舞踏会はお洒落比べ ─ 高飛車令嬢と参謀の恋

だって、これも愛なの。

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第5章 一番でいたい理由

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舞踏会の夜が明けた翌日。
イザベラはバルコニーに立ち、胸いっぱいに朝の風を吸い込んでいた。
喝采を浴びた昨夜の余韻が、まだ体の奥で響いている。

──けれど心を占めていたのは、意中の騎士の姿ではなく。
作戦を共にした冷静な参謀、ラウレンスの横顔だった。

(どうして……? わたくしが中央に立てたのは、あの方のおかげなのに。
 どうして彼の笑顔が、こんなに胸を熱くするの……?)

悩むイザベラのもとに、足音が近づく。
「……ローゼンハルト嬢」
振り返れば、そこに立っていたのはラウレンス。

「舞踏会は成功だったな。君は一番になった。……だから、私の役目はもう終わりだ」
淡々とした声。だが、その瞳の奥には、痛みの影が宿っていた。

イザベラは息を呑む。
(違う……違うのよ。わたくしが続けたかったのは──)

「待って!」
思わず声があがった。
ラウレンスは振り返り、驚いたように目を見開く。

イザベラは扇子を握りしめ、唇を震わせながら告げた。
「わたくしが一番になりたかったのは……あの方に振り向いてもらうためじゃない。
 ──あなたに、一番だと思ってほしかったから!」

言葉が風に乗って響く。
高飛車な令嬢の仮面が外れ、涙に滲むただの少女の瞳。

ラウレンスはしばし言葉を失った。
そして静かに、けれど確かに、彼女の肩を抱き寄せた。

「……君はもう、一番だ」
それは冷静な参謀が初めて見せた、抑えきれない本音だった。

イザベラは頬を赤らめ、震える声で答える。
「……責任、取ってくださいませね」

ふたりの影は、朝陽に溶けるように寄り添っていった。
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