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第2章 剣を振るう理由
30.騎士初日
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レイファ・ミラノ、十四歳
学園入学まで一年
アイルが学園に入学し、乙女ゲームが本格的に始まるまで後四年
私は今日から騎士に交じり、訓練することになった。
「公爵令嬢がなんで騎士に?必要ないだろう」
「案外、男漁りだったりして」
「俺の知り合いが侍女として王女宮で働いているんだけどさ、そいつが言うにはかなり性格が悪いらしいよ」
「それ、俺も聞いた。実は最近できた彼女が王女宮の侍女でさ」
「ちゃっかり彼女自慢してんじゃねぇよ。滅びろ、リア充」
「公爵令嬢らしく高慢で、侍女を見下してるとか。王女殿下の威光を笠にきてるとか噂があるな」
「王宮の侍女からは嫌われてるよな。まぁ、性格の悪い女は同性に嫌われるものだって、姉上が言ってたから彼女の性格が悪いのは間違いないと思うよ」
聞こえてるよ。
公爵令嬢という身分を気遣っての陰口なのだろう。声のトーンは小さいけど私の耳には全て入っていた。
男の職場に無理やり、しかもイレギュラーで高位貴族の令嬢が入ってきたらそりゃあいい気はしないだろう。自分たちの仕事を舐めているのかと思われても仕方がない。
それに城内にいることが多いのか侍女たちと仲が良いみたいね。
私を嫌っている侍女からいろいろ吹き込まれているのだろう。
制服を着ている人は集団力が強かったり、騎士という特性上、誇りをもってしている人もいる。そういう人ほど私の存在に対する反発は強いだろう。
周囲の視線はうざいし、直接的な行動に移されなくても敵意とは向けられるだけで疲れる。
と、思っていたのは訓練が始まるまで。
実際に訓練が始まると周囲に気づかれないような絶妙なタイミングでちょっかいを出してくる。
たとえば走っている途中にわざと足を引っかけて転ばせたり、対戦訓練中に近くで別の人と対戦していた人が私の腹部に肘を当ててきたりなど。
◇◇◇
「公爵令嬢の癖に生意気」
「泣きもしないなんて可愛くないよな」
「騎士団長から直接、剣の稽古をつけてもらってたらしいよ」
「は?何それ。あり得なくねぇ」
「どうせお嬢様のお遊びだろ」
対戦訓練の時にそこそこ私が剣を使えたことが気に入らなかったようだ。
力では敵わないからユニアスにはそういう人と剣でやり合う時にどうすればいいのか教わっていた。
受け止めるのではなく、力を受け流す。それが私のスタイルだ。
チート能力のおかげでそこそこ戦える。でもそれはユニアスに稽古をつけてもらっていたから。その事実が余計に私と彼らの溝を深めたようだ。
馴れあいをしに来たわけではないので無理に仲良くなる必要はないけど、どうせやるならやりやすいようにしたい。
この空気、何とかならないかな。
視線を向けると私を睨みつける目が幾つもあった。
無理そうだ。
取り敢えず顔を洗って来よう。この場に留まりたくはないし。
私は一人で手洗い場に行き、頭から水を被る。
「どうぞ」
横からタオルが差し出されたので視線を向けると長いこげ茶色の髪を横に流した優男がいた。
騎士の恰好をしている。一緒に訓練を受けた新人騎士の誰かだろうか。
「ありがとう」
私はタオルを受け取り顔を服。
「アレックス・フォーゲルです」
「レイファ・ミラノです。フォーゲルということは伯爵家の方ですよね。でも貴族名鑑には」
「私は妾腹で、最近引き取られたばかりなのでまだ載っていないと思いますよ。それにしてもよく貴族名鑑に載っていないって分かりましたね。まさか、全部覚えているんですか?」
「ええ。記憶力には自信があるので」
アレックスは驚いていた。
貴族名鑑は膨大だし、毎年更新されるから全てを覚えるのは通常は不可能。でも私は神様のチート能力により記憶力が良いのだ。貴族名鑑程度、覚えるのは造作もない。
学園入学まで一年
アイルが学園に入学し、乙女ゲームが本格的に始まるまで後四年
私は今日から騎士に交じり、訓練することになった。
「公爵令嬢がなんで騎士に?必要ないだろう」
「案外、男漁りだったりして」
「俺の知り合いが侍女として王女宮で働いているんだけどさ、そいつが言うにはかなり性格が悪いらしいよ」
「それ、俺も聞いた。実は最近できた彼女が王女宮の侍女でさ」
「ちゃっかり彼女自慢してんじゃねぇよ。滅びろ、リア充」
「公爵令嬢らしく高慢で、侍女を見下してるとか。王女殿下の威光を笠にきてるとか噂があるな」
「王宮の侍女からは嫌われてるよな。まぁ、性格の悪い女は同性に嫌われるものだって、姉上が言ってたから彼女の性格が悪いのは間違いないと思うよ」
聞こえてるよ。
公爵令嬢という身分を気遣っての陰口なのだろう。声のトーンは小さいけど私の耳には全て入っていた。
男の職場に無理やり、しかもイレギュラーで高位貴族の令嬢が入ってきたらそりゃあいい気はしないだろう。自分たちの仕事を舐めているのかと思われても仕方がない。
それに城内にいることが多いのか侍女たちと仲が良いみたいね。
私を嫌っている侍女からいろいろ吹き込まれているのだろう。
制服を着ている人は集団力が強かったり、騎士という特性上、誇りをもってしている人もいる。そういう人ほど私の存在に対する反発は強いだろう。
周囲の視線はうざいし、直接的な行動に移されなくても敵意とは向けられるだけで疲れる。
と、思っていたのは訓練が始まるまで。
実際に訓練が始まると周囲に気づかれないような絶妙なタイミングでちょっかいを出してくる。
たとえば走っている途中にわざと足を引っかけて転ばせたり、対戦訓練中に近くで別の人と対戦していた人が私の腹部に肘を当ててきたりなど。
◇◇◇
「公爵令嬢の癖に生意気」
「泣きもしないなんて可愛くないよな」
「騎士団長から直接、剣の稽古をつけてもらってたらしいよ」
「は?何それ。あり得なくねぇ」
「どうせお嬢様のお遊びだろ」
対戦訓練の時にそこそこ私が剣を使えたことが気に入らなかったようだ。
力では敵わないからユニアスにはそういう人と剣でやり合う時にどうすればいいのか教わっていた。
受け止めるのではなく、力を受け流す。それが私のスタイルだ。
チート能力のおかげでそこそこ戦える。でもそれはユニアスに稽古をつけてもらっていたから。その事実が余計に私と彼らの溝を深めたようだ。
馴れあいをしに来たわけではないので無理に仲良くなる必要はないけど、どうせやるならやりやすいようにしたい。
この空気、何とかならないかな。
視線を向けると私を睨みつける目が幾つもあった。
無理そうだ。
取り敢えず顔を洗って来よう。この場に留まりたくはないし。
私は一人で手洗い場に行き、頭から水を被る。
「どうぞ」
横からタオルが差し出されたので視線を向けると長いこげ茶色の髪を横に流した優男がいた。
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