2 / 89
第1話(2)「舞踏練習の勘違い」
しおりを挟む
学園に到着したクラリッサとジュリアンは、入学式を終えるとすぐに初日の授業へ向かった。
その日の科目は――舞踏。
「ペアになって、基本のステップを踏んでみましょう」
教師の声に、教室内がざわめいた。
男女が互いに視線を交わし、恥ずかしそうに相手を探している。
「クラリッサ嬢、よければ……」と声をかけてくる男子もいたが、クラリッサは首をかしげて振り返った。
「え? わたしにはもうジュリアンがいるもの」
教室が一瞬しんと静まり、次に「やっぱり!」という囁きが飛び交った。
ジュリアンは一拍置いてから、肩をすくめ、クラリッサの手を取る。
「……ほら、立って」
「うん!」
クラリッサは嬉しそうにジュリアンの胸の前に立ち、教師の指示通りに手を重ねる。
けれど、ステップは早くも迷子。
「……あれ? 右足だったかしら」
「左だ」
「あっ、踏んじゃった! ごめんなさい!」
クラリッサがジュリアンの足を思い切り踏みつける。
彼は小さく顔をしかめながらも、口元を引き結んだ。
「気にするな。……それより、手はもう少し力を抜け」
「こう?」
無邪気に指を絡めてくるクラリッサに、ジュリアンの耳が真っ赤に染まる。
(……そんなことされたら、どうやって平常心を保てばいいんだ)
周囲からは「やっぱり幼馴染じゃなくて恋人だよな」と噂が飛び交い、クラリッサは首をかしげてきょとんとしていた。
「ねえジュリアン。どうして皆、変なふうに笑ってるのかしら?」
「……知らなくていい」
必死で冷静を装うジュリアンの胸の内は、爆発寸前だった。
その日の科目は――舞踏。
「ペアになって、基本のステップを踏んでみましょう」
教師の声に、教室内がざわめいた。
男女が互いに視線を交わし、恥ずかしそうに相手を探している。
「クラリッサ嬢、よければ……」と声をかけてくる男子もいたが、クラリッサは首をかしげて振り返った。
「え? わたしにはもうジュリアンがいるもの」
教室が一瞬しんと静まり、次に「やっぱり!」という囁きが飛び交った。
ジュリアンは一拍置いてから、肩をすくめ、クラリッサの手を取る。
「……ほら、立って」
「うん!」
クラリッサは嬉しそうにジュリアンの胸の前に立ち、教師の指示通りに手を重ねる。
けれど、ステップは早くも迷子。
「……あれ? 右足だったかしら」
「左だ」
「あっ、踏んじゃった! ごめんなさい!」
クラリッサがジュリアンの足を思い切り踏みつける。
彼は小さく顔をしかめながらも、口元を引き結んだ。
「気にするな。……それより、手はもう少し力を抜け」
「こう?」
無邪気に指を絡めてくるクラリッサに、ジュリアンの耳が真っ赤に染まる。
(……そんなことされたら、どうやって平常心を保てばいいんだ)
周囲からは「やっぱり幼馴染じゃなくて恋人だよな」と噂が飛び交い、クラリッサは首をかしげてきょとんとしていた。
「ねえジュリアン。どうして皆、変なふうに笑ってるのかしら?」
「……知らなくていい」
必死で冷静を装うジュリアンの胸の内は、爆発寸前だった。
2
あなたにおすすめの小説
Bravissima!
葉月 まい
恋愛
トラウマに悩む天才ピアニストと
俺様キャラの御曹司 かつ若きコンサートマスター
過去を乗り越え 互いに寄り添い
いつしか最高のパートナーとなる
『Bravissima!俺の女神』
゚・*:.。♡。.:*・゜゚・*:.。♡。.:*・゜
過去のトラウマから舞台に立つのが怖い芽衣は如月フィルのコンマス、聖の伴奏ピアニストを務めることに。
互いの音に寄り添い、支え合い、いつしか芽衣は過去を乗り超えていく。
✧♫•・*¨*•.♡。.:登場人物:.。♡.•*¨*・•♫✧
木村 芽衣(22歳) …音大ピアノ科4年生
如月 聖(27歳) …ヴァイオリニスト・如月フィルコンサートマスター
高瀬 公平(27歳) …如月フィル事務局長
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
工場夜景
藤谷 郁
恋愛
結婚相談所で出会った彼は、港の製鉄所で働く年下の青年。年齢も年収も関係なく、顔立ちだけで選んだ相手だった――仕事一筋の堅物女、松平未樹。彼女は32歳の冬、初めての恋を経験する。
政略結婚の指南書
編端みどり
恋愛
【完結しました。ありがとうございました】
貴族なのだから、政略結婚は当たり前。両親のように愛がなくても仕方ないと諦めて結婚式に臨んだマリア。母が持たせてくれたのは、政略結婚の指南書。夫に愛されなかった母は、指南書を頼りに自分の役目を果たし、マリア達を立派に育ててくれた。
母の背中を見て育ったマリアは、愛されなくても自分の役目を果たそうと覚悟を決めて嫁いだ。お相手は、女嫌いで有名な辺境伯。
愛されなくても良いと思っていたのに、マリアは結婚式で初めて会った夫に一目惚れしてしまう。
屈強な見た目で女性に怖がられる辺境伯も、小動物のようなマリアに一目惚れ。
惹かれ合うふたりを引き裂くように、結婚式直後に辺境伯は出陣する事になってしまう。
戻ってきた辺境伯は、上手く妻と距離を縮められない。みかねた使用人達の手配で、ふたりは視察という名のデートに赴く事に。そこで、事件に巻き込まれてしまい……
※R15は保険です
※別サイトにも掲載しています
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる