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本章
20.初めての外
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「これが市井・・・・・目まぐるしくて、めまいがしそう」
アンナは私との約束を守ってくれた。
アリソンは忘れっぽいのか、よく私との約束をすっぽかす。
だから、あまり期待してなくて、何か別の手を考えないとって思っていたけどその心配は無用だった。
「妃殿下、まずはどちらに向かいますか?」
同行にはアンナと護衛騎士が二人。本当はまだつける必要があると殿下が言っていた。でも、お忍びだし、あまり王宮の人間に知られたくないから最低限が良いと言ったら殿下の側近でギベルティという男が味方をしてくれた。
まさかΩの私の意見が通るとは思わなかった。
まぁ、Ωだということは隠しているから妃殿下という立場だけで要望を聞いてくれたのかもしれないけど。言ってみるものだなとここに来てから時々思うようになった。
アルトゥールでも自分の意見を言っていれば、もう少しアリソンにマシな待遇ができたのかな?
私がΩであることを隠しているやましさから人と距離を取ったり遠慮して何も言わなかったから他の使用人たちにどんどん軽んじられるようになったのかもしれない。
「何か買いたい物はありますか?」
いきなり薬屋に行くのは不自然だろう。
まずは近場を見て回ろう。それに、知らないことが多すぎる。
質問をしても大丈夫だろうか?
この国では意見が通りやすいし、質問ぐらいで不快を与えることはまずないだろう。
それに、好きに生きると決めたのだ。
どうせ嫌われるのなら好きに生きようと、その方が楽だと。
ならば、まずは顔色を伺うことをやめよう。
「まずは色々と見て回りたいわ。知らないことが多すぎるから。それよりも、なぜ、あのような小屋に食べ物が売っているの?」
「あれは小屋ではなく露店です。物を売るためのお店なのですよ」
「では、あの色とりどりの家は?看板のような物が立っているが」
「あれもお店です。主に裕福な平民や貴族などが利用します」
「なぜ、店の形が違う?吹き曝しの場所で物を売るよりも雨風を凌げる建物の中で売る方が楽なのに」
「金銭の問題です。あのような立派な建物を建てるにはお金が必要になります。平民が商売をする際、元手となる資金はそこまで多くはありませんので」
お店一つにしても知らないことが多すぎる。
まさか、店が二種類もあるなんて知らなかった。アリソンは私の薬をどこで買っているのだろう。
アンナの説明が正しければ、身分で店の形容が違うということになる。つまり、私の薬はおそらく建物の方の店だろう。
「買い物はどうやってすればいいの?私はお金を持ったことがないのだけど」
「私が持っています。買い物の際は使用人が主人に変わり支払いをします」
それは困る。
Ωだとバレるわけにはいかないから自分で買い物をしに来ないといけない。つまり、私には使用人が管理していないお金が必要になるということか。
アリソンがいないと困ることが多いのね。それだけ彼女に頼りすぎていたということか。
「お金を見たことがないのだけど、見せてくれる」
「・・・・・・承知しました」
質問をしすぎたかしら?
先ほどから護衛の顔がおかしい。アンナも一瞬、固まっていたけどでもすぐに笑顔で対応してくれた。これ以上はやめた方が・・・・・いいや、必要なことだ。
今日を逃したら次までに機会があるか分からない。聞けることは全て聞こう。
「こちらがお金になります。金貨、銀貨、銅貨の三種類がございます。金貨一枚が平民の三ヶ月分の稼ぎになります。そのため、露店などでご購入される際は金貨を出してもお釣りがない場合がございますので、使えないことが多いです。ご注意ください」
「品物の前にある立札が値段?」
「左様でございます」
露店の値段を見るに平民は銅貨までの物が多い。
「銀貨も使わないの?」
「全く使わないわけではございません。特別な日や贅沢をしたい日に使うこともあります。ですが、一般的には少し裕福な平民が使うことが多いので、このような露天ではあまり見かけませんね。金貨と違い、銀貨は露店でも使用が可能です」
それだけ金貨の価値が他二つと違うのね。
「どのお店に何が売っているのかは外ではどうやって見分けるの?」
「看板で見分けます」
本屋は本の絵がついた看板が、カフェはカップの絵がついた看板がお店に掲げられているらしい。
ただし、上級貴族しか入れないようなお店には看板がなく、お店の名前を覚えていないといけない。そういうお店は紹介がないと入れないし、購入もできないなんて随分と変な決まりだな。
「殿下、大通りは騎士の巡回もありますし、比較的安全ですが、裏道には決して近づかないでくださいね。そこは治安が悪く、犯罪者が潜んでいることもありますので」
「そこは騎士が巡回しないの?」
「はい。そこまで巡回してしまうと人手が足りなくなるので」
「覚えておくわ」
私が全く外の常識とか知識がないことに気づいたアンナは質問をしなくても色々と教えてくれた。その流れで薬屋や医者のいる場所も。
「どんな薬が置いているか見てみたい」と言ったら入ることを許してくれた。気づかれないように抑制剤を探したら、すぐに見つけることができたけど、かなり高額だ。
金貨五枚・・・・・どうやって稼ごう。
「殿下、どうかしましたか?」
「いつくつか購入したいのだけど」
「どこかお具合でも?」
「頭痛持ちなの。あと、時々貧血もあるからその分の薬を」
全て抑制剤の副作用だ。
「・・・・・王宮専属の医師がいるので必要であれば、そちらから処方してもらうことになります」
「そう」
でも、さすがに抑制剤は頼めないな。
「普段はどうされていたのですか?」
「アリソンがくれる薬を飲んでいたわ」
まぁ、抑制剤使用後だったりで飲めないことの方が多かったけど。
「医師に診てもらったことはないのですか?」
「あるわけないじゃない。だって、必要ないもの」
「でも、具合が悪かったのですよね」
「医師はお父様やお母様のために王宮にいるのよ。私のためじゃないし、アンナたちも噂で聞いているでしょう。私は出来損ないの王女なの。そんな王女に医師の診察を受ける資格はないわ」
「それは違います、殿下。具合が悪いのなら医師の診察を受ける。それは人間なら誰もが持っている当然の資格であり、そこに評判や身分は関係ありません」
でも、そこにΩは当てはまらないのでしょう。
もし私がαではなく、Ωだと知ってら、それでもアンナたちは今と変わらずにいてくれるのだろうか?
”穢らわしい存在”
繰り返し、アリソンから言われた言葉だ。
だから、きっと無理なのだろう。
アンナは私との約束を守ってくれた。
アリソンは忘れっぽいのか、よく私との約束をすっぽかす。
だから、あまり期待してなくて、何か別の手を考えないとって思っていたけどその心配は無用だった。
「妃殿下、まずはどちらに向かいますか?」
同行にはアンナと護衛騎士が二人。本当はまだつける必要があると殿下が言っていた。でも、お忍びだし、あまり王宮の人間に知られたくないから最低限が良いと言ったら殿下の側近でギベルティという男が味方をしてくれた。
まさかΩの私の意見が通るとは思わなかった。
まぁ、Ωだということは隠しているから妃殿下という立場だけで要望を聞いてくれたのかもしれないけど。言ってみるものだなとここに来てから時々思うようになった。
アルトゥールでも自分の意見を言っていれば、もう少しアリソンにマシな待遇ができたのかな?
私がΩであることを隠しているやましさから人と距離を取ったり遠慮して何も言わなかったから他の使用人たちにどんどん軽んじられるようになったのかもしれない。
「何か買いたい物はありますか?」
いきなり薬屋に行くのは不自然だろう。
まずは近場を見て回ろう。それに、知らないことが多すぎる。
質問をしても大丈夫だろうか?
この国では意見が通りやすいし、質問ぐらいで不快を与えることはまずないだろう。
それに、好きに生きると決めたのだ。
どうせ嫌われるのなら好きに生きようと、その方が楽だと。
ならば、まずは顔色を伺うことをやめよう。
「まずは色々と見て回りたいわ。知らないことが多すぎるから。それよりも、なぜ、あのような小屋に食べ物が売っているの?」
「あれは小屋ではなく露店です。物を売るためのお店なのですよ」
「では、あの色とりどりの家は?看板のような物が立っているが」
「あれもお店です。主に裕福な平民や貴族などが利用します」
「なぜ、店の形が違う?吹き曝しの場所で物を売るよりも雨風を凌げる建物の中で売る方が楽なのに」
「金銭の問題です。あのような立派な建物を建てるにはお金が必要になります。平民が商売をする際、元手となる資金はそこまで多くはありませんので」
お店一つにしても知らないことが多すぎる。
まさか、店が二種類もあるなんて知らなかった。アリソンは私の薬をどこで買っているのだろう。
アンナの説明が正しければ、身分で店の形容が違うということになる。つまり、私の薬はおそらく建物の方の店だろう。
「買い物はどうやってすればいいの?私はお金を持ったことがないのだけど」
「私が持っています。買い物の際は使用人が主人に変わり支払いをします」
それは困る。
Ωだとバレるわけにはいかないから自分で買い物をしに来ないといけない。つまり、私には使用人が管理していないお金が必要になるということか。
アリソンがいないと困ることが多いのね。それだけ彼女に頼りすぎていたということか。
「お金を見たことがないのだけど、見せてくれる」
「・・・・・・承知しました」
質問をしすぎたかしら?
先ほどから護衛の顔がおかしい。アンナも一瞬、固まっていたけどでもすぐに笑顔で対応してくれた。これ以上はやめた方が・・・・・いいや、必要なことだ。
今日を逃したら次までに機会があるか分からない。聞けることは全て聞こう。
「こちらがお金になります。金貨、銀貨、銅貨の三種類がございます。金貨一枚が平民の三ヶ月分の稼ぎになります。そのため、露店などでご購入される際は金貨を出してもお釣りがない場合がございますので、使えないことが多いです。ご注意ください」
「品物の前にある立札が値段?」
「左様でございます」
露店の値段を見るに平民は銅貨までの物が多い。
「銀貨も使わないの?」
「全く使わないわけではございません。特別な日や贅沢をしたい日に使うこともあります。ですが、一般的には少し裕福な平民が使うことが多いので、このような露天ではあまり見かけませんね。金貨と違い、銀貨は露店でも使用が可能です」
それだけ金貨の価値が他二つと違うのね。
「どのお店に何が売っているのかは外ではどうやって見分けるの?」
「看板で見分けます」
本屋は本の絵がついた看板が、カフェはカップの絵がついた看板がお店に掲げられているらしい。
ただし、上級貴族しか入れないようなお店には看板がなく、お店の名前を覚えていないといけない。そういうお店は紹介がないと入れないし、購入もできないなんて随分と変な決まりだな。
「殿下、大通りは騎士の巡回もありますし、比較的安全ですが、裏道には決して近づかないでくださいね。そこは治安が悪く、犯罪者が潜んでいることもありますので」
「そこは騎士が巡回しないの?」
「はい。そこまで巡回してしまうと人手が足りなくなるので」
「覚えておくわ」
私が全く外の常識とか知識がないことに気づいたアンナは質問をしなくても色々と教えてくれた。その流れで薬屋や医者のいる場所も。
「どんな薬が置いているか見てみたい」と言ったら入ることを許してくれた。気づかれないように抑制剤を探したら、すぐに見つけることができたけど、かなり高額だ。
金貨五枚・・・・・どうやって稼ごう。
「殿下、どうかしましたか?」
「いつくつか購入したいのだけど」
「どこかお具合でも?」
「頭痛持ちなの。あと、時々貧血もあるからその分の薬を」
全て抑制剤の副作用だ。
「・・・・・王宮専属の医師がいるので必要であれば、そちらから処方してもらうことになります」
「そう」
でも、さすがに抑制剤は頼めないな。
「普段はどうされていたのですか?」
「アリソンがくれる薬を飲んでいたわ」
まぁ、抑制剤使用後だったりで飲めないことの方が多かったけど。
「医師に診てもらったことはないのですか?」
「あるわけないじゃない。だって、必要ないもの」
「でも、具合が悪かったのですよね」
「医師はお父様やお母様のために王宮にいるのよ。私のためじゃないし、アンナたちも噂で聞いているでしょう。私は出来損ないの王女なの。そんな王女に医師の診察を受ける資格はないわ」
「それは違います、殿下。具合が悪いのなら医師の診察を受ける。それは人間なら誰もが持っている当然の資格であり、そこに評判や身分は関係ありません」
でも、そこにΩは当てはまらないのでしょう。
もし私がαではなく、Ωだと知ってら、それでもアンナたちは今と変わらずにいてくれるのだろうか?
”穢らわしい存在”
繰り返し、アリソンから言われた言葉だ。
だから、きっと無理なのだろう。
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