キング・オブ・アウト ~半分が裏社会に呑み込まれた世界で法則の力『則』と法則のを超えた力『則獣』を駆使してマフィアの頂点を目指す!!

NEOki

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第50話 不思議な力

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「良いか、私が出てから15分後だぞ? マンホールから出るときは外の様子に細心の注意を払って、足音がしない事を確認してから外に出るんだ」



「うん、分かった。15分後に、足音に注意しながら外に出る!!」



「よし、賢い子だ。では…行ってくるッ!」



 トムハットはディーノに優しい笑みを向けて、軽く敬礼を作った後にマンホールから出て行った。

 ディーノも緊張と不安を必死に抑えながら敬礼を返して送り出す。



 そしてトムハットが出て行ってから15分後、ディーノも後を追って行動を開始する。

 先ずはマンホールのフタに片耳を当てて外の状況を探った。



(足音は…しない。なら静かにフタを持ち上げて外に出るッ)



 ディーノは出発前にトムハットから教えて貰った注意点を脳内で暗唱しながら、静かにマンホールのフタを押し上げた。

 そして大きな目をキョロキョロさせて周囲の状況を探る。



(誰も居ない…誰も居ないなら静にマンホールのフタを置いて、近くにある布の掛った古いボートを目指すッ!!)



 ディーノは言われた通りにマンホールを置き、外に出てボートを探す。

 その時自分の家が存在している方向が目に入り、空も街も真っ赤に染まって燃えている様子に息を呑む。



(ウチの方向が燃えてる、パパ大丈夫かなぁ……)



 一瞬ディーノは父を心配して家のある方向を見ながら固まってしまったが、即座に頭をふって邪念を振り払う。

 今自分に与えられている役割を思い出し、ボート探しを再開する。

 すると直ぐにトムハットが言ってた古くて布が掛ったボートを発見して駆け寄り、布を取り去った。



(良かった、ちゃんとオールも入っている。コレで間違いない!!)



 ボートを発見したディーノは急いで運河へと動かす為に船体を押した。

 するとギギギィーッ!!という摩擦音が鳴り響き、その音に気が付いたのか一つの足音が真っ直ぐに近づいて来る。

 しかしディーノはボートを押すことに夢中になっていた事と、大きな摩擦音によってその足音に気が付かない。



 そして遂に兵士とディーノが鉢合わせしてしまった。



「う、うわァッ!?」



 ディーノがその兵士に気が付き、驚愕の声と共に逃げだそうとした時にはもう手遅れ。

 兵士はディーノの姿を見せて一瞬身体をピクンッと仰け反らせたが、即座に指を引き金に搦め手発見した少年を撃ち殺そうとする。

 そして指に力を掛けた瞬間、内臓を抉り上げられる衝撃を受けて5m上空まで打ち上げられた。



「……えッ?」



 ディーノは完全に死を覚悟して身体を丸めて蹲ったが、痛みも衝撃も何も感じず恐る恐る顔を上げた。

 すると空かが内臓が飛び出るほどの穴が腹部に開いた死体が落下してきた。

 地面に叩き付けられた兵士は腹から大量の血液を吹き出しながらディーノに悪魔でも見る様な視線を向け、擦れて聞き取れない声で何かを呟いている。



「あ、あぁッ、ごめんなさい……ッ」



 その兵士の余りの表情にディーノは恐怖を覚えて、自分は何もして居らず状況も飲み込めていないというのに謝罪をする。

 すると何か赤良い色をした人型の靄が現われて兵士に近づき、そしてその顔面に足の様な部分を乗せた。



「だ、だめッ!!」



 ディーノは何か嫌な予感がして慌てて止めに入るが、その靄は止まらなかった。

 まるでプレス機に入れられたスイカの様にミシミシッパン!!という音を残して頭部が破裂し、中身が全て飛び散ったのだ。



「なッ、何コレ? 何…でッ?? オッオウェエエエエッ」



 ディーノは破裂して飛んできた兵士の脳味噌と、潰される寸前の兵士の表情と苦悶に満ちた断末魔が脳内で何度もリピートされて凄まじい恐怖を覚える。

 普通に生きていれば先ず見る事は無い残酷過ぎる殺され方に、ディーノは堪えがたい吐き気を催して地面の上にそのまま大量の嘔吐をした。

 その吐き気は暫く収まらず、四、五回吐き出して腹の中が空っぽに成るまで止まる事は無かった。



「ゲエッ、ウブッ…うぅッ。はぁはぁ……」



 腹の中が空っぽになって液体しか含まれていないゲロを吐き出した後、漸くディーノの吐き気が収まる。

 其れから思い出したかのように周囲を見回すと、目の前で兵士を打ち上げて顔面を踏み潰したであろう赤い靄は綺麗さっぱり消えていた。



(何だったんだろう、今のは……僕を助けてくれた?)



 兵士に撃ち殺されそうになった自分を助けてくれた事も有るが、ディーノはあの赤い靄に対して微塵も恐怖を感じていなかったのだ。

 異物感すら感じない、まるで生まれた時から何度も見ていたかの様に赤い靄が存在している空間に違和感を感じる事が出来なかった。



「……今は逃げないとッ」



 自分が幾ら考えても答えは出ない気がしたディーノは、この事を一先ず忘れてボートを運河に降ろすことをを優先させる。

 最後に無くなって頭部と腹部の全てが飛び出した兵士に死体に祈りを捧げ、ディーノはボートを運河に降ろして乗り込んだのだった。
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