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第61話 優しいタントンおじさん
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「君、お腹が空いてるんだってね? おじさんが一杯思う存分食べさせて上げるよ」
ディーノは肩を叩かれた衝撃と掛けられた声に驚き、素早く声の方へ首を向けた。
其処には張り付いた様な満面の笑みを浮かべてディーノを見下ろしている、大柄で熊の様な体型をした男が立っていた。
「おじさん、誰?」
ディーノは突如現われたニヤニヤとした目で自分を見下ろしてくる大男に不信感を覚え、一歩後ろに後退る。
すると大男はその後退った一歩の二倍はある大きな一歩で距離を詰めてきた。
「おっと、まだ名乗ってなかったね。私はタントン、この街で小さな会社を経営しているしがない商人だよ。君の名前は??」
「僕は、ディーノ」
タントンと名乗る男はニヤニヤと過剰なまでの笑顔を作り、やたらと大きな動作と声で演劇でも行っているかの様に自己紹介をした。
明らかに怪しい不審者であるが、ディーノは素直に名前を教えてしまう。
「ディーノか、まるで春先の日差しのような爽やかで良い名前だ。所でディーノ、君はお腹が空いてるんだってね。どうか私にご飯をご馳走させてくれないか?」
「ご馳走してくれるの?」
ディーノは心の何処かで怪しいと思いながらも抗いがたい空腹を感じて聞き返す。
口の中はついさっきまで砂漠のようにカラカラであったにも関わらず、堰を切ったように唾液が溢れ出て食べ物を入れろと泣きせがんでいる。
「ああ幾らでもご馳走してやるぞ? 肉でも魚でも野菜でもパンでもライスでもスープもデザートもつけてやろう。一流のシェフを雇っているから料理の種類だって多種多様、肉をハンバーグにだってステーキにだってローストビーフにも出来るぞ? どちらでも好きな方を選べば良い。おっと! 食べたければハンバーグとステーキを同時に食べたって構わんぞ??」
「本当!?」
ディーノは目をキラキラしながらタントンの話に食い付いた。
その途端周囲からクスクスという小さな笑い声が零れ始めるが、食欲に身体の全てを支配されているディーノの耳には届かない。
まるで餌を目の前に置かれた飼い犬の様にディーノは息を荒くして男に縋り付いた。
「ああ本当だ、私に付いて来て好きなだけ食べれば良い。お友達も一杯いるからきっと楽しいぞ~」
タントンは目が線になる程の笑顔になって、その僅かな隙間からギラギラした光を発しながらディーノを見る。
その時、ディーノがふと疑問に思った事を口走った。
「でも、なんで他人で面識もない僕にご馳走してくれるの?」
「あ?」
その言葉がディーノから発された瞬間、露骨にタントンの口端が下がって低くドスが効いた声が漏れ出る。
そして数秒間考える様にタントンは黙り、その後再び陽気で高い声になって返答を返した。
しかしその声は少し演技に疲れたのかトーンが小さくなっている。
「其れは困っている人間が居たら、特にその人間が幼い子供だったら助けて上げるのが人の道って奴だろ? 君は子供でお腹が空いている、其れだけでご飯をご馳走するには充分過ぎる理由さ。気にする事は無い」
「そう、なの?」
ディーノの奥底で息を顰めている理性が全力で警報を発するが、一刻も早くカロリーを摂取しろと叫ぶ本能の声に埋もれてしまう。
「ああ、そうさ。所でディーノ、君はジュースは好きかい?」
「うん、大好きだよ」
「そうかそうか…其れは良かった。大変素晴らしい事だ、君は良い子だね」
唯ジュースが好きだと答えただけで褒められた事に違和感を覚え、小首を傾げたディーノを尻目にタントンは懐を探り一本の銀色の水筒を取り出しす。
その瞬間周囲の零れ笑いが勢いを増し、所々から「愉快ですな」「ええ、愉快ですわね」という呟きが聞こえた。
タントンは張り付いた笑顔のままその水筒を数度振った。
しかしその瞬間彼の顔色が一変し、顔の笑顔を消える。
「チッ、切れてやがったのかよ……」
ディーノに背中を向けてフタを開け中を覗き込んだタントンは、中に殆ど液体が入っていない事を確認して毒づく。
周囲からは「え~ッ」という落胆した様な声が零れた。
タントンはその声がした方向に鬼のような努顔を向けた後、一瞬で笑顔を作り直してディーノに向き直った。
「どうしても君に飲ませて上げたい美味しいジュースがあるんだが、どうやら切らしてたみたいだ。あそこの店で買ってくるから少しの間此処で待っていてくれないかい?」
タントンはディーノの手を握りながら落ち着いた丁寧な口調で言った。
真っ直ぐに目尻が垂れ下がった目で見詰められたディーノは、凄まじい強さで両手を握られ、断りがたい圧迫感を感じ首を縦に振る。
その反応を見たタントンは嬉しそうにディーノの動きを真似て首を振り、ガッシリと掴んでいた両手を解放した。
「よし、じゃあ直ぐ戻って来るから此処で待っていてくれ。直ぐに戻って来るから動くなよ。良いな、絶対に動くなよッ!!」
少し口調を荒げながらタントンは言った。
そして再びディーノが首を縦に振ったのを確認すると満足そうに笑顔を深め、先程指差した緑色の外壁をしたカフェに小走りで向かったのだった。
ディーノは肩を叩かれた衝撃と掛けられた声に驚き、素早く声の方へ首を向けた。
其処には張り付いた様な満面の笑みを浮かべてディーノを見下ろしている、大柄で熊の様な体型をした男が立っていた。
「おじさん、誰?」
ディーノは突如現われたニヤニヤとした目で自分を見下ろしてくる大男に不信感を覚え、一歩後ろに後退る。
すると大男はその後退った一歩の二倍はある大きな一歩で距離を詰めてきた。
「おっと、まだ名乗ってなかったね。私はタントン、この街で小さな会社を経営しているしがない商人だよ。君の名前は??」
「僕は、ディーノ」
タントンと名乗る男はニヤニヤと過剰なまでの笑顔を作り、やたらと大きな動作と声で演劇でも行っているかの様に自己紹介をした。
明らかに怪しい不審者であるが、ディーノは素直に名前を教えてしまう。
「ディーノか、まるで春先の日差しのような爽やかで良い名前だ。所でディーノ、君はお腹が空いてるんだってね。どうか私にご飯をご馳走させてくれないか?」
「ご馳走してくれるの?」
ディーノは心の何処かで怪しいと思いながらも抗いがたい空腹を感じて聞き返す。
口の中はついさっきまで砂漠のようにカラカラであったにも関わらず、堰を切ったように唾液が溢れ出て食べ物を入れろと泣きせがんでいる。
「ああ幾らでもご馳走してやるぞ? 肉でも魚でも野菜でもパンでもライスでもスープもデザートもつけてやろう。一流のシェフを雇っているから料理の種類だって多種多様、肉をハンバーグにだってステーキにだってローストビーフにも出来るぞ? どちらでも好きな方を選べば良い。おっと! 食べたければハンバーグとステーキを同時に食べたって構わんぞ??」
「本当!?」
ディーノは目をキラキラしながらタントンの話に食い付いた。
その途端周囲からクスクスという小さな笑い声が零れ始めるが、食欲に身体の全てを支配されているディーノの耳には届かない。
まるで餌を目の前に置かれた飼い犬の様にディーノは息を荒くして男に縋り付いた。
「ああ本当だ、私に付いて来て好きなだけ食べれば良い。お友達も一杯いるからきっと楽しいぞ~」
タントンは目が線になる程の笑顔になって、その僅かな隙間からギラギラした光を発しながらディーノを見る。
その時、ディーノがふと疑問に思った事を口走った。
「でも、なんで他人で面識もない僕にご馳走してくれるの?」
「あ?」
その言葉がディーノから発された瞬間、露骨にタントンの口端が下がって低くドスが効いた声が漏れ出る。
そして数秒間考える様にタントンは黙り、その後再び陽気で高い声になって返答を返した。
しかしその声は少し演技に疲れたのかトーンが小さくなっている。
「其れは困っている人間が居たら、特にその人間が幼い子供だったら助けて上げるのが人の道って奴だろ? 君は子供でお腹が空いている、其れだけでご飯をご馳走するには充分過ぎる理由さ。気にする事は無い」
「そう、なの?」
ディーノの奥底で息を顰めている理性が全力で警報を発するが、一刻も早くカロリーを摂取しろと叫ぶ本能の声に埋もれてしまう。
「ああ、そうさ。所でディーノ、君はジュースは好きかい?」
「うん、大好きだよ」
「そうかそうか…其れは良かった。大変素晴らしい事だ、君は良い子だね」
唯ジュースが好きだと答えただけで褒められた事に違和感を覚え、小首を傾げたディーノを尻目にタントンは懐を探り一本の銀色の水筒を取り出しす。
その瞬間周囲の零れ笑いが勢いを増し、所々から「愉快ですな」「ええ、愉快ですわね」という呟きが聞こえた。
タントンは張り付いた笑顔のままその水筒を数度振った。
しかしその瞬間彼の顔色が一変し、顔の笑顔を消える。
「チッ、切れてやがったのかよ……」
ディーノに背中を向けてフタを開け中を覗き込んだタントンは、中に殆ど液体が入っていない事を確認して毒づく。
周囲からは「え~ッ」という落胆した様な声が零れた。
タントンはその声がした方向に鬼のような努顔を向けた後、一瞬で笑顔を作り直してディーノに向き直った。
「どうしても君に飲ませて上げたい美味しいジュースがあるんだが、どうやら切らしてたみたいだ。あそこの店で買ってくるから少しの間此処で待っていてくれないかい?」
タントンはディーノの手を握りながら落ち着いた丁寧な口調で言った。
真っ直ぐに目尻が垂れ下がった目で見詰められたディーノは、凄まじい強さで両手を握られ、断りがたい圧迫感を感じ首を縦に振る。
その反応を見たタントンは嬉しそうにディーノの動きを真似て首を振り、ガッシリと掴んでいた両手を解放した。
「よし、じゃあ直ぐ戻って来るから此処で待っていてくれ。直ぐに戻って来るから動くなよ。良いな、絶対に動くなよッ!!」
少し口調を荒げながらタントンは言った。
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