『〇〇夜に読む、お伽話の癒し帳』 ― どんな夜も、あなたの心に寄り添う小さな物語 ―

だって、これも愛なの。

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第十二話 声を聞きたい夜に

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 夜は静かすぎて、心の中の不安が大きくなる。
 令嬢イレーネは寝台に横たわりながら、ただ誰かの声を欲していた。
 安心させてくれる響き、やわらかく抱きしめてくれるような音色を。

 そのとき、窓辺から小さな風が吹き込んだ。
 目を開けると、月明かりに照らされて青年が立っていた。

「眠れないのですか?」
「……ええ。誰かの声を聞きたくて」

 そう答えると、青年は微笑み、彼女の名をそっと呼んだ。

「……イレーネ」

 たった一言なのに、胸が温かく満たされる。
 もう一度、と願えば、彼は何度でも優しく呼んでくれる。

「声は、心を撫でる手のようなものです。君が求めるなら、何度でも」

 イレーネの瞳から、安堵の涙がこぼれた。
 声があるだけで、こんなにも孤独はやわらぐのだ。

「ありがとう。あなたの声を聞けてよかった」
「僕も。呼んでくれてありがとう」

 その夜、イレーネは穏やかな夢へと落ちていった。
 耳に残る声は、夜明けまでやさしい灯火のように寄り添っていた。
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