169 / 171
♠︎未来へ❤︎
6
しおりを挟む
ー真柴みひろー
宇丈さんは、「信じられない」というように私を見たけれども、すぐに相好を崩し、くしゃくしゃの笑顔になって…私の手を取った。
「大変じゃなかった?慰謝料とか請求されてない?」
「はい、大丈夫です。お互いにそういうことはしないと約束しましたので」
「そっか…」
「真柴は本当にいい人でした。愛せなかったのが申し訳ないくらいです」
「みひろ…」
「それは、真柴も言っていました。みひろを愛せなかったのは申し訳ない、って」
宇丈さんは少し複雑そうな顔をした。その彼に、ことの経緯をかいつまんで話した。
真柴に学生時代から付き合っていた女性がいたこと。
二人の間には子どもがいること。
私に隠れ、出張と偽っては彼らと会っていたこと。
二人目が生まれるにあたり、きちんとする必要性を感じて義母に話し、会わせたこと。
最初は気が進まなかったらしい義母も、孫の可愛さにほだされたらしい…それはそうだ。あんなにも孫を、と望まれていたのだから…。
「私とスムースに離婚させるために、興信所に調査を依頼したらしいです。それで、三浦の別荘での宇丈さんとの写真を撮られたのですが真柴が、お互い様だととりなしてくれました」
「そっか…」
「すぐに離婚届を出して、実家に戻りました。バタバタして、なかなかきちんとお話しする時間が取れなくて…直接のご報告が遅くなって、本当にごめんなさい」
みひろの手が、遠慮がちにオレの手を握り返した。
「両親に事情を話しましたら、父は激昂しましたけど…弟が味方になってくれて」
「うん」
「姉貴を白石の長女として正当に扱ってくれるなら会社を継ぐ、って」
「え…マジで?」
「はい。それで弟とも話して、二人で白石を継ぐことにしました。本当は就職活動をしようと思ったんです。でもこのご時世に、一年くらいしかキャリアがない私では就職は厳しいからと母と弟に説得されて」
「じゃあ、親父さんの会社で働くの?」
「はい」
「みひろ」
宇丈さんの声が不安げになる。
「…オレとの結婚は?」
宇丈さんは、「信じられない」というように私を見たけれども、すぐに相好を崩し、くしゃくしゃの笑顔になって…私の手を取った。
「大変じゃなかった?慰謝料とか請求されてない?」
「はい、大丈夫です。お互いにそういうことはしないと約束しましたので」
「そっか…」
「真柴は本当にいい人でした。愛せなかったのが申し訳ないくらいです」
「みひろ…」
「それは、真柴も言っていました。みひろを愛せなかったのは申し訳ない、って」
宇丈さんは少し複雑そうな顔をした。その彼に、ことの経緯をかいつまんで話した。
真柴に学生時代から付き合っていた女性がいたこと。
二人の間には子どもがいること。
私に隠れ、出張と偽っては彼らと会っていたこと。
二人目が生まれるにあたり、きちんとする必要性を感じて義母に話し、会わせたこと。
最初は気が進まなかったらしい義母も、孫の可愛さにほだされたらしい…それはそうだ。あんなにも孫を、と望まれていたのだから…。
「私とスムースに離婚させるために、興信所に調査を依頼したらしいです。それで、三浦の別荘での宇丈さんとの写真を撮られたのですが真柴が、お互い様だととりなしてくれました」
「そっか…」
「すぐに離婚届を出して、実家に戻りました。バタバタして、なかなかきちんとお話しする時間が取れなくて…直接のご報告が遅くなって、本当にごめんなさい」
みひろの手が、遠慮がちにオレの手を握り返した。
「両親に事情を話しましたら、父は激昂しましたけど…弟が味方になってくれて」
「うん」
「姉貴を白石の長女として正当に扱ってくれるなら会社を継ぐ、って」
「え…マジで?」
「はい。それで弟とも話して、二人で白石を継ぐことにしました。本当は就職活動をしようと思ったんです。でもこのご時世に、一年くらいしかキャリアがない私では就職は厳しいからと母と弟に説得されて」
「じゃあ、親父さんの会社で働くの?」
「はい」
「みひろ」
宇丈さんの声が不安げになる。
「…オレとの結婚は?」
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる