4 / 50
悪妃の妙案、怜花宮怪談!
しおりを挟む
廃墟のような怜花宮に、わずかに芽吹き始めた緑があった。
小さな畑には、野菜の苗が整然と並び、茗渓の努力の跡がそこかしこに見える。
「ふふん、これで食料問題は解決よ!冷宮だって、やりよう次第じゃ快適に生きられるんだから!」
額の汗をぬぐいながら、茗渓は鼻歌まじりに畝を整えた。
日陰からその様子を眺めていた黒猫の怜綾は、尻尾をゆらりと動かしながらため息をついた。
(…こいつ、本当に妃なのか?)
泥まみれの手で鍬を振るう茗渓の姿は、どう見ても農婦そのもの。
猫とはいえ元・皇子である怜綾にとって、その姿はあまりにも場違いだった。
(普通、こういう女は衣装棚の前から動かないものだろう……いや、それ以前に冷宮に入ったことを嘆くのが常なのに……)
彼は呆れながらも、なぜか目が離せなかった。
とにかく妙に生命力が強い。それが気に障るのに、なぜか気になる。
だが、その平和な日々は突然終わりを告げた。
「え、なにこれ!ほんとに畑?雑草じゃないの?」
「きっとあの悪妃が勝手に作ったんでしょう?冷宮で畑なんて!」
――後宮の妃たちが、噂を聞きつけて怜花宮へとやってきたのだ。
「やめてよ!勝手に踏み荒らさないで!」
茗渓の叫びも虚しく、畑は無残に踏み荒らされてしまった。
夕暮れの空の下、泥にまみれた苗を見つめて、茗渓は唇を噛んだ。
「…………っ!」
その目には悔しさと怒りの色が浮かんでいる。
「はああああ!?なにこれ!?ちょっと、あんまりじゃない……!」
怜綾は彼女の背を見つめながら、軽く首をかしげた。
(……泣くと思ったのに。違うのか)
だが、次の瞬間――
「……いいわ。だったら、こっちにも考えがあるってもんよ」
その目が妖しく光る。現代で培った創意工夫の精神、そしてドラマ好きとしての演出魂が、ここで火を吹くのだった。
「この怜花宮……昔、女の霊がさまよっているって噂があったのよね。なら――やってやろうじゃない!」
茗渓の瞳がギラリと光った。
その様子に、怜綾は背筋に一抹の不安を覚える。
(……嫌な予感がする)
夜、怜綾の予感は見事に的中する。
その晩、茗渓は白い布を引っ張り出し、顔に粉を塗り、ぼさぼさの髪を逆立て、鏡を見ながら満足げに笑った。
「完璧。怖がらせてやるわよ、後宮のゴシップ隊たち!」
(待て、やめろ……っ、さすがにそれは阿呆だ……!)
猫の姿の怜綾が慌てて布を剥ごうと飛びかかるも、茗渓はくるりとかわす。
「だーめ!これは怜花宮の名誉を守るための作戦なんだから!」
(名誉ってなんだ……っ!そんなのより、常識を守れ!)
だが茗渓は聞く耳を持たず、そのまま屋根の上へと忍び足で移動していった。
(……こいつは何をしているんだ? 本当に阿呆なのか?)
屋根の上で白装束をなびかせながら徘徊する茗渓を、怜綾は下から見上げて思わず唸った。
(だが……)
怜綾の目が細められる。
(……不思議だな。心のどこかで、こいつの“異常な生命力”に……救われている気がする)
数日後には、妃たちの間でこんな噂が広がっていた。
「怜花宮には、処刑された女の霊がいるんですって……!」
「やっぱり悪妃は祟られてるのよ!」
「近づかない方がいいわよ!絶対に!」
こうして、誰一人として怜花宮には近づかなくなった。
「ふふふ……作戦、大成功!」
白装束を脱ぎながら、茗渓は勝ち誇ったように笑った。
傍らの怜綾は、ため息をつきながらも――
(…馬鹿げている……だが、あの畑を守るためにここまでするとはな)
と、どこか感心したような声で唸った。
暑さの残るある午後、茗渓はふと思い立って、怜花宮の外へと足を延ばしていた。
門を出て、人気の少ない廊下を抜けると、広い中庭の裏手へと出る。
冷宮に入れられて以来、こうして後宮の奥を歩くことはなかった。
「うわ、やっぱり広いわね……でも、陰気くさっ」
薄暗い建物の影を歩きながら、茗渓はふと耳を澄ませた。
――かすかなすすり泣き。
「……誰か、いるの?」
茗渓は音のする方へと足を向けた。
すると、曲がり角の先――
古びた塀の陰に、ひとりの少女が跪いていた。
着物の裾は泥にまみれ、細い肩は震え、顔は伏せられている。
長時間その姿勢を強いられていたのだろう。両膝は真っ赤に腫れ、腕にも擦り傷があった。
「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」
駆け寄った茗渓が声をかけると、少女は驚いたように顔を上げた。
まだ十四、五だろうか。怯えた瞳には涙の跡がくっきりと残っている。
「……わ、私……ごめんなさい……どうか、お許しを……」
「何を謝ってるのよ!? あなた、誰にやられたの?」
「……趙妃様の……簪を……落として、壊してしまって……」
絞り出すような声で告げた彼女の名は、翠鸞(すいらん)という。
趙妃付きの下働きとして仕えていたが、その日、趙妃の愛用していた翡翠の簪を誤って落とし、欠けさせてしまったという。
「それでずっとここで……? 誰にも助けてもらえなかったの?」
「……はい。終わるまで、動くな、と……」
翠鸞はもう、立ち上がる力すら残っていないようだった。
その手は土にまみれ、頬には誰かに打たれたような赤い跡。
「ふざけんなっての……!」
茗渓の目に怒りの光が宿った。
「さ、行くわよ。こんなとこで朽ち果ててる場合じゃないでしょ!」
「え……? で、でも……わたし……」
「冷宮暮らしは案外、自由で楽しいわよ? 怜花宮、案内してあげる」
そう言って、茗渓は迷わず翠鸞の肩を支えた。
少女の身体は驚くほど軽く、怯えた心まで透けて見えるようだった。
遠くの廊下の陰から、その様子をじっと見つめる影があった。
黒猫――否、人の言葉を理解する存在。
怜綾である。
(また、拾ってきたのか。あの女は……)
彼は屋根の上から、茗渓が少女の手を引いていく姿を眺めていた。
怒りを隠そうともしない茗渓の背中は、どこか眩しかった。
(普通なら、見て見ぬふりをする。いや、むしろ自分の立場を守るために遠ざけるものだ……)
その行動は、怜綾にとっても“異質”だった。
同時に、心の奥に微かなざわめきが残った。
(あんな女を……利用できるのか? それとも……)
風が吹き抜ける怜花宮。
今、そこにもう一人、小さな命が救い上げられようとしていた。
まだ陽も昇りきらぬ頃。
怜花宮の薄明かりの中で、少女はゆっくりと目を開けた。
――柔らかい寝床。
――傷にあてがわれた布。
――静かな空気。
翠鸞はゆっくりと身を起こし、周囲を見回す。
「ここは……」
「おはよう、よく眠れた?」
ふいに聞こえた優しい声。
振り返ると、淡い色の衣を纏った茗渓がにこやかに立っていた。
その瞬間、翠鸞の身体がびくりと震える。
「……貴女は……まさか……怜花宮の……“悪妃”様……」
声がかすれた。怯えたように身を引く翠鸞。
茗渓は一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに小さく笑った。
「あー、それね。やっぱりそう噂されてるのね、私」
「……ごめんなさい、ごめんなさい……無礼を……っ」
「待って待って、そんなに謝らないで。ほら、傷が開くわよ」
茗渓はすっと翠鸞の手に触れた。冷たくこわばっていた手が、ゆっくりと温もりを取り戻していく。
「貴女は……どうして……私なんかに……」
「“私なんか”なんて言わないで。傷だらけで倒れてたあなたを、放っておけるほど私は冷たくないの」
茗渓の指が丁寧に包帯を巻き直す。
その仕草は、まるで小さな命を慈しむようだった。
翠鸞の瞳に、わずかな揺らぎが生まれる。
「……噂で聞いていたのとは……違う……」
「悪妃って言われてるのは知ってる。でも、ほんとの私は……ただの“お節介な変な女”よ?」
冗談めかして笑う茗渓に、翠鸞は小さく笑い返しそうになった。
だが、その表情はすぐに曇る。
「……でも、私は戻らなければ……あのままいなくなったと知れたら、趙妃様は――」
「なぜ、あんな暴力を振るうような人の元に戻ろうとするの? 逃げたっていいじゃない」
言葉に、翠鸞は小さく首を振った。
「……私には……妹がいます。まだ七つの子。母も、床に伏せたまま……私が仕えることで、わずかでも薬代が手に入るんです……」
その言葉に、茗渓の胸が締めつけられる。
どんなに理不尽でも、彼女には彼女の“帰るべき場所”がある。
それを、簡単に「逃げなさい」とは言えない――。
「……そう。……あなた、えらいね」
ぽつりと呟いた茗渓は、そっと翠鸞の手を握った。
「でもね。もし、もしも……どうしても辛くなって、息もできないような日が来たら、そのときは」
茗渓はにっこりと笑って、こう言った。
「――ここに帰っておいで。怜花宮は、そういう人のためにあるのかもしれないから」
翠鸞の目に、また涙が浮かんだ。
それは、悔しさでも悲しみでもない。
ひとときだけでも、自分が“誰かに守られた”という記憶が心に灯ったから。
小さな畑には、野菜の苗が整然と並び、茗渓の努力の跡がそこかしこに見える。
「ふふん、これで食料問題は解決よ!冷宮だって、やりよう次第じゃ快適に生きられるんだから!」
額の汗をぬぐいながら、茗渓は鼻歌まじりに畝を整えた。
日陰からその様子を眺めていた黒猫の怜綾は、尻尾をゆらりと動かしながらため息をついた。
(…こいつ、本当に妃なのか?)
泥まみれの手で鍬を振るう茗渓の姿は、どう見ても農婦そのもの。
猫とはいえ元・皇子である怜綾にとって、その姿はあまりにも場違いだった。
(普通、こういう女は衣装棚の前から動かないものだろう……いや、それ以前に冷宮に入ったことを嘆くのが常なのに……)
彼は呆れながらも、なぜか目が離せなかった。
とにかく妙に生命力が強い。それが気に障るのに、なぜか気になる。
だが、その平和な日々は突然終わりを告げた。
「え、なにこれ!ほんとに畑?雑草じゃないの?」
「きっとあの悪妃が勝手に作ったんでしょう?冷宮で畑なんて!」
――後宮の妃たちが、噂を聞きつけて怜花宮へとやってきたのだ。
「やめてよ!勝手に踏み荒らさないで!」
茗渓の叫びも虚しく、畑は無残に踏み荒らされてしまった。
夕暮れの空の下、泥にまみれた苗を見つめて、茗渓は唇を噛んだ。
「…………っ!」
その目には悔しさと怒りの色が浮かんでいる。
「はああああ!?なにこれ!?ちょっと、あんまりじゃない……!」
怜綾は彼女の背を見つめながら、軽く首をかしげた。
(……泣くと思ったのに。違うのか)
だが、次の瞬間――
「……いいわ。だったら、こっちにも考えがあるってもんよ」
その目が妖しく光る。現代で培った創意工夫の精神、そしてドラマ好きとしての演出魂が、ここで火を吹くのだった。
「この怜花宮……昔、女の霊がさまよっているって噂があったのよね。なら――やってやろうじゃない!」
茗渓の瞳がギラリと光った。
その様子に、怜綾は背筋に一抹の不安を覚える。
(……嫌な予感がする)
夜、怜綾の予感は見事に的中する。
その晩、茗渓は白い布を引っ張り出し、顔に粉を塗り、ぼさぼさの髪を逆立て、鏡を見ながら満足げに笑った。
「完璧。怖がらせてやるわよ、後宮のゴシップ隊たち!」
(待て、やめろ……っ、さすがにそれは阿呆だ……!)
猫の姿の怜綾が慌てて布を剥ごうと飛びかかるも、茗渓はくるりとかわす。
「だーめ!これは怜花宮の名誉を守るための作戦なんだから!」
(名誉ってなんだ……っ!そんなのより、常識を守れ!)
だが茗渓は聞く耳を持たず、そのまま屋根の上へと忍び足で移動していった。
(……こいつは何をしているんだ? 本当に阿呆なのか?)
屋根の上で白装束をなびかせながら徘徊する茗渓を、怜綾は下から見上げて思わず唸った。
(だが……)
怜綾の目が細められる。
(……不思議だな。心のどこかで、こいつの“異常な生命力”に……救われている気がする)
数日後には、妃たちの間でこんな噂が広がっていた。
「怜花宮には、処刑された女の霊がいるんですって……!」
「やっぱり悪妃は祟られてるのよ!」
「近づかない方がいいわよ!絶対に!」
こうして、誰一人として怜花宮には近づかなくなった。
「ふふふ……作戦、大成功!」
白装束を脱ぎながら、茗渓は勝ち誇ったように笑った。
傍らの怜綾は、ため息をつきながらも――
(…馬鹿げている……だが、あの畑を守るためにここまでするとはな)
と、どこか感心したような声で唸った。
暑さの残るある午後、茗渓はふと思い立って、怜花宮の外へと足を延ばしていた。
門を出て、人気の少ない廊下を抜けると、広い中庭の裏手へと出る。
冷宮に入れられて以来、こうして後宮の奥を歩くことはなかった。
「うわ、やっぱり広いわね……でも、陰気くさっ」
薄暗い建物の影を歩きながら、茗渓はふと耳を澄ませた。
――かすかなすすり泣き。
「……誰か、いるの?」
茗渓は音のする方へと足を向けた。
すると、曲がり角の先――
古びた塀の陰に、ひとりの少女が跪いていた。
着物の裾は泥にまみれ、細い肩は震え、顔は伏せられている。
長時間その姿勢を強いられていたのだろう。両膝は真っ赤に腫れ、腕にも擦り傷があった。
「ちょ、ちょっと! 大丈夫!?」
駆け寄った茗渓が声をかけると、少女は驚いたように顔を上げた。
まだ十四、五だろうか。怯えた瞳には涙の跡がくっきりと残っている。
「……わ、私……ごめんなさい……どうか、お許しを……」
「何を謝ってるのよ!? あなた、誰にやられたの?」
「……趙妃様の……簪を……落として、壊してしまって……」
絞り出すような声で告げた彼女の名は、翠鸞(すいらん)という。
趙妃付きの下働きとして仕えていたが、その日、趙妃の愛用していた翡翠の簪を誤って落とし、欠けさせてしまったという。
「それでずっとここで……? 誰にも助けてもらえなかったの?」
「……はい。終わるまで、動くな、と……」
翠鸞はもう、立ち上がる力すら残っていないようだった。
その手は土にまみれ、頬には誰かに打たれたような赤い跡。
「ふざけんなっての……!」
茗渓の目に怒りの光が宿った。
「さ、行くわよ。こんなとこで朽ち果ててる場合じゃないでしょ!」
「え……? で、でも……わたし……」
「冷宮暮らしは案外、自由で楽しいわよ? 怜花宮、案内してあげる」
そう言って、茗渓は迷わず翠鸞の肩を支えた。
少女の身体は驚くほど軽く、怯えた心まで透けて見えるようだった。
遠くの廊下の陰から、その様子をじっと見つめる影があった。
黒猫――否、人の言葉を理解する存在。
怜綾である。
(また、拾ってきたのか。あの女は……)
彼は屋根の上から、茗渓が少女の手を引いていく姿を眺めていた。
怒りを隠そうともしない茗渓の背中は、どこか眩しかった。
(普通なら、見て見ぬふりをする。いや、むしろ自分の立場を守るために遠ざけるものだ……)
その行動は、怜綾にとっても“異質”だった。
同時に、心の奥に微かなざわめきが残った。
(あんな女を……利用できるのか? それとも……)
風が吹き抜ける怜花宮。
今、そこにもう一人、小さな命が救い上げられようとしていた。
まだ陽も昇りきらぬ頃。
怜花宮の薄明かりの中で、少女はゆっくりと目を開けた。
――柔らかい寝床。
――傷にあてがわれた布。
――静かな空気。
翠鸞はゆっくりと身を起こし、周囲を見回す。
「ここは……」
「おはよう、よく眠れた?」
ふいに聞こえた優しい声。
振り返ると、淡い色の衣を纏った茗渓がにこやかに立っていた。
その瞬間、翠鸞の身体がびくりと震える。
「……貴女は……まさか……怜花宮の……“悪妃”様……」
声がかすれた。怯えたように身を引く翠鸞。
茗渓は一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに小さく笑った。
「あー、それね。やっぱりそう噂されてるのね、私」
「……ごめんなさい、ごめんなさい……無礼を……っ」
「待って待って、そんなに謝らないで。ほら、傷が開くわよ」
茗渓はすっと翠鸞の手に触れた。冷たくこわばっていた手が、ゆっくりと温もりを取り戻していく。
「貴女は……どうして……私なんかに……」
「“私なんか”なんて言わないで。傷だらけで倒れてたあなたを、放っておけるほど私は冷たくないの」
茗渓の指が丁寧に包帯を巻き直す。
その仕草は、まるで小さな命を慈しむようだった。
翠鸞の瞳に、わずかな揺らぎが生まれる。
「……噂で聞いていたのとは……違う……」
「悪妃って言われてるのは知ってる。でも、ほんとの私は……ただの“お節介な変な女”よ?」
冗談めかして笑う茗渓に、翠鸞は小さく笑い返しそうになった。
だが、その表情はすぐに曇る。
「……でも、私は戻らなければ……あのままいなくなったと知れたら、趙妃様は――」
「なぜ、あんな暴力を振るうような人の元に戻ろうとするの? 逃げたっていいじゃない」
言葉に、翠鸞は小さく首を振った。
「……私には……妹がいます。まだ七つの子。母も、床に伏せたまま……私が仕えることで、わずかでも薬代が手に入るんです……」
その言葉に、茗渓の胸が締めつけられる。
どんなに理不尽でも、彼女には彼女の“帰るべき場所”がある。
それを、簡単に「逃げなさい」とは言えない――。
「……そう。……あなた、えらいね」
ぽつりと呟いた茗渓は、そっと翠鸞の手を握った。
「でもね。もし、もしも……どうしても辛くなって、息もできないような日が来たら、そのときは」
茗渓はにっこりと笑って、こう言った。
「――ここに帰っておいで。怜花宮は、そういう人のためにあるのかもしれないから」
翠鸞の目に、また涙が浮かんだ。
それは、悔しさでも悲しみでもない。
ひとときだけでも、自分が“誰かに守られた”という記憶が心に灯ったから。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる