「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。

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第3話 変わらない隣

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エリナが覚えているかぎり、どんな時もレオンは隣にいた。

学園の入学式の日。緊張して教室の扉を前に立ちすくんだ彼女の手を、自然に引いてくれたのもレオンだった。
雨の日に傘を忘れて濡れて帰るしかなかったとき、「一緒に入れば濡れない」と大きな傘を差し出してくれたのもレオン。

思い出をひとつひとつ紐解けば、いつも彼がいる。
それはエリナにとって「安心の証」であり、「変わらない日常」だった。



その日も、図書室で彼女は机に向かっていた。
机の上には開きっぱなしの本と、書きかけのノート。
けれど視線は本に落ちたまま、心はどこか別の場所にさまよっている。

「……エリナ?」
穏やかな声が耳に届く。顔を上げれば、当然のようにレオンが立っていた。

「また考えごと?」
「うん……ちょっとね」
「無理に言わなくてもいい。俺は聞くだけ聞くから」

柔らかな言葉に、エリナは思わず笑ってしまう。
「レオンって、ほんとにそういう人だよね。聞き役で、安心できる」

彼女が微笑むたび、胸の奥がほっと温かくなる。
エリナにとってレオンは、まるで呼吸のように自然な存在だった。

「ねぇ、レオン」
「ん?」
「わたし……あなたがそばにいてくれるのが当たり前みたいに思っちゃうの。
 これって、甘えすぎかな」

レオンはゆっくり首を振り、彼女の言葉を否定する。

「甘えすぎなんかじゃない。俺がそばにいるのは、当たり前だから」

何気ない調子で返しながら、視線の奥には揺るぎない光を宿していた。
――君がそう言ってくれる限り、俺はここにいる。
ずっと。変わらず。

エリナはそんな彼の眼差しに気づかず、「やっぱり安心するな」と笑う。
その笑顔に救われながらも、レオンの心の奥では、小さな疼きが確かに強くなっていた。



夕暮れ時。窓の外に茜色の光が広がっていた。
校舎を出る時、エリナはふと口にする。

「ありがとう、レオン。今日も一緒にいてくれて」
「……礼なんていらないよ」
「でも」
「俺がそばにいるのは、普通のことだろ?」

エリナは一瞬きょとんとした後、照れたように笑った。
彼女にとっては、ただ幼馴染としての「変わらない隣」。
だがレオンにとっては、ずっと昔に誓った“願いの延長”だった。

――君の隣にいるのは、俺だけでありたい。
そう願い続けていることを、今はまだ胸に秘めながら。
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