そうね…。ど、ど、どうして悲しくないのか。それ、それは、き、き、期待しているからじゃないかな」
「期待…? 何に対して? 誰が?」
「お、おた、お互いが、い、いき、生きている事に対して、お、お互いが、よ…」
「詳しく聞かせてよ」
「え、え、ええ…。だ、だって、あわ、会わないとしたって、相手が死んでいるなんて、お、おも、思わないでしょ?」
「思わないというか…意識すらしないよ」
「ふ、ふふ…。そ、そうよね。い、意識すらしない。で、で、でもそれって、いつ、いつか街角とかで、ば、ばったり会ったりとか、ど、どう、同窓会とかでいつかまた会えるとか、そ、そういう可能性を、む、む、無意識に感じているからじゃないかな」
「いつか…会える可能性か…。そう言われると、そうなのかなあ」
「ふ、ふ、ふふ…。き、きっと、そ、そうじゃないかな」
「う~ん…。そうなのかも。本星崎がそう言うのなら。それにしても、神宮前があんなにショックを受けてたとは、思わなかったな…。笑っちゃ悪いけどね」
「な、鳴海君…。そ、そ、そっか…。なる、鳴海君は、じ、じん、神宮前ちゃんの病気のこと、し、しら、知らないのね…」
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