『星空の余白で、君と』婚約から始まる、不器用で甘い恋と、やさしい問いの物語。

だって、これも愛なの。

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『星空の余白で、君と』

第二部・第4話 愛の形を探して

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 夜更け。
 エリスはそっと寝台を抜け出し、星の庭園へ足を運んでいた。
 婚約の頃から変わらず、ここは彼女にとって心を整える場所だった。

 噴水の縁に腰を下ろし、夜空を仰ぐ。
「……理想なんて、いらないのかもしれない」
 小さくつぶやいたとき、背後から足音が近づいた。

「また、ここにいたのか」

 声の主はジュリアンだった。
 彼もまた、迷いを抱えたまま、眠れずに庭園へと来ていたらしい。

 エリスは振り返り、微笑んだ。
「殿下と出会った夜も、ここでしたね」
「……ああ。君が星を“美しい”と言い、私が“燃える石だ”と返した」

 ジュリアンは苦笑する。
「そのときは、理想の答えを返さなければならないと思っていた。……でも今なら分かる。美しいと思う君の気持ちに、私も寄り添えばよかったのだ」

 その言葉に胸が温かくなる。
 エリスはそっと、彼の手に自分の手を重ねた。

「殿下。わたしたちに必要なのは、理想の愛ではなく……“わたしたちの愛”なのかもしれません」
「……エリス」

 呼ばれた名に頬が熱くなる。
 次の瞬間、彼の手がしっかりと彼女の手を握り返した。

「君となら、どんな不器用な愛でもいい。……それが私の答えだ」

 夜空にひときわ流れ星が光った。
 ふたりは見上げながら、初めて夫婦として本気の口づけを交わす。

 それは理想のためではなく、ただ「隣にいたい」と願う心から生まれた、ふたりだけの愛の形だった。
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