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♠︎未来へ❤︎
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ー弘田宇丈ー
「結婚は、しばらく待ってください…もちろん、正式にお付き合いをさせていただければ、と思っていますので」
「マジかよ…」
オレの中で、すぐにも入籍と盛り上がっていた気持ちが萎んだ。いざとなったら掛け落ちじゃないけど、彼女をを連れて北海道に帰ってもいい、と考えていたのに。
「私、いろいろ経験してみたいんです。23で家に入って、あまり世の中のことを知りませんし」
「うん」
「運転免許を取りたいですし、宇丈さんが聞くような音楽ももっと聞いてみたいです。海外旅行や短期留学にも興味がありますし」
「え…うん、そっか」
「インターネットもあまり詳しくないですし…そういう、普通のことをもっと知りたいな、と思っています。それに、離婚してから六ヶ月は再婚できないそうですから」
「え、そうなの?」
「はい、宇丈さんと結婚できるとしても、早くて半年後だそうです」
知らなかった。すぐに結婚できるもんだと思ってた…。でも、まぁ…結婚を前提に付き合う、って思えばいいのか。
「なので、宇丈さんとしたいことがたくさんありますから」
「え、ああ」
「まずはデート、しませんか?」
「あ…もちろん!」
「宇丈さんとは、デートらしいデートをしていないので…行きたいところが沢山あります」
微笑む彼女が愛らしくて、オレは思わず前のめりになる。
「どこ行きたい?何したい?なんでも言って」
「そうですね…」
みひろはチラリと視線を外に向けると、「手を繋いで、銀座を歩きたいです」と言った。
始まりはただのアフェアだった。男と女の遊び…そう思っていた。
なのに、彼女の瞳の奥の情熱に気がついた。その殻を破りたい、その色を見たい…激しく渇望し、そしてその願いがかなった。
この数年の間待ち望んだ、本当の彼女を見る、ということ。やっと、自由になった彼女を見ることができた。
「宇丈さん、このお店見てもいいですか?」
うきうきとした足取りでデートを楽しんでいるみひろは、輝きに満ちている。
もうどこにも、己を殺し、感情を殺し、退屈な日々に自分を殺し続けた彼女はいない。
「宇丈さん?」
振り向いた彼女の笑顔に眩しさに、思わず目を細めた。
ー終ー
「結婚は、しばらく待ってください…もちろん、正式にお付き合いをさせていただければ、と思っていますので」
「マジかよ…」
オレの中で、すぐにも入籍と盛り上がっていた気持ちが萎んだ。いざとなったら掛け落ちじゃないけど、彼女をを連れて北海道に帰ってもいい、と考えていたのに。
「私、いろいろ経験してみたいんです。23で家に入って、あまり世の中のことを知りませんし」
「うん」
「運転免許を取りたいですし、宇丈さんが聞くような音楽ももっと聞いてみたいです。海外旅行や短期留学にも興味がありますし」
「え…うん、そっか」
「インターネットもあまり詳しくないですし…そういう、普通のことをもっと知りたいな、と思っています。それに、離婚してから六ヶ月は再婚できないそうですから」
「え、そうなの?」
「はい、宇丈さんと結婚できるとしても、早くて半年後だそうです」
知らなかった。すぐに結婚できるもんだと思ってた…。でも、まぁ…結婚を前提に付き合う、って思えばいいのか。
「なので、宇丈さんとしたいことがたくさんありますから」
「え、ああ」
「まずはデート、しませんか?」
「あ…もちろん!」
「宇丈さんとは、デートらしいデートをしていないので…行きたいところが沢山あります」
微笑む彼女が愛らしくて、オレは思わず前のめりになる。
「どこ行きたい?何したい?なんでも言って」
「そうですね…」
みひろはチラリと視線を外に向けると、「手を繋いで、銀座を歩きたいです」と言った。
始まりはただのアフェアだった。男と女の遊び…そう思っていた。
なのに、彼女の瞳の奥の情熱に気がついた。その殻を破りたい、その色を見たい…激しく渇望し、そしてその願いがかなった。
この数年の間待ち望んだ、本当の彼女を見る、ということ。やっと、自由になった彼女を見ることができた。
「宇丈さん、このお店見てもいいですか?」
うきうきとした足取りでデートを楽しんでいるみひろは、輝きに満ちている。
もうどこにも、己を殺し、感情を殺し、退屈な日々に自分を殺し続けた彼女はいない。
「宇丈さん?」
振り向いた彼女の笑顔に眩しさに、思わず目を細めた。
ー終ー
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