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第1話(3)「休み時間のからかい」
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舞踏の授業を終えた休み時間。
クラリッサとジュリアンは並んで席に着いていた。
クラリッサはさっそく机にお菓子を並べて、のんきに紅茶をすすっている。
「クラリッサ嬢って、本当にジュリアン様にべったりなのね」
「え?」
向かいの席に座った女子が、にやにや笑いながら言った。
隣の男子もすぐに乗っかる。
「舞踏のときなんて堂々と『わたしにはジュリアンがいる』って宣言してただろう。恋人宣言かと思ったぞ」
「こ、恋人!?」
クラリッサは慌てて首を振る。
「違うわ! わたしたちは幼馴染なの。ただの、大好きな幼馴染!」
教室がどっと沸き、クスクス笑いがあちこちから聞こえてくる。
「“ただの”って言いながら“大好き”って……」
「それもう恋人よりも強いんじゃない?」
友人たちが口々に茶化すなか、ジュリアンは机に肘をつき、視線をそらしていた。
唇をかすかに引き結び、耳まで真っ赤に染まっている。
「……おい、余計なことを言うな」
「いやいや、余計じゃないって。羨ましいくらい仲良しだし」
「そうそう。ねえクラリッサ嬢、もしジュリアン様に恋人ができたらどうする?」
何気なく放たれた質問に、クラリッサはきょとんと目を瞬かせた。
「……え? ジュリアンに恋人? そんなの嫌に決まってるわ!」
即答する彼女に、周囲がさらに大騒ぎになる。
「やっぱり!」「完全に恋人未満じゃん!」と口々に。
ジュリアンは頭を抱えた。
(……だから言うなと言ったのに)
クラリッサだけが、頬をふくらませて不思議そうにつぶやく。
「どうして皆、そんなに笑ってるのかしら。わたし、本当に大好きな幼馴染って言っただけなのに……」
彼女の無邪気な声に、ジュリアンの胸はまたもや締めつけられた。
クラリッサとジュリアンは並んで席に着いていた。
クラリッサはさっそく机にお菓子を並べて、のんきに紅茶をすすっている。
「クラリッサ嬢って、本当にジュリアン様にべったりなのね」
「え?」
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「舞踏のときなんて堂々と『わたしにはジュリアンがいる』って宣言してただろう。恋人宣言かと思ったぞ」
「こ、恋人!?」
クラリッサは慌てて首を振る。
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教室がどっと沸き、クスクス笑いがあちこちから聞こえてくる。
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「それもう恋人よりも強いんじゃない?」
友人たちが口々に茶化すなか、ジュリアンは机に肘をつき、視線をそらしていた。
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「……おい、余計なことを言うな」
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何気なく放たれた質問に、クラリッサはきょとんと目を瞬かせた。
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「やっぱり!」「完全に恋人未満じゃん!」と口々に。
ジュリアンは頭を抱えた。
(……だから言うなと言ったのに)
クラリッサだけが、頬をふくらませて不思議そうにつぶやく。
「どうして皆、そんなに笑ってるのかしら。わたし、本当に大好きな幼馴染って言っただけなのに……」
彼女の無邪気な声に、ジュリアンの胸はまたもや締めつけられた。
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