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本章
16.妃殿下の為人は?
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side.ルルーシュ
「部屋の内装にドレス、随分とご購入されていますね」
請求書はかなりの額だ。予算をあっという間にオーバーする程に。
「披露宴の時に少し会話をしただけだが、そんな印象は受けなかったのに」
殿下と私の妃殿下に対する印象は同じようだ。
最も、私も殿下も妃殿下と接触した時間は短い。交わした会話もだ。だからこそ、それだけで妃殿下がどのような人間かは断言できない。
「印象だけでは何とも言えないでしょう。特に女性は男性よりも隠すのが上手い」
ギベルティの言葉も一理ある。加えて。こちらに流れてくる妃殿下の噂はよくない。追い出されるように嫁いだとさえ言われている。
だが、初めて会った時の印象がどうしても頭から離れない。果たして、このまま彼女を評価していいのか、それはただの決めつけではないのか。
何かを見落とししているような気がしてならない。
「ただ気になるのは部屋から出ないことと、侍女やメイドすらも遠ざけていることですね。連れてきたアリソンとかいう女一人で妃殿下の世話が完璧にできているのでしょうか?」
ギベルティの疑問を聞きながら私はアリソンのことを思い浮かべた。
使用人とは主人の影となる存在
だが、影とは時に光を飲み込む存在でもある。
彼女は影に徹するような人ではないだろうな。
主人を見る目、そしてこちらを値踏みするような目は信頼に値するものではなかった。
そこら辺に妃殿下の為人や噂に関する違和感が隠れているのかもしれない。
「ここで議論していても仕方がないだろう。俺はまだ当分動けない。くそっ」
新婚なのに、ここぞとばかりに問題が発生して、対応に追われているため殿下は執務室に何泊も泊まり込んでいる。
さすがに、ちょっとかわいそうに思えるがだからと言って放置して帰っていいですよとは言えないのが現状ですね。
「ルルーシュ、代わりに様子を伺ってきてくれ」
この短期間であっという間に妃殿下の予算をオーバーするような買い物を当然のように行い、更に追加の予算が必要だと豪語できる女性なら、対応の仕方を変えないといけませんし、そうでないのならないで、色々と調査の必要が出てきますしね。
「かしこまりました」
一礼して、執務室を出た足で妃殿下の元へ向かった。
まさか、ご自身でドアを開けられるとは思わなかった。普通の王女や令嬢なら自らドアを開けることはない。
それに妃殿下はなぜか寝巻きのままった。
どうやら、アリソンは留守にしているようだ。それにしても、王族の女性が部屋で一人とは。通常なら使用人の誰かが必ず部屋に待機しており、妃殿下が部屋で一人になるのはあり得ないことだ。
それに、寝巻きも随分と年季が入っていますね。
試しに庭への散歩を提案してみたら妃殿下は少しだけ思案した後に了承してくださいました。使用人である私に対して随分と丁寧な言葉遣いをする上に腰が低い。
指摘すべきか?取り敢えずこのまま様子を伺ってみることにしましょう。
妃殿下は仰ったようにほんの数分で準備を終えて出てこられた。
寝巻きと同様に年季の入ったドレスだ。しかも、一人で着られるような簡易的なもの。下級の貧乏貴族ならまだしも妃殿下が着るようなものではないですね。
それに宝石を一つも身につけていなけば、化粧すらもしていない。
あり得ないことだが、妃殿下の様子を見るにいつもこの状態なのだろう。
アリソンは仕事を放棄している可能性が濃厚だな。
それにさり気なく聞いただけでも、アリソンが妃殿下の予算を使い込んでいるのは明白になった。これは、アルトゥールにいた頃から行われていたのだろう。
なぜ、アルトゥール国王はそのような女を王女殿下付きのまま輿入れさせたのか。
妃殿下の母君は爵位こそ低いが、陛下の寵愛を一身に受けている。
決して冷遇されるような存在ではないはず。加えて、妃殿下の悪評。これは、何かもっと裏がありそうですね。
もう少し調べる必要がある。取り敢えず、あのアリソンとやらをどうするか。
暫くは泳がせておくか、妃殿下と引き剥がしてみるか。
そう思案しながら散策を終えて戻っている最中に殿下の怒鳴り声が聞こえた。
どうやら、仮眠中にまたΩの令嬢が自身のフェロモンを使って既成事実をでっち上げようとしてきたようだ。
懲りない連中だ。これでまた殿下のΩ嫌いが加速するなと思っていたらまさか、妃殿下からあんな、とんでもないお願いをされるとは夢にも思っていませんでした。
新婚なのに、少々殿下が可哀想になってきます。
「部屋の内装にドレス、随分とご購入されていますね」
請求書はかなりの額だ。予算をあっという間にオーバーする程に。
「披露宴の時に少し会話をしただけだが、そんな印象は受けなかったのに」
殿下と私の妃殿下に対する印象は同じようだ。
最も、私も殿下も妃殿下と接触した時間は短い。交わした会話もだ。だからこそ、それだけで妃殿下がどのような人間かは断言できない。
「印象だけでは何とも言えないでしょう。特に女性は男性よりも隠すのが上手い」
ギベルティの言葉も一理ある。加えて。こちらに流れてくる妃殿下の噂はよくない。追い出されるように嫁いだとさえ言われている。
だが、初めて会った時の印象がどうしても頭から離れない。果たして、このまま彼女を評価していいのか、それはただの決めつけではないのか。
何かを見落とししているような気がしてならない。
「ただ気になるのは部屋から出ないことと、侍女やメイドすらも遠ざけていることですね。連れてきたアリソンとかいう女一人で妃殿下の世話が完璧にできているのでしょうか?」
ギベルティの疑問を聞きながら私はアリソンのことを思い浮かべた。
使用人とは主人の影となる存在
だが、影とは時に光を飲み込む存在でもある。
彼女は影に徹するような人ではないだろうな。
主人を見る目、そしてこちらを値踏みするような目は信頼に値するものではなかった。
そこら辺に妃殿下の為人や噂に関する違和感が隠れているのかもしれない。
「ここで議論していても仕方がないだろう。俺はまだ当分動けない。くそっ」
新婚なのに、ここぞとばかりに問題が発生して、対応に追われているため殿下は執務室に何泊も泊まり込んでいる。
さすがに、ちょっとかわいそうに思えるがだからと言って放置して帰っていいですよとは言えないのが現状ですね。
「ルルーシュ、代わりに様子を伺ってきてくれ」
この短期間であっという間に妃殿下の予算をオーバーするような買い物を当然のように行い、更に追加の予算が必要だと豪語できる女性なら、対応の仕方を変えないといけませんし、そうでないのならないで、色々と調査の必要が出てきますしね。
「かしこまりました」
一礼して、執務室を出た足で妃殿下の元へ向かった。
まさか、ご自身でドアを開けられるとは思わなかった。普通の王女や令嬢なら自らドアを開けることはない。
それに妃殿下はなぜか寝巻きのままった。
どうやら、アリソンは留守にしているようだ。それにしても、王族の女性が部屋で一人とは。通常なら使用人の誰かが必ず部屋に待機しており、妃殿下が部屋で一人になるのはあり得ないことだ。
それに、寝巻きも随分と年季が入っていますね。
試しに庭への散歩を提案してみたら妃殿下は少しだけ思案した後に了承してくださいました。使用人である私に対して随分と丁寧な言葉遣いをする上に腰が低い。
指摘すべきか?取り敢えずこのまま様子を伺ってみることにしましょう。
妃殿下は仰ったようにほんの数分で準備を終えて出てこられた。
寝巻きと同様に年季の入ったドレスだ。しかも、一人で着られるような簡易的なもの。下級の貧乏貴族ならまだしも妃殿下が着るようなものではないですね。
それに宝石を一つも身につけていなけば、化粧すらもしていない。
あり得ないことだが、妃殿下の様子を見るにいつもこの状態なのだろう。
アリソンは仕事を放棄している可能性が濃厚だな。
それにさり気なく聞いただけでも、アリソンが妃殿下の予算を使い込んでいるのは明白になった。これは、アルトゥールにいた頃から行われていたのだろう。
なぜ、アルトゥール国王はそのような女を王女殿下付きのまま輿入れさせたのか。
妃殿下の母君は爵位こそ低いが、陛下の寵愛を一身に受けている。
決して冷遇されるような存在ではないはず。加えて、妃殿下の悪評。これは、何かもっと裏がありそうですね。
もう少し調べる必要がある。取り敢えず、あのアリソンとやらをどうするか。
暫くは泳がせておくか、妃殿下と引き剥がしてみるか。
そう思案しながら散策を終えて戻っている最中に殿下の怒鳴り声が聞こえた。
どうやら、仮眠中にまたΩの令嬢が自身のフェロモンを使って既成事実をでっち上げようとしてきたようだ。
懲りない連中だ。これでまた殿下のΩ嫌いが加速するなと思っていたらまさか、妃殿下からあんな、とんでもないお願いをされるとは夢にも思っていませんでした。
新婚なのに、少々殿下が可哀想になってきます。
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