舞踏会はお洒落比べ ─ 高飛車令嬢と参謀の恋

だって、これも愛なの。

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第4章 舞踏会の夜

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王宮の大広間は、百の燭台に照らされ、宝石を散りばめたような光で満ちていた。
「一番お洒落な令嬢が舞台中央に立つ」──その噂は、舞踏会の始まりとともに場を熱気で包み込んでいた。

扉が開く。
イザベラが姿を現した。

深紅のドレスは決して奇をてらったものではない。
だが、裾を翻すたびに薔薇の刺繍が光を受け、気高く咲き誇る。
扇子を広げる指先に至るまで、堂々たる気迫が漂っていた。

「……あれがローゼンハルト嬢か」
「なんて自信に満ちた眼差し……」

視線が一斉に彼女へ注がれる。
イザベラの胸は高鳴っていた。
(見て……エドモンド様。これがわたくしの本気ですわ!)

だが、目の前の騎士は別の令嬢と談笑している。
笑みを向けられたのは、やはり自分ではなかった。

──それでも、イザベラは笑った。

扇子を胸の前に掲げ、堂々と中央へ進み出る。
喝采が巻き起こり、音楽が流れる。
彼女は舞台の主役となった。

けれど、その瞬間。
心に浮かんだのは──エドモンドではなく、冷静に指導してくれた参謀の姿だった。

「衣装も舞も、それを際立たせるものにすればいい」
あの声が耳に蘇る。

(どうして……わたくし、今、あなたのことを思い浮かべているの?)

胸が熱くなり、涙がにじむ。
けれど、それを気づかれるわけにはいかない。
イザベラは強く扇子を握りしめ、さらに鮮やかな笑みを浮かべた。

──その笑顔を、群衆の中からじっと見つめる影があった。
ラウレンスである。

「……やはり、彼女は中央に立つ器だった」
小さく呟きながらも、彼の心は痛んでいた。
(だが、彼女の視線はまだ……あの騎士殿に向いているのだろう)

互いの胸に別々の想いを抱いたまま、舞踏会の夜は深まっていく。
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