『ティアラに誓う、ただひとりのあなたへ』 ──赤いリボンが結ぶ、花園の婚約物語

だって、これも愛なの。

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【特別編】ふたりの帰還と、仲間たちの反応

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外交の旅を終え、リリアナとレオンハルトが王都に帰還したのは、春風の心地よい午後のことだった。
宮殿の門をくぐった瞬間、ソフィが大慌てで駆け寄ってきた。

「お帰りなさいませっ、お二人とも~~~!!
あのですね! 王妃さま不在のあいだに花園のバラが全部咲きまして! わたし! ずっと! 報告したくて!」

息継ぎなしの嵐のような言葉に、リリアナはくすっと笑いながら帽子を外す。

「ただいま、ソフィ。元気そうで安心したわ」
「えへへへ、もちろんです~♡ 王妃さまも、なんだか……とっても幸せそう!」

その言葉に、リリアナはふと指先を見つめた。
月を象ったピンクゴールドの指輪が、まだ指にひんやりと優しく光っていた。





ーー王宮サロンにてーー

少し遅めのお茶会の準備が整った頃、
庭師のリオがいつの間にかティーセットを眺めながら、ぽつり。

「戻ってきたんですね……ほぅほぅ。見覚えのない指輪だ~~」

「……いつからそこにいたんですか、リオさん」

リリアナが思わず問いかけると、リオはにやりと微笑んで、
手にしていた小さな花束を差し出した。

「おかえりの代わり。白いライラック。王子がわざわざ特別栽培を依頼してたんスよね」

「……!」

「気づいたらね、あの人。君の好きな花、全部覚えてたんスよ~~もう愛っスね!」

リリアナは胸が温かくなるのを感じながら、その花束をそっと抱きしめた。





ーー訓練場にてーー

その後、ふたりが庭を歩いていると、
レオンハルトの護衛騎士・カミルがひとりで剣を振っていた。

「カミル、ただいま」

「……おかえりなさいませ。……王妃も」

その無口な声が、どこかやさしい。

「……指輪、似合ってますね」

「……! ありがとう」

「……次はなくさないでください」

「う……そ、それは昔の話よ……!」

そう言ってふたりが笑い合うと、カミルは少しだけ口の端を緩め、視線を空へ投げた。

「……ふたりが一緒にいると、風がやわらかい。……不思議ですね」

それは彼なりの、祝福の言葉だった。





ーー夜、王子の書斎にてーー

その晩。
ふたりだけの書斎で、ロウソクの火に照らされながら、リリアナは小さな箱を手にしていた。

中には、レオンハルトがこっそり書き溜めていた──

“まだ婚約者だった頃のリリアナへ贈る恋文の下書き”

その紙には、くしゃくしゃな字でこんな一文があった。

『きみに触れたくて、触れられない距離が、世界で一番苦しいと思った』

リリアナの頬が熱を帯びる。

「……まったくもう。どうしてこういうの、隠してたの?」

レオンハルトは照れたように笑って答えた。

「だって……
“好きだ”って言い足りないくらい、君を好きになっちゃったから」

 

そしてふたりは、
またひとつ「恋が深まる瞬間」を、そっと共有した。

 

── fin ──
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