1 / 29
序章
1.乙女ゲームのヒロイン、リリー
私の名前はリリー・ロックベル。
桃色の髪と目はアルトゥール国内でも珍しく、私の自慢だ。
でも、一番の自慢はこの容姿
大きな、くるりとした目、シャープな顔立ち。美人よりは可愛いと評されることが多いけど、だからって子供っぽい顔ではない。
ちゃんとした淑女の顔立ちをしているし、細身だけど出るところは出ている大人の女性だ。
そういうところを含めて、全てが魅力的な存在。それが私だった。
ただ一つ不満があるとすれば身分だ。
子爵令嬢なんて、下から数えた方が全然早い。私には似合わない身分だ。
もちろん、両親には感謝している。
私がこんなに可愛く生まれたのは全て両親のおかげだ。それでも、不満が生まれるのは仕方がない。
だけど大丈夫!
私はこの顔と持ち前の聡明さで玉の輿を狙うから。
もちろん、私を可愛く産んでくれた両親にもちゃんとおこぼれをあげるわ。
それが親孝行というものでしょう。
私ってね、見た目だけではなく心も綺麗なの。
それにね、もう一つ私には特別な秘密があるの。これは、誰にも言っていない、私だけの秘密よ。
それはね、私には前世の記憶があるの。
私はこことは違う、日本というここよりも文明が遥かに発達した世界で生きていた。
だけど、病弱で学校にはほとんど行けなかった。
それは大人になっても同じ。三十歳になっても病弱は変わらず、働くこともできないの。
可哀想でしょう。
そんな可哀想な私を両親や兄、姉妹が面倒を見てくれた。
両親は私のことをよく理解してくれて何でもしてくれたし、何でも買ってくれた。
だって、まともに働けないんだよ。可哀想でしょう。
だけど、兄と姉妹は理解力が乏しいみたいで私のことを蔑んだ目で見るの。
「いい歳なんだから、病弱を言い訳にしてないで少しは働けよ」
「どうして自分で稼いだお金を何の苦労もしていない妹に渡さないといけないの」
「ニートの姉がいるなんて恥ずかしい」
とか言うんだよ。酷いよね。私だって、好きで家にいるわけじゃないのに。働けるものなら働きたいよ。でも、体が弱いんだから仕方がないじゃない。
だけど、うるさいから仕方なく仕事を探すことにした。でも、病弱で、結構休んでしまうから周りに嫌われちゃうんだよね。
「本当に体が弱いなら仕方がないけどさ、実際に弱いのかもしれないけど」
「でもさ、明日絶対に休むよね。って予想できる休みってさぁ、もう病弱じゃなくて仮病でしょ」
「だよねぇ」
とか、陰で言われたらさ行きづらくなっちゃうよね。誰も私のことを理解してくれないの。そんなんじゃあ、仕事もしづらくなって、辞めちゃうのは仕方がないよね。
すると、兄や姉妹は「また辞めたのか?」「どうして真面目に働かないの?私たちの収入を当てにしないでよ」「私、結婚を考えてるの。だからお姉ちゃんの面倒を見続けるなんて無理よ」とか言うのよ。
それでも家族なのって、大喧嘩。
お父さんとお母さんがきっとみんなを説得してくれるはずだから、それまで外でぶらついてようと久しぶりに居酒屋を梯子したの。
それがいけなかった。
「おい、赤信号だぞっ!」
「うへぇ?」
久しぶりのお酒で気分も高揚して、飲みすぎちゃった。フラフラと歩いていると後ろにいる誰かが怒鳴ってきた。いい気分なのに、何のよと一言文句を言ってやろうと思ったらクラックションが鳴り響いた。
もう、うるさいな。せっかくの気分が台無しだよと思ったのも束の間、今まで感じたことがないほどの衝撃を感じた。
何が起こったのか分からなかった。身体中が痛くて、助けて欲しくて声を出そうとしても何も出なかった。
周囲に人が集まって、私を見下ろしている。何かヒソヒソと話しているし、写真を撮っている人もいた。
どうして誰も助けてくれないの?って思いながら私は目を閉じた。だって、何だかすごく眠たかったから。
気がつけば私は、知らない世界にいた。最初は戸惑ったけど、リリーという名前とこの可愛い容姿を見てすぐに自分が死んで、転生したのだと理解した。
しかも、ただ転生したんじゃない。
私がハマっていた乙女ゲームの世界なの。
病弱だった私はみんなみたいに働けない。家の中が私の世界だったの。そんな可哀想な私の唯一の楽しみがこの乙女ゲーム
主人公リリーが王子に溺愛されてハッピーエンドになるゲームなの。
他の乙女ゲームと違って攻略対象者は王子だけっていうのがやや不満だったけど。
でも、それが良かったのかかなり人気になってアニメ化、コミック化までしたの。
そうすると、今までただのモブキャラでしかなかった連中が実はすっごいイケメンだっていうのが分かって、結構二次創作とかが大量に出回った。私は全て網羅した。
そんな私だからこそリリーに転生できたのだ。
私ほどリリーに相応しい人間はいないだろう。
ゲームの舞台である学校入学まではかなり長かったけど、やっと念願のゲーム開始時期になったらゲームの知識を活かして王太子に近づいた。
当然だけど、王太子には公爵令嬢の婚約者がいた。
恋にスパイスはつきものだけ、それでも性格最悪の公爵令嬢に虐められるのは怖いなぁっと構えていたら、何もしてこなかった。
どういうことだろう?と、様子を見てみても、やっぱり何もしてこない。
これじゃあ、ゲームが進まないじゃない。もう、サボらずに仕事をしてよね。
怠惰な悪役令嬢に代わって、色々と動く羽目になったのは業腹だったけど、私は優しいから許してあげることにしたの。
そのおかげで、悪役令嬢は王子様と婚約破棄が成功、悪役令嬢らしく表舞台から退場となった。全部、私の功績。でも、私はヒロインだからそんなことを鼻にかけたりはしないの。
ヒロインらしく、王子様と幸せになりました・・・・・で、終わるはずだった。
桃色の髪と目はアルトゥール国内でも珍しく、私の自慢だ。
でも、一番の自慢はこの容姿
大きな、くるりとした目、シャープな顔立ち。美人よりは可愛いと評されることが多いけど、だからって子供っぽい顔ではない。
ちゃんとした淑女の顔立ちをしているし、細身だけど出るところは出ている大人の女性だ。
そういうところを含めて、全てが魅力的な存在。それが私だった。
ただ一つ不満があるとすれば身分だ。
子爵令嬢なんて、下から数えた方が全然早い。私には似合わない身分だ。
もちろん、両親には感謝している。
私がこんなに可愛く生まれたのは全て両親のおかげだ。それでも、不満が生まれるのは仕方がない。
だけど大丈夫!
私はこの顔と持ち前の聡明さで玉の輿を狙うから。
もちろん、私を可愛く産んでくれた両親にもちゃんとおこぼれをあげるわ。
それが親孝行というものでしょう。
私ってね、見た目だけではなく心も綺麗なの。
それにね、もう一つ私には特別な秘密があるの。これは、誰にも言っていない、私だけの秘密よ。
それはね、私には前世の記憶があるの。
私はこことは違う、日本というここよりも文明が遥かに発達した世界で生きていた。
だけど、病弱で学校にはほとんど行けなかった。
それは大人になっても同じ。三十歳になっても病弱は変わらず、働くこともできないの。
可哀想でしょう。
そんな可哀想な私を両親や兄、姉妹が面倒を見てくれた。
両親は私のことをよく理解してくれて何でもしてくれたし、何でも買ってくれた。
だって、まともに働けないんだよ。可哀想でしょう。
だけど、兄と姉妹は理解力が乏しいみたいで私のことを蔑んだ目で見るの。
「いい歳なんだから、病弱を言い訳にしてないで少しは働けよ」
「どうして自分で稼いだお金を何の苦労もしていない妹に渡さないといけないの」
「ニートの姉がいるなんて恥ずかしい」
とか言うんだよ。酷いよね。私だって、好きで家にいるわけじゃないのに。働けるものなら働きたいよ。でも、体が弱いんだから仕方がないじゃない。
だけど、うるさいから仕方なく仕事を探すことにした。でも、病弱で、結構休んでしまうから周りに嫌われちゃうんだよね。
「本当に体が弱いなら仕方がないけどさ、実際に弱いのかもしれないけど」
「でもさ、明日絶対に休むよね。って予想できる休みってさぁ、もう病弱じゃなくて仮病でしょ」
「だよねぇ」
とか、陰で言われたらさ行きづらくなっちゃうよね。誰も私のことを理解してくれないの。そんなんじゃあ、仕事もしづらくなって、辞めちゃうのは仕方がないよね。
すると、兄や姉妹は「また辞めたのか?」「どうして真面目に働かないの?私たちの収入を当てにしないでよ」「私、結婚を考えてるの。だからお姉ちゃんの面倒を見続けるなんて無理よ」とか言うのよ。
それでも家族なのって、大喧嘩。
お父さんとお母さんがきっとみんなを説得してくれるはずだから、それまで外でぶらついてようと久しぶりに居酒屋を梯子したの。
それがいけなかった。
「おい、赤信号だぞっ!」
「うへぇ?」
久しぶりのお酒で気分も高揚して、飲みすぎちゃった。フラフラと歩いていると後ろにいる誰かが怒鳴ってきた。いい気分なのに、何のよと一言文句を言ってやろうと思ったらクラックションが鳴り響いた。
もう、うるさいな。せっかくの気分が台無しだよと思ったのも束の間、今まで感じたことがないほどの衝撃を感じた。
何が起こったのか分からなかった。身体中が痛くて、助けて欲しくて声を出そうとしても何も出なかった。
周囲に人が集まって、私を見下ろしている。何かヒソヒソと話しているし、写真を撮っている人もいた。
どうして誰も助けてくれないの?って思いながら私は目を閉じた。だって、何だかすごく眠たかったから。
気がつけば私は、知らない世界にいた。最初は戸惑ったけど、リリーという名前とこの可愛い容姿を見てすぐに自分が死んで、転生したのだと理解した。
しかも、ただ転生したんじゃない。
私がハマっていた乙女ゲームの世界なの。
病弱だった私はみんなみたいに働けない。家の中が私の世界だったの。そんな可哀想な私の唯一の楽しみがこの乙女ゲーム
主人公リリーが王子に溺愛されてハッピーエンドになるゲームなの。
他の乙女ゲームと違って攻略対象者は王子だけっていうのがやや不満だったけど。
でも、それが良かったのかかなり人気になってアニメ化、コミック化までしたの。
そうすると、今までただのモブキャラでしかなかった連中が実はすっごいイケメンだっていうのが分かって、結構二次創作とかが大量に出回った。私は全て網羅した。
そんな私だからこそリリーに転生できたのだ。
私ほどリリーに相応しい人間はいないだろう。
ゲームの舞台である学校入学まではかなり長かったけど、やっと念願のゲーム開始時期になったらゲームの知識を活かして王太子に近づいた。
当然だけど、王太子には公爵令嬢の婚約者がいた。
恋にスパイスはつきものだけ、それでも性格最悪の公爵令嬢に虐められるのは怖いなぁっと構えていたら、何もしてこなかった。
どういうことだろう?と、様子を見てみても、やっぱり何もしてこない。
これじゃあ、ゲームが進まないじゃない。もう、サボらずに仕事をしてよね。
怠惰な悪役令嬢に代わって、色々と動く羽目になったのは業腹だったけど、私は優しいから許してあげることにしたの。
そのおかげで、悪役令嬢は王子様と婚約破棄が成功、悪役令嬢らしく表舞台から退場となった。全部、私の功績。でも、私はヒロインだからそんなことを鼻にかけたりはしないの。
ヒロインらしく、王子様と幸せになりました・・・・・で、終わるはずだった。
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
わたしはくじ引きで選ばれたにすぎない婚約者だったらしい
よーこ
恋愛
特に美しくもなく、賢くもなく、家柄はそこそこでしかない伯爵令嬢リリアーナは、婚約後六年経ったある日、婚約者である大好きな第二王子に自分が未来の王子妃として選ばれた理由を尋ねてみた。
王子の答えはこうだった。
「くじで引いた紙にリリアーナの名前が書かれていたから」
え、わたし、そんな取るに足らない存在でしかなかったの?!
思い出してみれば、今まで王子に「好きだ」みたいなことを言われたことがない。
ショックを受けたリリアーナは……。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。