バンクエットオブレジェンズ~フルダイブ型eスポーツチームに拉致ッ、スカウトされた廃人ゲーマーのオレはプロリーグの頂点を目指す事に!!~

NEOki

文字の大きさ
39 / 65

第六話 イベント②

しおりを挟む
 『バンクエットオブレジェンズ ファンフェス』、通称BFFはバンクエットオブレジェンズ公式が主宰しているイベントの中でも最大規模を誇る催し物。
 その特徴は他の巨大イベントであるプロリーグやチャンピオンフェスとは異なり上級者から初級者、更にはゲームをプレイしていない者まで自由に参加出来る敷居の低さにあった。

 会場ではバラエティー豊かな屋台グルメを堪能したり、景品が貰えるゲームに挑戦して限定グッズを入手したり、更にはアイドルのコンサート等も行なわれて一日中居ても飽きる事の無い正しくお祭りだ。

 更に当然ゲームイベントらしくプレイヤー同士の交流も可能。
 プロプレイヤーに挑戦出来るコーナーや会場に来た人同士がフリーに対戦出来るコーナー。更には普段プレイしている様子を見れない開発陣と有名インフルエンサーが戦うコーナー等が存在し人を集めている。

 そして疾風がこの幕張メッセで開催されたBFFへと半年ぶりに外出しタクシーに乗ってまでやって来た理由。それはそのイベント内で行われるコーナーの1つにあった。

 対戦イベントの一つに『勝ち残りタイマンバトル』という、一般プレイヤー同士が普段の試合とは異なる1対1のレベル10状態で戦えるというコーナーがある。
 そしてそのコーナーでは名前の通り勝ったプレイヤーが残り連戦してゆき、勝利数を重ねれば重ねる程よりレアなイベント限定報酬が受け取れるという仕組みに成っていた。
 疾風は、このイベントの一勝報酬である限定スキンを欲していたのだ。

 昨日のランクマッチで邪険にされてから調べたのだが、どうやらこのバンクエットオブレジェンズではスキンが初期状態のままだと地雷の可能性が高いとして嫌がられるそうだ。
 それに加え、アサシンなんてマイナージョブを使用していれば尚更である。

 正直スキンとジョブだけで人を地雷だと決めつける輩はどうかと思う。
 だがそれで毎回マッチングする度に白い目を向けられていては敵わない。

 其処でネットで調べた結果初期スキンより課金スキン、課金スキンよりもイベント限定スキンを使用しているプレイヤーは信用度が高く見積もられるとの情報を得て、遥々はるばる幕張メッセまで取りに来たのだ。


「此処…何処だ…………??」


 そして遥々やって来て、疾風は迷子と成っている。

(おッ、おかしいな、そんなに会場の前から移動してない筈なのに…歩いても歩いても元居た場所に戻れない)

 疾風は凪咲に言われた通り会場である幕張メッセの真正面にタクシーで降り立った。
 しかしその久し振りに足を踏み入れた外の世界が物珍しく感じ、キョロキョロと忙しなく首を振りながら歩いている内にいつの間にか会場外へ出てしまった様なのである。

 そして来た道を必死に思い出しながら戻っているのだが、歩けば歩く程見た事の無い場所が現われ、もうどの方向へ向って歩けば良いのかすら分からなく成ってしまっていた。

(あ、そうだ! 携帯のマップを使って幕張メッセまで案内してもらえば………ッ!?)

 今時小学生でも思い付きそうな事をさも妙案みょうあん思い付きたりという表情で閃いた疾風は、携帯を入れていた筈のポケットを探った。
 しかし、無いのである。掌を内に収めるのみで一杯一杯というスペースを入念に1分程掛けて探っても、携帯の硬質な感触は見つからなかった。

 それでも往生際悪く自らの身に起った出来事を認められない彼は全身全てのポケットをまさぐった。しかしその全ての時間が結果的に無駄と成る
 携帯を落した。恐らく乗ってきたタクシーの中か、若しくはこの迷子に成っている道の何処かに。

(ヤバい、ヤバいぞ…ッ!! 何か急に心細く成ってきた。此処何処ッ!?)

 携帯を探しながらも、事態は刻一刻悪化を続ける。
 ポケットを探るのに意識を取られ、碌に前も見ず歩き続けた結果更に迷子の深みへと嵌っていたのである。

 気が付くと周囲には幕張メッセが有りそうな気配すら消失し、『一時間~円』や『一休み如何ですか?』という看板が周囲を囲むホテル街へと迷い込んでしまっていた。

(これはマジで不味い、これ以上下手に動くと取り返しの付かない事に成る気がする………)

 現状、自分の行動全てが事態を悪化に導いている事に疑いようはない。
 動けば動く程深みに嵌ってゆく今の疾風には、この都会のコンクリートジャングルが流砂の蟻地獄に見えていた。

(如何する? いや如何するもこうするも無いだろッ。携帯が無いんだ、誰かに道を聞くしかない)

 幸い、其処の判断は最低限間違わなかった。これ以上何も分からないのに一人で足掻いても事態が悪化するのみ。
 誰かに幕張メッセへの道を尋ねなくては成らない。

 しかしネットを除けばもう2年以上妹以外の人間と話していない疾風には、如何やって他人に話掛ければ良いのか分からなかった。
 誰なら話し掛けて良いのかも、どんな口調で話し掛ければ良いのかも、最後何とお礼を言えば良いのかも分からなかったのである。

(いやッ、そんな事言って居る場合じゃない。多少恥を掻く事に成ったとしても誰かに話し掛けないと………よし、さッ四人目に擦れ違った人に道を聞こう!!)

 疾風は最初三人と心を決めようとしてビビり、四人目の人に道を尋ねる事を決めた。
 そうして顔を見ると緊張するから俯いた彼の横を一人、二人、三人と気配が通り過ぎていき、等々四つ目の足音が近付いてくる。

・・・………ッ………ッ………カツッ……カツッ…カツッ、カツッ
 
 そして、遂に四つ目の影が隣を横切った。

「あのッ、済みませんッ!!」

 疾風は覚悟が揺らがぬようにギュッと目を瞑り、振り向いてその擦れ違った影へと声を掛けた。


「あぁ”んッ?」


 しかし返って来た低いしゃがれ声、そして開けた目に映った巨大なドクロがプリントされたパーカーの後姿を見た彼は、自分が運命の神に見放されたのだと悟る。

 疾風が道を聞こうとした四人目に擦れ違った人物。太陽光を眩く反射するボブヘアーの金髪で、両耳にピアスを付けた女性が、凄まじい眼光をその瞳より放ちながら振り返ったのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...