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サンタの存在証明
第10話
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「ん?」
僕が驚いて口を開く前に、ミコが声を出していた。僕とミコは、思わず顔を見合わせてしまった。
「それって…」僕は声を詰まらせてしまった。思いもよらない言葉に、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。「タルパが居る…って事?」
僕の言葉に対し、有香の反応は薄く、首を傾げてしまった。違ったかな…。
「タルパ?」有香が言った。「それって、どういう意味?」
僕は少し焦って、違ったならゴメン、と返した。
「タルパっていうのは、つまり、目に見えない友達の事なんだけれど…」
「タルパって言うんだね」有香が言った。「わたしは、イマジナリーフレンド、って聞いた事があるけれど」
間違いない。有香は、僕と同じで、タルパを持っている…まさか…本当に?
僕は、興奮を押さえながら、続けた。
「イマジナリーフレンド、多分間違いない」僕は、有香の瞳を見つめた。「有香は、タルパを持っているんだ…」
有香は、少し照れる様にして、微笑しながら視線を逸らした。
「信じてくれてありがとう」有香が言った。「突飛な話だから、理解して貰えなかったらどうしよう…と思って」
「信じるも何も…」言いかけて、僕はまた言葉を切り、咳払いをした。「…いつから、タルパがいるの?」
有香は、思い出す様に、視線を少しだけ上に上げた。
「どうかな…」有香が呟く様に言った。「1年くらい前からかな…」
となると、僕よりもタルパ上級者だ。そして恐らく、有香も、やりきれない孤独感や疎外感に苛まれて、ある意味、止む無くタルパを生み出してしまったに違いない。タルパという言葉を知らないところを見ると、何らかの知識の許に、興味本位で具現化したのではなく、それこそ半ば神経衰弱状態において、タルパという幻覚を創出し、それを自分の脳が作り出した虚像であると認識し、付き合って来たのだ。そう思うと、胸を強く締め付けられる様だった。同時に、鼻の頭がツンとして、目頭が熱くなるのを感じた。僕は、大きく何度か頭を振った。
「有香のタルパが、どんな姿をしているか、訊いていいかな…?」
僕の言葉に、有香は一回、小さくかぶりを振った。けれども、う~ん、と悩むようにしてから、僕と視線を合わせて、小さく頷いた。
「驚かないでね?」有香が言った。僕は頷いた。「わたしのタルパはね…」言いかけて、かぶりを振った。「やっぱりダメ」
「気になるよ」僕が言った。「そこまで言ったんだから、教えて欲しいな」
有香は口許を緩めてから、小さく笑い、それから少し真剣な表情を作ると、頷き、ゆっくりと僕の手を取った。
「…先輩なの」
有香が、聞き取れないような小さな声で言った。
「え?」
思わず訊き返してしまった。
「だからね…」言っている有香の頬が紅潮しているのが、暗がりでも解る。「先輩なの。わたしのタルパ」
先輩って…つまり、僕って事?
僕は、思わずミコの方を見てしまった。ミコはあまり驚いた様子ではなかったが、僕と視線が合うと、数度頷いた。
有香のタルパは…僕? そんな事、在り得るのか…?
「今も…」僕は動揺を隠せないまま、言った。「有香のタルパは…つまり、僕は、ここにいるの?」
僕の言葉に、有香は首を振って否定した。
「本物の先輩が隣にいるから、今は消えちゃったみたい」有香が言った。言ってから、首を傾げた。「それとも…先輩が、実はタルパだったりして…?」
言われて、一瞬、血の気が引いた。僕が、この現実に存在している僕が、有香のタルパ? なるほど、それを証明する事は、僕には出来ない訳だ…。僕は、笑わずにはいられなかった。なんだっけ? こういう、虚像と実像が入れ替わってしまう様な物語って、あった気がする。僕がタルパか…。もしこれがラノベだったら、結構、意外などんでん返しなんじゃないかな? 推理小説で、主人公が実は犯人だった、みたいなネタは今じゃ珍しくないけれど、そんなオチと、きっと親戚。
僕が驚いて口を開く前に、ミコが声を出していた。僕とミコは、思わず顔を見合わせてしまった。
「それって…」僕は声を詰まらせてしまった。思いもよらない言葉に、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。「タルパが居る…って事?」
僕の言葉に対し、有香の反応は薄く、首を傾げてしまった。違ったかな…。
「タルパ?」有香が言った。「それって、どういう意味?」
僕は少し焦って、違ったならゴメン、と返した。
「タルパっていうのは、つまり、目に見えない友達の事なんだけれど…」
「タルパって言うんだね」有香が言った。「わたしは、イマジナリーフレンド、って聞いた事があるけれど」
間違いない。有香は、僕と同じで、タルパを持っている…まさか…本当に?
僕は、興奮を押さえながら、続けた。
「イマジナリーフレンド、多分間違いない」僕は、有香の瞳を見つめた。「有香は、タルパを持っているんだ…」
有香は、少し照れる様にして、微笑しながら視線を逸らした。
「信じてくれてありがとう」有香が言った。「突飛な話だから、理解して貰えなかったらどうしよう…と思って」
「信じるも何も…」言いかけて、僕はまた言葉を切り、咳払いをした。「…いつから、タルパがいるの?」
有香は、思い出す様に、視線を少しだけ上に上げた。
「どうかな…」有香が呟く様に言った。「1年くらい前からかな…」
となると、僕よりもタルパ上級者だ。そして恐らく、有香も、やりきれない孤独感や疎外感に苛まれて、ある意味、止む無くタルパを生み出してしまったに違いない。タルパという言葉を知らないところを見ると、何らかの知識の許に、興味本位で具現化したのではなく、それこそ半ば神経衰弱状態において、タルパという幻覚を創出し、それを自分の脳が作り出した虚像であると認識し、付き合って来たのだ。そう思うと、胸を強く締め付けられる様だった。同時に、鼻の頭がツンとして、目頭が熱くなるのを感じた。僕は、大きく何度か頭を振った。
「有香のタルパが、どんな姿をしているか、訊いていいかな…?」
僕の言葉に、有香は一回、小さくかぶりを振った。けれども、う~ん、と悩むようにしてから、僕と視線を合わせて、小さく頷いた。
「驚かないでね?」有香が言った。僕は頷いた。「わたしのタルパはね…」言いかけて、かぶりを振った。「やっぱりダメ」
「気になるよ」僕が言った。「そこまで言ったんだから、教えて欲しいな」
有香は口許を緩めてから、小さく笑い、それから少し真剣な表情を作ると、頷き、ゆっくりと僕の手を取った。
「…先輩なの」
有香が、聞き取れないような小さな声で言った。
「え?」
思わず訊き返してしまった。
「だからね…」言っている有香の頬が紅潮しているのが、暗がりでも解る。「先輩なの。わたしのタルパ」
先輩って…つまり、僕って事?
僕は、思わずミコの方を見てしまった。ミコはあまり驚いた様子ではなかったが、僕と視線が合うと、数度頷いた。
有香のタルパは…僕? そんな事、在り得るのか…?
「今も…」僕は動揺を隠せないまま、言った。「有香のタルパは…つまり、僕は、ここにいるの?」
僕の言葉に、有香は首を振って否定した。
「本物の先輩が隣にいるから、今は消えちゃったみたい」有香が言った。言ってから、首を傾げた。「それとも…先輩が、実はタルパだったりして…?」
言われて、一瞬、血の気が引いた。僕が、この現実に存在している僕が、有香のタルパ? なるほど、それを証明する事は、僕には出来ない訳だ…。僕は、笑わずにはいられなかった。なんだっけ? こういう、虚像と実像が入れ替わってしまう様な物語って、あった気がする。僕がタルパか…。もしこれがラノベだったら、結構、意外などんでん返しなんじゃないかな? 推理小説で、主人公が実は犯人だった、みたいなネタは今じゃ珍しくないけれど、そんなオチと、きっと親戚。
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