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【特別編】恋が叶ったその先で、もう一度──
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王妃となったリリアナは、王子レオンハルトとともに外交の旅へ出ていた。
春の終わり、ノアディール帝国と海を挟んだ小国・エステロワを訪れた帰路。
ふたりきりになれる“ある場所”へと立ち寄ることにした。
それは、何年も前──リリアナがまだ幼い頃に旅先で立ち寄った、
海辺の教会。
潮風にさらされた古い石造りの礼拝堂は、いまも変わらず静かにそこにあった。
⸻
「……ここに、来てみたかったの」
リリアナは白い帽子を外し、風にさらわれないようにそっと抱える。
その顔には懐かしさと、どこか照れくささの混じった微笑み。
「君が子どもの頃、ここで『花嫁さんになりたい』って言ったって話、人づてに聞いて」
レオンハルトの言葉に、リリアナははっと目を見開いた。
「……そんなこと、言ったっけ……? 恥ずかしい……!」
「ううん、かわいいと思っていた。今もかわいいけど」
少し茶目っ気を込めた王子の声に、リリアナはほんのり赤くなって視線を逸らす。
そのとき、
教会の中から風が吹き抜けた。
ふたりは、そっと扉を開く。
中には、誰もいない。けれど、
祭壇の上には花が飾られていた。
「……この花……君が好きだって言ってた花だ」
「……あ」
それは、白いライラック。
リリアナが庭で何度も育てていた、けれど一度もうまく咲かなかった、
“憧れ”の花。
それが今、きれいに束ねられて、ふたりを出迎えているようだった。
「リリアナ。今日、僕ともう一度、婚約してくれませんか?」
リリアナは驚いて顔を上げる。
「だって、私たちもう結婚してるわ……」
「うん。だからこそ──」
レオンハルトは懐から、小さな箱を取り出した。
中には、淡いピンクゴールドの、月を象ったリング。
「君が夢を見て、恋をして、ぼくを選んでくれて、
そのすべてが、ぼくの誇りなんだ。
だから、恋が叶った今も──
もう一度、君に言いたいんだ。
リリアナ。これからも、君と人生を選び続けたい。
ぼくの未来に、もう一度なってくれますか?」
リリアナの瞳に、涙が溢れる。
「もう……ずるいんだから……」
「ずるい?」
「うん、だって……私、何度だって、あなたを好きになっちゃうもの……」
リリアナがそっと頷くと、
レオンハルトは彼女の指に、リングをはめた。
月の光のように優しく、彼女の手が輝いた。
「じゃあ、これで僕たちは……」
「ええ。
二度目の婚約ね」
ふたりは笑い合い、静かな教会で、そっと額を寄せた。
その瞬間、
高い窓から差し込む光が、
まるで祝福のように祭壇を照らす。
──誰もいない教会。
でも、空は澄み渡り、波音がハープのように響く。
そしてふたりは、
“恋の約束を、もう一度”交わした。
── fin ──
春の終わり、ノアディール帝国と海を挟んだ小国・エステロワを訪れた帰路。
ふたりきりになれる“ある場所”へと立ち寄ることにした。
それは、何年も前──リリアナがまだ幼い頃に旅先で立ち寄った、
海辺の教会。
潮風にさらされた古い石造りの礼拝堂は、いまも変わらず静かにそこにあった。
⸻
「……ここに、来てみたかったの」
リリアナは白い帽子を外し、風にさらわれないようにそっと抱える。
その顔には懐かしさと、どこか照れくささの混じった微笑み。
「君が子どもの頃、ここで『花嫁さんになりたい』って言ったって話、人づてに聞いて」
レオンハルトの言葉に、リリアナははっと目を見開いた。
「……そんなこと、言ったっけ……? 恥ずかしい……!」
「ううん、かわいいと思っていた。今もかわいいけど」
少し茶目っ気を込めた王子の声に、リリアナはほんのり赤くなって視線を逸らす。
そのとき、
教会の中から風が吹き抜けた。
ふたりは、そっと扉を開く。
中には、誰もいない。けれど、
祭壇の上には花が飾られていた。
「……この花……君が好きだって言ってた花だ」
「……あ」
それは、白いライラック。
リリアナが庭で何度も育てていた、けれど一度もうまく咲かなかった、
“憧れ”の花。
それが今、きれいに束ねられて、ふたりを出迎えているようだった。
「リリアナ。今日、僕ともう一度、婚約してくれませんか?」
リリアナは驚いて顔を上げる。
「だって、私たちもう結婚してるわ……」
「うん。だからこそ──」
レオンハルトは懐から、小さな箱を取り出した。
中には、淡いピンクゴールドの、月を象ったリング。
「君が夢を見て、恋をして、ぼくを選んでくれて、
そのすべてが、ぼくの誇りなんだ。
だから、恋が叶った今も──
もう一度、君に言いたいんだ。
リリアナ。これからも、君と人生を選び続けたい。
ぼくの未来に、もう一度なってくれますか?」
リリアナの瞳に、涙が溢れる。
「もう……ずるいんだから……」
「ずるい?」
「うん、だって……私、何度だって、あなたを好きになっちゃうもの……」
リリアナがそっと頷くと、
レオンハルトは彼女の指に、リングをはめた。
月の光のように優しく、彼女の手が輝いた。
「じゃあ、これで僕たちは……」
「ええ。
二度目の婚約ね」
ふたりは笑い合い、静かな教会で、そっと額を寄せた。
その瞬間、
高い窓から差し込む光が、
まるで祝福のように祭壇を照らす。
──誰もいない教会。
でも、空は澄み渡り、波音がハープのように響く。
そしてふたりは、
“恋の約束を、もう一度”交わした。
── fin ──
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