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♠︎過去のトラウマ♠︎弘田宇丈
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アオのカウンセリングは、オレのイメージを覆した。
カウンセリングって…クライアントの悩みを聞く、心の内を吐き出させる、肯定する…そういうものだと思ってた。
アオは、まず、みひろさんを瞑想でリラックスさせ、名前や年齢の確認をし、色々な質問をしている。
家族のこと。
幼少期の思い出。
学生時代のこと。
趣味や好きな本、音楽、スポーツ。
そして、結婚生活について…。
それらは表面的な質問で、彼女の問題の核心に迫るものには感じられなかった。
最初の15分くらいは、そんなパーソナルな質問で終わった。
だが、ふと気がついた…みひろさんの呼吸が、さっきよりも深くなっている。
一定のリズムで上下する胸。すーっすーっ、と呼吸している音が聞こえそうなほど…落ち着いている。
アイマスクの下で、彼女は今…どんな気分でいるんだろう。
オレの視線に気づいたアオが、アイコンタクトで…「これからだ」と、言ったような気がした。
「この別荘は素敵ですね」
「ありがとうございます」
「お祖父さんとお祖母さんが使われてたんですか?」
「はい」
「かなり古いですね」
「祖母が小学生の時に建てた、と聞いてます」
「学生時代の夏休みは大体こちらで過ごしたんですかね?」
「…私ですか?」
「あ、いいえ、お祖母さんが」
「…そうですね…」
少しの間を空けて、みひろさんが話し始めた。
「高校までは夏休みいっぱいここで過ごしたと聞いています。海も近いですし…宿題も持ってきて、海で遊んだり裏の山で虫取りをしたり…田舎の生活を満喫した、と聞いています」
「子どもらしい夏休みですね」
「はい、そうですね」
「他に、夏休みの話や昔の思い出を聞いたことはありますか?
「…いいえ…あまり詳しくは…」
「お祖母さんのことは」
アオが、一息分の区切りを入れた。
「お好きでしたか?」
「…」
みひろさんは返事をしなかった。
アオは、みひろさんが答えるまで待った。何分待っただろう…ゆっくりと、みひろさんが口を開いた。
「好きでは、なかったです」
「…どうして?」
「母を…虐めるから」
カウンセリングって…クライアントの悩みを聞く、心の内を吐き出させる、肯定する…そういうものだと思ってた。
アオは、まず、みひろさんを瞑想でリラックスさせ、名前や年齢の確認をし、色々な質問をしている。
家族のこと。
幼少期の思い出。
学生時代のこと。
趣味や好きな本、音楽、スポーツ。
そして、結婚生活について…。
それらは表面的な質問で、彼女の問題の核心に迫るものには感じられなかった。
最初の15分くらいは、そんなパーソナルな質問で終わった。
だが、ふと気がついた…みひろさんの呼吸が、さっきよりも深くなっている。
一定のリズムで上下する胸。すーっすーっ、と呼吸している音が聞こえそうなほど…落ち着いている。
アイマスクの下で、彼女は今…どんな気分でいるんだろう。
オレの視線に気づいたアオが、アイコンタクトで…「これからだ」と、言ったような気がした。
「この別荘は素敵ですね」
「ありがとうございます」
「お祖父さんとお祖母さんが使われてたんですか?」
「はい」
「かなり古いですね」
「祖母が小学生の時に建てた、と聞いてます」
「学生時代の夏休みは大体こちらで過ごしたんですかね?」
「…私ですか?」
「あ、いいえ、お祖母さんが」
「…そうですね…」
少しの間を空けて、みひろさんが話し始めた。
「高校までは夏休みいっぱいここで過ごしたと聞いています。海も近いですし…宿題も持ってきて、海で遊んだり裏の山で虫取りをしたり…田舎の生活を満喫した、と聞いています」
「子どもらしい夏休みですね」
「はい、そうですね」
「他に、夏休みの話や昔の思い出を聞いたことはありますか?
「…いいえ…あまり詳しくは…」
「お祖母さんのことは」
アオが、一息分の区切りを入れた。
「お好きでしたか?」
「…」
みひろさんは返事をしなかった。
アオは、みひろさんが答えるまで待った。何分待っただろう…ゆっくりと、みひろさんが口を開いた。
「好きでは、なかったです」
「…どうして?」
「母を…虐めるから」
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