33 / 63
第2章 剣を振るう理由
32.合理的関係
しおりを挟む
「何をしているのだ、お前はっ!」
あの後、騒ぎを聞きつけた私は騎士に拘束された。
アイルは「私の親友に乱暴なことしないで」と騎士に訴えていた。
これも乙女ゲームヒロインによくいるお優しいキャラを演じているだけなのだろうかと私は冷めた目で見ていた。
「カーディル殿下とアシュベル君に感謝をするのだな。あの二人が弁護してくれなければ今のところ、不敬罪で牢屋だぞ」
アシュベルとカーディルは王女宮の侍女が流している噂に疑問を抱き、アイルが流している証拠を陛下に提出してくれたのだ。
そして今回の口論はそれが原因。
王女に怒鳴るのは不敬罪だが、あらぬ噂を流すのは悪質な行為であり、王族と言えど貴族を貶めて良い理由にはならないと言ってくれたのだ。
それで情状酌量の余地ありということで今回はお咎めなしだった。
なぜかアイルが陛下に「ミキちゃんを許してあげて」と涙ながらに訴えていたけど。
だから私はミキちゃんじゃなくてレイファだって言っているのに。
アイルは私の噂を流したのは最近、私が遊びに来てくれなくて寂しかったからだと陛下に言っていた。
これにはさすがに陛下も叱りつけるまではいかなかったけどアイルに注意をした。
あんなお優しい注意の仕方で子供が言うことを聞くはずもないのに。
「王宮からお前が騎士に連行されたと聞いてどれだけ心配したか」
“レイファの家族ってレイファを愛していないでしょう”
「心臓が止まるかと思ったんだぞ」
分かっている。
お父様が私を出世の為の道具としか思っていないことぐらい。
私だってそうだ。
お父様を愛しているわけじゃない。
自分が生き残る為だけに利用している。何も問題はないじゃないか。利用し、利用される。実に合理的な関係。
そんなことで傷つくはずもない。
「‥…お父様、もし私が死んだらどうなさいますか?」
「何を言っているんだ?お前が死ぬわけないだろう」
疑いもしない返答に笑いそうになった。
そう、普通はそうなのだ。
約束された明日などないのに誰もが明日は当たり前のように来るのだと信じている。疑うことすらしない。私だってそうだった。さっきまでは。
「そうですね」
私はいつ、どこで死ぬのだろう。
何の情報もないのに自分の身を守れるだろうか。
「アシュベル君とカーディル殿下には後でお礼を言っておきなさい」
「はい」
良かった。
万が一を考えて権力のある攻略対象者と仲良くしておいて。
「しかし、お前がまさかカーディル殿下と親しかったとは。もっと早く知っていたら婚約話を持って行ったのに」
私はこの世界に転生してから、この世界が乙女ゲームの世界だと知った時から人を利用することしかしていない。
これじゃあ、お父様と同じじゃない。
やっぱり親子だから似るのかしら。ああはなりたくないと思っているのに。
いつまで続ければいいのだろう。こんなこと。
「そう言えばアグニスとか言うあの男爵令息がお前にいろいろプレゼントを寄こしてきている。全く、男爵風情が身の程を弁えて欲しいものだ」
「それ、どうしたました?」
「ん?全部、送り返したが」
あら、珍しくいい仕事をするわね。
「間違ってもあんな男に引っかかるんじゃないぞ」
「気持ちの悪いことを言わないでください」
「す、すまん」
思った以上に低い声が、しかも殺気が混じった状態で発せられたので父を怖がらせてしまった。
「邸にもお前に何度か会わせろと来ていた。お前と約束をしたと。したのか?」
「するわけないでしょう。何の為に急いで婚約者を用意してもらったと思っているんですか?変な誤解をした王女殿下と勘違いをしている男爵令息に外堀を埋められない為ですよ」
「そうだったな」
「王女殿下が男爵令息を連れて我が家を訪ねたいということを言っていました。男爵令息は絶対に上げないでくださいね」
「当然だ。お前はここまで育てたのは男爵なんて下位貴族に嫁がせるためじゃない」
清々しいぐらいの道具宣言をありがとう。涙が出そうだわ。
あの後、騒ぎを聞きつけた私は騎士に拘束された。
アイルは「私の親友に乱暴なことしないで」と騎士に訴えていた。
これも乙女ゲームヒロインによくいるお優しいキャラを演じているだけなのだろうかと私は冷めた目で見ていた。
「カーディル殿下とアシュベル君に感謝をするのだな。あの二人が弁護してくれなければ今のところ、不敬罪で牢屋だぞ」
アシュベルとカーディルは王女宮の侍女が流している噂に疑問を抱き、アイルが流している証拠を陛下に提出してくれたのだ。
そして今回の口論はそれが原因。
王女に怒鳴るのは不敬罪だが、あらぬ噂を流すのは悪質な行為であり、王族と言えど貴族を貶めて良い理由にはならないと言ってくれたのだ。
それで情状酌量の余地ありということで今回はお咎めなしだった。
なぜかアイルが陛下に「ミキちゃんを許してあげて」と涙ながらに訴えていたけど。
だから私はミキちゃんじゃなくてレイファだって言っているのに。
アイルは私の噂を流したのは最近、私が遊びに来てくれなくて寂しかったからだと陛下に言っていた。
これにはさすがに陛下も叱りつけるまではいかなかったけどアイルに注意をした。
あんなお優しい注意の仕方で子供が言うことを聞くはずもないのに。
「王宮からお前が騎士に連行されたと聞いてどれだけ心配したか」
“レイファの家族ってレイファを愛していないでしょう”
「心臓が止まるかと思ったんだぞ」
分かっている。
お父様が私を出世の為の道具としか思っていないことぐらい。
私だってそうだ。
お父様を愛しているわけじゃない。
自分が生き残る為だけに利用している。何も問題はないじゃないか。利用し、利用される。実に合理的な関係。
そんなことで傷つくはずもない。
「‥…お父様、もし私が死んだらどうなさいますか?」
「何を言っているんだ?お前が死ぬわけないだろう」
疑いもしない返答に笑いそうになった。
そう、普通はそうなのだ。
約束された明日などないのに誰もが明日は当たり前のように来るのだと信じている。疑うことすらしない。私だってそうだった。さっきまでは。
「そうですね」
私はいつ、どこで死ぬのだろう。
何の情報もないのに自分の身を守れるだろうか。
「アシュベル君とカーディル殿下には後でお礼を言っておきなさい」
「はい」
良かった。
万が一を考えて権力のある攻略対象者と仲良くしておいて。
「しかし、お前がまさかカーディル殿下と親しかったとは。もっと早く知っていたら婚約話を持って行ったのに」
私はこの世界に転生してから、この世界が乙女ゲームの世界だと知った時から人を利用することしかしていない。
これじゃあ、お父様と同じじゃない。
やっぱり親子だから似るのかしら。ああはなりたくないと思っているのに。
いつまで続ければいいのだろう。こんなこと。
「そう言えばアグニスとか言うあの男爵令息がお前にいろいろプレゼントを寄こしてきている。全く、男爵風情が身の程を弁えて欲しいものだ」
「それ、どうしたました?」
「ん?全部、送り返したが」
あら、珍しくいい仕事をするわね。
「間違ってもあんな男に引っかかるんじゃないぞ」
「気持ちの悪いことを言わないでください」
「す、すまん」
思った以上に低い声が、しかも殺気が混じった状態で発せられたので父を怖がらせてしまった。
「邸にもお前に何度か会わせろと来ていた。お前と約束をしたと。したのか?」
「するわけないでしょう。何の為に急いで婚約者を用意してもらったと思っているんですか?変な誤解をした王女殿下と勘違いをしている男爵令息に外堀を埋められない為ですよ」
「そうだったな」
「王女殿下が男爵令息を連れて我が家を訪ねたいということを言っていました。男爵令息は絶対に上げないでくださいね」
「当然だ。お前はここまで育てたのは男爵なんて下位貴族に嫁がせるためじゃない」
清々しいぐらいの道具宣言をありがとう。涙が出そうだわ。
280
あなたにおすすめの小説
【完結】子育ては難しい~廃嫡した息子が想像の斜め上にアホだった件~
つくも茄子
ファンタジー
リオン王国には、バークロッド公爵家、アーガイル公爵家、ミルトン公爵家の三大公爵家が存在する。
三年前に起きたとある事件によって多くの貴族子息が表舞台から姿を消した。
各家の方針に従った結果である。
その事件の主犯格の一人であるバークロッド公爵家の嫡男は、身分を剥奪され、市井へと放り出されていた。
親のであるバークロッド公爵は断腸の思いで決行したのだが、とうの本人は暢気なもので、「しばらくの辛抱だろう。ほとぼりが冷めれば元に戻る。父親たちの機嫌も直る」などと考えていた。
よりにもよって、元実家に来る始末だ。
縁切りの意味が理解できていない元息子に、バークロッド公爵は頭を抱えた。
頭は良いはずの元息子は、致命的なまでに想像力が乏しかった。
悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?
榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した
しかも、悪役令嬢に。
いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。
だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど......
※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて
才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。
キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。
そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間――
「君との婚約を破棄することが決まった」
皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。
だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。
一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。
真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。
これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。
《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!
皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
追放即死と思ったら転生して最強薬師、元家族に天罰を
タマ マコト
ファンタジー
名門薬師一族に生まれたエリシアは、才能なしと蔑まれ、家名を守るために追放される。
だがそれは建前で、彼女の異質な才能を恐れた家族による処刑だった。
雨の夜、毒を盛られ十七歳で命を落とした彼女は、同じ世界の片隅で赤子として転生する。
血の繋がらない治療師たちに拾われ、前世の記憶と復讐心を胸に抱いたまま、
“最強薬師”としての二度目の人生が静かに始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる