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第2章 剣を振るう理由
41.ファーストダンスの相手
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「レイファ、とても綺麗だよ」
「マクミラン様、素敵なドレスをありがとうございます」
夜会当日
私は婚約者であるマクミランから贈られてきたドレスを着て彼の待つホールへ行った。
ドレスは私が好きな青色で所々にダイヤが散りばめられている。それにただの青いドレスではない。
右側の腰から裾にかけて流れるような薄水色のレースがついているのだ。
因みにアグニスからもドレスが贈られて来た。勿論、突き返した。
抗議をしたいけど彼の父親は魔法塔にこもりっきりで出てこないし、あそこは一般人は立ち入り禁止なのだ。
「それでは行きましょうか」
「ええ」
今日の夜会はアイルの側近を本格的に見定める為に行われるもの。これは名誉なこととはりきりものなんだろうけど、私はできるだけ大人しくしていよう。
マクミランが出してきた肘に手を置き、私たちは夜会へ向かった。
「レイファ」
「エステル、それにメリンダもごきげんよう」
エステルは侯爵令嬢だからアイルの側近候補に選ばれてもおかしくないけど彼女は辞退している。父親が裏から手を回したのだ。
「あんな人のお守なんて御免だわ」と笑顔で言っていたエステルが羨ましい。
「あなたも面倒な立場になったわね」
ちらりとエステルが視線を向ける先にはひそひそと話す令嬢たち。彼女たちは今回、側近候補に選ばれなかった人たちだ。
誰につくべきか見定めに来たのだろう。王女の側近の取り巻きになれれば虎の威を借りる狐のような姑息にけれど社交界で大きな顔をすることもできる。令嬢として常に人の優位に立とうとする彼女たちにはこれほど美味しい話はないだろう。それに何かあっても虎に全てをなすりつければいい。最悪切り捨てればいい。用なしの弱者として。
狐にとって虎とはいい隠れ蓑なのだ。
「レイファ様、そちらはご婚約者の方ですか?」
メリンダの視線を受け、私たちに気を遣って一歩後ろにいたマクミラン様が隣に来る。
「ええ。マクミラン様、こちらは私の友人のエステル様とメリンダ様です。エステル、メリンダ、彼は私の婚約者のマクミラン様です」
「マクミラン・マクベインです」
「エステル・カイナンです」
「メリンダ・アディソンです」
視線を感じながらも親しい人たちとの会話を楽しんでいるとアイルが会場に入って来た。
あんなのでも王女。
私も他の令嬢にならい、道を開けて礼を取る。
誰もが自然と左右に分かれて頭を下げているのでアイルの為だけの道ができる。アイルは私とマクミランの前に止まる。心の中で立ち去れと祈っていたけど私の祈りは届かなかった。分かっていたけど。
「久しぶりね、ミキちゃん。最近、全然会いに来てくれないから寂しかったわ。何度も会いに来てって手紙を送ったのに。侍女も辞めちゃうし」
「申し訳ありません。忙しく、なかなか時間が取れないのです。陛下の許可は貰っているので」
陛下が許可をしているから文句を言われる筋合いはないという意味を込めている。
アイルに通じないのは分かっている。これは私のストレスが溜まり過ぎないように言っているだけだ。通じないと分かっていてもちくりと言ってしまいたい時があるのだ。
「隣はだぁれ?」
アイルが興味深げにマクミランを見る。
「お初にお目にかかります。マクミラン・マクベインです。レイファ嬢とは婚約させていただいています」
「ああ、あなたが」
アイルはマクミランを睨みつける。王族であるアイルから不快だと言わんばかりの顔を向けられ、マクミランは戸惑う。アイルの中でマクミランは悪役なのだろう。
だって彼女の中で私とアグニスは愛し合っている設定なのだから。考えただけで鳥肌が立つ。
「マクミラン、私と踊ってくださる」
「えっ、しかし」
アイルがにっこりと笑って手を差し出してきた。マクミランは戸惑いながらも王族であるアイルの誘いを断ることはできず、彼女の手を取ってホールの真ん中へ行く。
ファーストダンスは婚約者か夫。いない場合は身内というのが社交界のルール。
マクミランをファーストダンスの相手に選ぶということは彼を自分の恋人だと宣言したようなもの。彼女にはもちろん、その気はないだろうが。だってアイルは面食い。平凡な容姿のマクミランなどタイプではないだろう。
「マクミラン様、素敵なドレスをありがとうございます」
夜会当日
私は婚約者であるマクミランから贈られてきたドレスを着て彼の待つホールへ行った。
ドレスは私が好きな青色で所々にダイヤが散りばめられている。それにただの青いドレスではない。
右側の腰から裾にかけて流れるような薄水色のレースがついているのだ。
因みにアグニスからもドレスが贈られて来た。勿論、突き返した。
抗議をしたいけど彼の父親は魔法塔にこもりっきりで出てこないし、あそこは一般人は立ち入り禁止なのだ。
「それでは行きましょうか」
「ええ」
今日の夜会はアイルの側近を本格的に見定める為に行われるもの。これは名誉なこととはりきりものなんだろうけど、私はできるだけ大人しくしていよう。
マクミランが出してきた肘に手を置き、私たちは夜会へ向かった。
「レイファ」
「エステル、それにメリンダもごきげんよう」
エステルは侯爵令嬢だからアイルの側近候補に選ばれてもおかしくないけど彼女は辞退している。父親が裏から手を回したのだ。
「あんな人のお守なんて御免だわ」と笑顔で言っていたエステルが羨ましい。
「あなたも面倒な立場になったわね」
ちらりとエステルが視線を向ける先にはひそひそと話す令嬢たち。彼女たちは今回、側近候補に選ばれなかった人たちだ。
誰につくべきか見定めに来たのだろう。王女の側近の取り巻きになれれば虎の威を借りる狐のような姑息にけれど社交界で大きな顔をすることもできる。令嬢として常に人の優位に立とうとする彼女たちにはこれほど美味しい話はないだろう。それに何かあっても虎に全てをなすりつければいい。最悪切り捨てればいい。用なしの弱者として。
狐にとって虎とはいい隠れ蓑なのだ。
「レイファ様、そちらはご婚約者の方ですか?」
メリンダの視線を受け、私たちに気を遣って一歩後ろにいたマクミラン様が隣に来る。
「ええ。マクミラン様、こちらは私の友人のエステル様とメリンダ様です。エステル、メリンダ、彼は私の婚約者のマクミラン様です」
「マクミラン・マクベインです」
「エステル・カイナンです」
「メリンダ・アディソンです」
視線を感じながらも親しい人たちとの会話を楽しんでいるとアイルが会場に入って来た。
あんなのでも王女。
私も他の令嬢にならい、道を開けて礼を取る。
誰もが自然と左右に分かれて頭を下げているのでアイルの為だけの道ができる。アイルは私とマクミランの前に止まる。心の中で立ち去れと祈っていたけど私の祈りは届かなかった。分かっていたけど。
「久しぶりね、ミキちゃん。最近、全然会いに来てくれないから寂しかったわ。何度も会いに来てって手紙を送ったのに。侍女も辞めちゃうし」
「申し訳ありません。忙しく、なかなか時間が取れないのです。陛下の許可は貰っているので」
陛下が許可をしているから文句を言われる筋合いはないという意味を込めている。
アイルに通じないのは分かっている。これは私のストレスが溜まり過ぎないように言っているだけだ。通じないと分かっていてもちくりと言ってしまいたい時があるのだ。
「隣はだぁれ?」
アイルが興味深げにマクミランを見る。
「お初にお目にかかります。マクミラン・マクベインです。レイファ嬢とは婚約させていただいています」
「ああ、あなたが」
アイルはマクミランを睨みつける。王族であるアイルから不快だと言わんばかりの顔を向けられ、マクミランは戸惑う。アイルの中でマクミランは悪役なのだろう。
だって彼女の中で私とアグニスは愛し合っている設定なのだから。考えただけで鳥肌が立つ。
「マクミラン、私と踊ってくださる」
「えっ、しかし」
アイルがにっこりと笑って手を差し出してきた。マクミランは戸惑いながらも王族であるアイルの誘いを断ることはできず、彼女の手を取ってホールの真ん中へ行く。
ファーストダンスは婚約者か夫。いない場合は身内というのが社交界のルール。
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