『冷徹公爵は、私にだけ溺愛を隠せない』──噂の“冷徹”は、令嬢ひとりにだけ優しい

だって、これも愛なの。

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続編第3話 社交界の誤解はまだ続く

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夜会のホールは、シャンデリアの光で黄金に輝いていた。
婚約が正式に発表され、クラリッサはついにアレクシスの隣に立つことになった。

──が。

「……やはりクロフォード公爵は冷徹なお方」
「令嬢が気の毒でございますわ」

周囲からの囁きは、やはり消えなかった。
クラリッサはぐっと拳を握り、またしても声を張り上げる。

「ち、違います! アレクシス様は冷徹なんかじゃありません!」

会場がしん……と静まる。
そして誰もが「また始まった」と微笑ましく見守る中、クラリッサは必死に続けた。

「私が困ったときは、いつも助けてくださいますし!
 雨の日には傘を差し出してくださるんです!」

(……惚気にしか聞こえない)
会場中がそう思っていた。

クラリッサの頬が熱く染まる。
でも、彼を誤解されるのは嫌で。

「アレクシス様は、優しいんです!」

その瞬間。

「……違う」

低い声が会場に響いた。
クラリッサが振り返ると、アレクシスが真剣な表情で口を開いた。

「彼女の言う通りだ。私は冷徹ではない。
 優しいかどうかはわからぬが……」

そこで一拍。
会場中の視線が集まる中、彼は顔を赤らめながら続けた。

「……彼女には、優しくありたいと思っている」

一瞬の静寂。
次いで、ホールはざわめきに包まれた。

「公爵が……!?」
「あの冷徹公爵が、優しいと……?」

クラリッサはぽかんと口を開けて、次いで顔を真っ赤にした。
周囲の令嬢たちが「まあ……!」と羨望のため息をもらす。

アレクシスはちらりと彼女に視線を向け、そっと囁いた。

「……これで、もう弁明せずともいい」

クラリッサは胸がいっぱいで、ただ小さく頷くしかなかった。





こうして“冷徹公爵”の噂は、新たな形で広まっていく。
「冷徹に見えても、令嬢ひとりにだけ優しい」──と。
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