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第四話 オンラインマッチ⑧
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「……うん、やっぱり人間でもこの速度は見切れないらしいな」
自分が地に這い蹲らせたナイトを見下ろし、ジークは己の内に熱が湧き上がってくるのを感じた。
それは覗き込めば逆に引き摺り込まれてしまいそうでずっと目を背け続けてきた彼の本質。現実世界では生きづらい異常なまでの暴力性であった。
ッヒュン!!
背後より弓弦の弾ける音が聞こえ、脊髄のみで振り返ったジークの視界に自分へ向け一直線に迫る矢が飛び込んできた。
背後からの攻撃、動き出しが完全に遅れた、普通ならもう被弾は避けられない状況。
ダッダアンッ!!
しかし直後間髪入れず二つの地を蹴り抜く音が響き、『く』の字型の残像が描かれると共に何とアーチャーが吹き飛んだ。
そして矢が目前まで迫る決死状況にあった筈のジークは、冷や汗一滴無くその自らが殴り付けた身体が倒れていく様を間近で眺めたのである。
この時アサシンの瞳に宿っていたのは戦いの闘魂では無い。まるでモルモットを眺める様に、現在の自分の立ち位置を計る物差しとしてその冷光はアーチャーを見ていた。
そしてその内で膨らんでいく残酷な好奇心のまま、ジークは更なる追撃を行う。
ドゴォウッ!!
(よし、上手く動きが繋がった)
倒れゆく敵プレイヤーをその身が地に着く寸前にさながらリフティングの如く蹴り上げ、ジークは脳内でそう呟く。
彼にとってこの戦いは実験なのである。このゲームで出せる速度の上限一歩手前、レベル9のステータスにエルメスシューズのスピードバフを乗せた世界で自分がどれだけ動けるのかという実験。
(大体60%くらいか、回線悪いフレーム飛びのある格ゲーやってる気分だな……)
アサシンのスピードで方向転換出来るだけで既に前代未聞の偉業。
しかしそんな事など露知らぬジークは、冷静に自らが平常時に比べどの程度動けるのかをパーセンテージで割り出していた。
流石の彼も現実世界と全く同じ動きをこの超高速状態で行える訳ではない。頭で描いていた動きからやはりワンテンポ遅れてしまうし、攻撃の精度も若干落ちてしまう。
現に今ももっと高い位置で蹴りを叩き込こもうとして動き出しが遅れ、顎を狙ったにも関わらず鼻筋辺りへと命中させてしまった。加えて言うなら最初矢を避けたタイミングでも動きに無駄が多すぎる。
それらを全て加味し、ジークは今の自らに平常時の60%と値を付けたのだった。
しかしその冷静さ故更に恐ろしい意味を持つのは、彼がこの戦いの中でその数字を70までは高められると確信しているという事実。
スゥオンッ!! スゥオンッ!!
しかし蹴り上げられたアーチャーの身体が重力に従い落下する寸前、息つく暇無く次なる攻撃がジークを襲った。
「……………対人戦って感じがしてきたなッ」
その大気が切り裂かれる音を聞いたジークは難なくバックステップにて身を迫る影の軌道上より逃した。だが背後へ飛びながら身体を僅かに回転させ影の正体を見たジークは、その口に薄い笑みを浮かべたのである。
攻撃の正体はアイテム『スロウナイフ』。この場で最初にジークの襲撃を受けたマーチャントが立ち直り、投擲してきた投げナイフであった。
マーチャントは全ジョブ中最多のアイテム所持枠を持つ商人。その枠数は通常状態で五つ、クラススキルとジョブスキルを組み合わせればその枠数は九つにまで到達する。
それ故このジョブを使用するプレイヤーはその大量に抱えた商品の中から正解を選ぶ能力。状況に応じ必要なアイテムを瞬時に選択し、それを適切に使用する能力が求められる。
その観点で、敵のマーチャントが選んだのは正しく模範解答であった。
(マイナージョブでも対策はバッチリって事か…)
スロウナイフというアイテムは本来レンジャークラス同士の戦いや牽制に使われる物。殆ど再使用までのラグが無く射程も速度も優れた飛び道具なのだが、その扱い易さの代償に威力はウォーリアクラスを相手取るには心許ない数値に設定されている。
しかしウォーリアクラスの中で、アサシンだけは話が別だ。
アサシンは全クラス中トップの攻撃力とスピードを与えられている代わりに体力のステータスが『18』という絶望的に低い数字となっている。
この数値では、例え威力の低いスロウナイフだろうと両手両足以外の部分に命中した瞬間全ての体力が吹き飛んでしまうのだ。
アサシンとは、例えレベル10に到達したとしても全プレイヤーに対してキルを取られるリスクを抱え続けなくては成らないクラスなのである。
(良いね。これくらい緊張感があった方が練習になるッ)
しかし攻撃は全て回避するので体力値は無限という謎理論でアサシンを使っているジークにとって、そんなリスクなど存在しないも同じであった。
スゥオンッ!!
マーチャントが再びナイフを投擲してきた。
今度は真正面に敵が位置し放たれる瞬間も目に入っている、回避がそれ程難しいシチュエーションではない。しかしジークは敢えてその切っ先が迫る中、身体を微動だにせず静止させ続けたのである。
そして刃の煌めきが自らの顔より数センチの所まで到達した瞬間、ジークの身体が突如ブレた。
ブオォォンッ
人体が風を押し退ける音と共にジークの姿が消え、そのほんの一瞬き前まで彼の身体が存在していた空間をナイフが貫き、また次の瞬間にはナイフが貫いた空間にジークの姿が戻っていた。
彼に言わせればギリギリで上体を逸らし、素早くフラットな状態へと戻っただけ。しかし傍目にはまるでナイフが擦り抜けた様に見える凄まじいボディーコントロール。
しかしその常人であればアサシンのスピード値無しでも実現不可能な神業を披露しておきながら、ジークの反応は芳しく無かった。
(今のは65%くらいか、もう少し戻りが速く出来た)
スロウナイフを回避する事は出来たが、彼の体感ではまだ焦れったいラグの様な物が存在しているのである。自分の脳が肉体のスペックを十二分に発揮出来てないという漠然とした不完全感が頭に残った。
『もっと自分を追い込み、必要に迫られろ』、そう不意に昔怖くて苦手だった爺ちゃんに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
(必要に迫られろか…………)
ズザァンッ!!
(…………これで良いのかよ、爺ちゃん)
あの日意味が理解出来ず泣き喚く事しか出来なかった祖父の言葉に今頃自己満足的に返答し、地面を一発蹴った。
そしてその一蹴りでジークが移動した先は、たった今この瞬間次撃を振りかぶっていたマーチャントの目前。
「…ッ”!?」
ジークが突如正面に移動してから一瞬遅れ、マーチャントの顔が驚愕で引き攣った。
その瞬間彼に許された行動はただ一つ。自分がやられる前に敵をやる、それ以外の選択を許さぬ互いの距離。
しかし人間とは面白い物で、そういう選択肢が一つしかない場面に追い詰められると返って動けなく生き物なのだとジークはこの時は学んだ。マーチャントの手が漸く動いたのは、本来であれば十度命を取られていてもおかしくは無い間を挟んだ後。
互いの間に存在する距離1メートル、遮る物は無し、双方身体の正面を向けている状況。マーチャントの右手よりアサシンの眉間へとナイフが投擲された。
スゥオ”ォォォンッ!! ストンッ
その瞬間、マーチャントの投擲したナイフとジークの身体が同時に風を切った。
そしてその音から僅かなラグを挟んで、ナイフがジークの背後に立っていた大木の幹に突き刺さったのである。
それは彼があの至近距離より放たれた攻撃を回避してみせたという証拠。更にそのナイフが木の幹へ突き刺さるより速く彼の拳がマーチャントの顔面を捉えていたという事実は、ジークが返しの刃でカウンターを刺せる程度には余裕を残していたという証明と成った。
(……あと十秒かッ)
視界の端、其処に表示された現在使用している『エルメスシューズ』の残り効果時間を確認したジークはギアを一段上げる。
このアイテムによるスピードのバフが残っている間に行ける所まで行ってしまいたかった。
ダア”ンッ!! ダア”ンッ! ダンッ、ダァッ、ダッダダダダダダダダ″ッ!!!!
ジークは自分以外の森羅万象が酷くゆっくりに映る視界の中、顔面に拳を受けたった今吹飛ばされている最中のマーチャントへと無慈悲な連撃を叩き込んだ。
この瞬間考えていた事はただ一つ、更に速く、只管に速さだけを求めていた。
面白くない事が追い付いてこられない様に。自分の周りへ速度という防壁を築く様に。本当の自分に成っても誰の目にも留まらないくらい只管に速く、速く、速く、速く……………
(あと、一秒……ッ)
自分の名さえ思い出せない様な暴力による自己陶酔の渦へ呑まれていた彼の視界の端で、アイテムの効果持続時間が残り一秒となった。
其処で頭で考えるよりも速く彼の腕は腰に差していた短刀へと伸びる。
そしてこの一秒にて現在己に辿り付ける頂きを定めんと、黒赤の凶刃を抜き払ったのである。
………………………………………ズゥオンッ
瞬間的に万物が静止した。落ちる木の葉も、舞い上げられた砂粒も、零れた露も宙にて固まる。己以外誰も居ない世界へ辿り着いたジークは唯一人速さを求めた。
そして音すら追い付く事が出来ぬ八度の剣閃が煌めき、世界が再び動き始める。
………ブオ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ン!!!!
斬撃に数刹那遅れ、彼らを中心とした光粒と疾風が四方へ爆ぜたのだった。
【アイテム『ヘルメスシューズ』の効果時間が切れました】
【キルログ コード・ジーク→Gawain✖】
【レベルアップ レベル10へと到達しました】
【プレイヤー コード・ジークが最高レベルへ到達。チームレッドにレベル10プレイヤーが誕生しました、勝利は目前です】
自分が地に這い蹲らせたナイトを見下ろし、ジークは己の内に熱が湧き上がってくるのを感じた。
それは覗き込めば逆に引き摺り込まれてしまいそうでずっと目を背け続けてきた彼の本質。現実世界では生きづらい異常なまでの暴力性であった。
ッヒュン!!
背後より弓弦の弾ける音が聞こえ、脊髄のみで振り返ったジークの視界に自分へ向け一直線に迫る矢が飛び込んできた。
背後からの攻撃、動き出しが完全に遅れた、普通ならもう被弾は避けられない状況。
ダッダアンッ!!
しかし直後間髪入れず二つの地を蹴り抜く音が響き、『く』の字型の残像が描かれると共に何とアーチャーが吹き飛んだ。
そして矢が目前まで迫る決死状況にあった筈のジークは、冷や汗一滴無くその自らが殴り付けた身体が倒れていく様を間近で眺めたのである。
この時アサシンの瞳に宿っていたのは戦いの闘魂では無い。まるでモルモットを眺める様に、現在の自分の立ち位置を計る物差しとしてその冷光はアーチャーを見ていた。
そしてその内で膨らんでいく残酷な好奇心のまま、ジークは更なる追撃を行う。
ドゴォウッ!!
(よし、上手く動きが繋がった)
倒れゆく敵プレイヤーをその身が地に着く寸前にさながらリフティングの如く蹴り上げ、ジークは脳内でそう呟く。
彼にとってこの戦いは実験なのである。このゲームで出せる速度の上限一歩手前、レベル9のステータスにエルメスシューズのスピードバフを乗せた世界で自分がどれだけ動けるのかという実験。
(大体60%くらいか、回線悪いフレーム飛びのある格ゲーやってる気分だな……)
アサシンのスピードで方向転換出来るだけで既に前代未聞の偉業。
しかしそんな事など露知らぬジークは、冷静に自らが平常時に比べどの程度動けるのかをパーセンテージで割り出していた。
流石の彼も現実世界と全く同じ動きをこの超高速状態で行える訳ではない。頭で描いていた動きからやはりワンテンポ遅れてしまうし、攻撃の精度も若干落ちてしまう。
現に今ももっと高い位置で蹴りを叩き込こもうとして動き出しが遅れ、顎を狙ったにも関わらず鼻筋辺りへと命中させてしまった。加えて言うなら最初矢を避けたタイミングでも動きに無駄が多すぎる。
それらを全て加味し、ジークは今の自らに平常時の60%と値を付けたのだった。
しかしその冷静さ故更に恐ろしい意味を持つのは、彼がこの戦いの中でその数字を70までは高められると確信しているという事実。
スゥオンッ!! スゥオンッ!!
しかし蹴り上げられたアーチャーの身体が重力に従い落下する寸前、息つく暇無く次なる攻撃がジークを襲った。
「……………対人戦って感じがしてきたなッ」
その大気が切り裂かれる音を聞いたジークは難なくバックステップにて身を迫る影の軌道上より逃した。だが背後へ飛びながら身体を僅かに回転させ影の正体を見たジークは、その口に薄い笑みを浮かべたのである。
攻撃の正体はアイテム『スロウナイフ』。この場で最初にジークの襲撃を受けたマーチャントが立ち直り、投擲してきた投げナイフであった。
マーチャントは全ジョブ中最多のアイテム所持枠を持つ商人。その枠数は通常状態で五つ、クラススキルとジョブスキルを組み合わせればその枠数は九つにまで到達する。
それ故このジョブを使用するプレイヤーはその大量に抱えた商品の中から正解を選ぶ能力。状況に応じ必要なアイテムを瞬時に選択し、それを適切に使用する能力が求められる。
その観点で、敵のマーチャントが選んだのは正しく模範解答であった。
(マイナージョブでも対策はバッチリって事か…)
スロウナイフというアイテムは本来レンジャークラス同士の戦いや牽制に使われる物。殆ど再使用までのラグが無く射程も速度も優れた飛び道具なのだが、その扱い易さの代償に威力はウォーリアクラスを相手取るには心許ない数値に設定されている。
しかしウォーリアクラスの中で、アサシンだけは話が別だ。
アサシンは全クラス中トップの攻撃力とスピードを与えられている代わりに体力のステータスが『18』という絶望的に低い数字となっている。
この数値では、例え威力の低いスロウナイフだろうと両手両足以外の部分に命中した瞬間全ての体力が吹き飛んでしまうのだ。
アサシンとは、例えレベル10に到達したとしても全プレイヤーに対してキルを取られるリスクを抱え続けなくては成らないクラスなのである。
(良いね。これくらい緊張感があった方が練習になるッ)
しかし攻撃は全て回避するので体力値は無限という謎理論でアサシンを使っているジークにとって、そんなリスクなど存在しないも同じであった。
スゥオンッ!!
マーチャントが再びナイフを投擲してきた。
今度は真正面に敵が位置し放たれる瞬間も目に入っている、回避がそれ程難しいシチュエーションではない。しかしジークは敢えてその切っ先が迫る中、身体を微動だにせず静止させ続けたのである。
そして刃の煌めきが自らの顔より数センチの所まで到達した瞬間、ジークの身体が突如ブレた。
ブオォォンッ
人体が風を押し退ける音と共にジークの姿が消え、そのほんの一瞬き前まで彼の身体が存在していた空間をナイフが貫き、また次の瞬間にはナイフが貫いた空間にジークの姿が戻っていた。
彼に言わせればギリギリで上体を逸らし、素早くフラットな状態へと戻っただけ。しかし傍目にはまるでナイフが擦り抜けた様に見える凄まじいボディーコントロール。
しかしその常人であればアサシンのスピード値無しでも実現不可能な神業を披露しておきながら、ジークの反応は芳しく無かった。
(今のは65%くらいか、もう少し戻りが速く出来た)
スロウナイフを回避する事は出来たが、彼の体感ではまだ焦れったいラグの様な物が存在しているのである。自分の脳が肉体のスペックを十二分に発揮出来てないという漠然とした不完全感が頭に残った。
『もっと自分を追い込み、必要に迫られろ』、そう不意に昔怖くて苦手だった爺ちゃんに言われた言葉が脳裏を過ぎる。
(必要に迫られろか…………)
ズザァンッ!!
(…………これで良いのかよ、爺ちゃん)
あの日意味が理解出来ず泣き喚く事しか出来なかった祖父の言葉に今頃自己満足的に返答し、地面を一発蹴った。
そしてその一蹴りでジークが移動した先は、たった今この瞬間次撃を振りかぶっていたマーチャントの目前。
「…ッ”!?」
ジークが突如正面に移動してから一瞬遅れ、マーチャントの顔が驚愕で引き攣った。
その瞬間彼に許された行動はただ一つ。自分がやられる前に敵をやる、それ以外の選択を許さぬ互いの距離。
しかし人間とは面白い物で、そういう選択肢が一つしかない場面に追い詰められると返って動けなく生き物なのだとジークはこの時は学んだ。マーチャントの手が漸く動いたのは、本来であれば十度命を取られていてもおかしくは無い間を挟んだ後。
互いの間に存在する距離1メートル、遮る物は無し、双方身体の正面を向けている状況。マーチャントの右手よりアサシンの眉間へとナイフが投擲された。
スゥオ”ォォォンッ!! ストンッ
その瞬間、マーチャントの投擲したナイフとジークの身体が同時に風を切った。
そしてその音から僅かなラグを挟んで、ナイフがジークの背後に立っていた大木の幹に突き刺さったのである。
それは彼があの至近距離より放たれた攻撃を回避してみせたという証拠。更にそのナイフが木の幹へ突き刺さるより速く彼の拳がマーチャントの顔面を捉えていたという事実は、ジークが返しの刃でカウンターを刺せる程度には余裕を残していたという証明と成った。
(……あと十秒かッ)
視界の端、其処に表示された現在使用している『エルメスシューズ』の残り効果時間を確認したジークはギアを一段上げる。
このアイテムによるスピードのバフが残っている間に行ける所まで行ってしまいたかった。
ダア”ンッ!! ダア”ンッ! ダンッ、ダァッ、ダッダダダダダダダダ″ッ!!!!
ジークは自分以外の森羅万象が酷くゆっくりに映る視界の中、顔面に拳を受けたった今吹飛ばされている最中のマーチャントへと無慈悲な連撃を叩き込んだ。
この瞬間考えていた事はただ一つ、更に速く、只管に速さだけを求めていた。
面白くない事が追い付いてこられない様に。自分の周りへ速度という防壁を築く様に。本当の自分に成っても誰の目にも留まらないくらい只管に速く、速く、速く、速く……………
(あと、一秒……ッ)
自分の名さえ思い出せない様な暴力による自己陶酔の渦へ呑まれていた彼の視界の端で、アイテムの効果持続時間が残り一秒となった。
其処で頭で考えるよりも速く彼の腕は腰に差していた短刀へと伸びる。
そしてこの一秒にて現在己に辿り付ける頂きを定めんと、黒赤の凶刃を抜き払ったのである。
………………………………………ズゥオンッ
瞬間的に万物が静止した。落ちる木の葉も、舞い上げられた砂粒も、零れた露も宙にて固まる。己以外誰も居ない世界へ辿り着いたジークは唯一人速さを求めた。
そして音すら追い付く事が出来ぬ八度の剣閃が煌めき、世界が再び動き始める。
………ブオ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ン!!!!
斬撃に数刹那遅れ、彼らを中心とした光粒と疾風が四方へ爆ぜたのだった。
【アイテム『ヘルメスシューズ』の効果時間が切れました】
【キルログ コード・ジーク→Gawain✖】
【レベルアップ レベル10へと到達しました】
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