「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。

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第2話 安心の笑顔

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「レオン、こっちこっち!」

朝の学園の廊下。教室へ向かう途中、エリナは人混みの中で手を振った。
小柄な体を一生懸命伸ばし、まるで迷子の子どものようにきょろきょろと探していたらしい。
ようやくレオンを見つけて、ぱぁっと花のように笑顔を咲かせる。

「そんなに慌てなくても、俺は逃げないよ」
「でも! 待ってる時間が長いと落ち着かないんだもの」

小さく膨れるエリナに、レオンはふっと喉の奥で笑った。
その声音は柔らかく、聞く者を安心させる調べを持っている。
エリナの心臓は、不思議といつもよりゆったりと鼓動するのだ。



授業の合間の休み時間。
エリナは机に突っ伏して、白い頬を両腕に預けていた。

「エリナ、寝不足?」
「ううん、ただちょっと考えごとしてたの」

顔を上げると、レオンの真剣そうな瞳がまっすぐに見つめてくる。
その目に映されると、何でもない悩みもすぐにほどけてしまいそうで、エリナは照れたように笑った。

「大丈夫だよ。無理しなくていい」
「……ほんと、レオンってそういうこと言うの得意だよね」
「得意っていうか……言いたくなるんだ。君には」

不意に返ってきた言葉に、エリナは瞬きをした。
けれどレオンはさらりと微笑んで、話題を変えてしまう。
彼にとっては何気ない一言でも、胸に残る温もりの余韻はしばらく消えなかった。



帰り道。二人は並んで歩いていた。
道の端には春の花が咲き、鳥の声が響いている。
エリナは歩きながら、ふと呟いた。

「やっぱりレオンと一緒だと安心するなぁ」
「そう?」
「うん。お兄様に似てるから。優しくて、いつも聞いてくれて、ちゃんと守ってくれる」

エリナは褒め言葉のつもりで微笑んだ。
その笑みは無邪気で、曇りひとつなかった。

レオンはしばらく黙ったあと、緩やかに首を横に振った。

「……似てるだけじゃなくていい」

「え?」
「いや、なんでもない」

照れ隠しのように笑ってみせるレオン。
けれど、その一瞬の影をエリナは見逃していた。

安心できる幼馴染。
そう思っている今の彼女にはまだ、その言葉の奥にある想いを汲み取ることはできなかった。

ただ、エリナが彼の隣で無邪気に笑うたび、レオンの胸の奥で小さな熱が確かに強まっていた。
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