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第2章 剣を振るう理由
45.王族の盾と剣
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「本日より、専属護衛を務めさせていただきます。レイファ・ミラノです」
騎士の訓練をある程度終え、アイルの望み通り私はお飾りの専属護衛についた。と、言っても学校に入学するまでの間だけど。
「ミキちゃん、格好いい。本物の騎士みたい」
ぱっと花が咲いたように笑うアイルは本当に嬉しそうだった。
“騎士みたい”、ね。
アイルの言葉にアイルの世話をする為に控えていた侍女がくすりと笑った。
お飾りの騎士を笑ったのだろう。
「ミキちゃんは昔からそういう格好が似合うわよね。覚えている?高校の文化祭でやった劇。私がお姫様で、あなたが騎士だったわ。私が推薦したのよね。そのおかげでミキちゃんは女の子にモテモテ」
“男女”
同じクラスの男子からそう言われるようになったのもその時だった。
お姫様の役は本当は別の人になる予定だった。けれど、マヤがやりたいと言った。自分がそれに相応しいとでも思ったのだろうか。
将来、女優を目指していた子がいた。そのせいか、たかが文化祭の劇だけれどマヤに役を譲りたくないと言った。折角の主役だからと。
その子は次の日、事故に合った。
全治三ヶ月。文化祭には間に合わない。そのせいで必然的にマヤが主役であるお姫様をやった。誰も何も言わなかった。けれど、誰もが心の中で思っていたことがある。
本当にただの事故?
「私の言った通り、騎士になって正解だったでしょう」
アイルの言葉に私は思考を現実に戻す。
制服が似合う=騎士に相応しいわけではない。それは騎士に対する冒涜だ。現に、彼女を護衛する本物の騎士は不快気に彼女を見ていた。
自分の身を守る騎士を敵に回すのは得策ではない。
アイルの行動、言葉にはいつだって悪意がない。だから自分の行動や言葉がどのような意味を持つか分からないのだ。
馬鹿は死ななければ治らないと言うけど、アイルは治らなかったようだ。治せないほどの馬鹿なのだろう。
「ちゃぁんと、私のことを守ってね、ミキちゃん♡」
冗談じゃない。誰が命をかけて
「私の名前はレイファです、殿下。それと私はあくまで殿下と陛下のご用命に従い騎士服に身を包んでいるに過ぎません。仮初の盾が殿下を守ることはありません。それは私ではなく騎士の役目です」
私は騎士として正式に任命されたわけじゃない。たとえ陛下でもそれは難しいだろう。
例を作れば、コネで入る役立たずの騎士の温床になってしまう。
「何と無礼なっ!」
「不敬ですよ、いくら公爵令嬢とは言え殿下の為に命を投げ出すことができないなど」
自分たちだってできないだろうに。
「そう、私は公爵令嬢です。騎士ではありません。先ほども申しました。王族の剣となりその敵を撃つのも、盾となり王族を守るのも騎士の役目。ああ、盾の役割は騎士だけではありませんでしたね。王族に仕える侍女にも与えられますわね。アイル殿下の良き盾に、あなた方はなれますか?」
私の問いかけに侍女たちは怯む。けれど一人が「なれるわ」と言えば反響音のようにその場にいた侍女たち全員が同じ言葉を発する。まるでその言葉しか知らないように。
そう。貴族令嬢の役割に王族の盾は入っていない。それは護衛や専属侍女の役目になるのだ。
「ねぇ、じゃあ、レイファに騎士の身分を与えたらいいの?」
何も知らない子供のようにアイルは私に問う。
彼女はよほど、私に死んでほしいようだ。
「正規の手続きを踏まずにあなたのコネで騎士になるつもりはありませんし、そのような道理を通すことは許されません。もし、それでもとお望みなら私はあなたの前から姿を消します」
私がそこまで言うとアイルは目に涙を浮かべた。
「殿下の望みを叶えることもできないのですか」と一人の侍女が私を叱責する。
媚を売るだけの馬鹿ってうざいわね。
「仕えるべき王族が間違った方向を示したのなら正すべきです。あなた方のように全てに対して『はい』と答えることに何の意味があるんですか?」
そこまで言っても私を無理やり騎士にするというのならここで起きた出来事を社交界に流せばいい。今度こそ、本当にアイルを失墜させてやろう。
アイルの為に捨ててやる命などないのだ。
それに、アイルは‥‥‥
「いいの、私が我儘言ったみたい。ごめんね、ミキちゃん」
「私の名前はレイファです」
アイル、私は馬鹿じゃないのよ。
本当に、気づいていないとでも思っているの。
だったらあなたは正真正銘の馬鹿ね。
騎士の訓練をある程度終え、アイルの望み通り私はお飾りの専属護衛についた。と、言っても学校に入学するまでの間だけど。
「ミキちゃん、格好いい。本物の騎士みたい」
ぱっと花が咲いたように笑うアイルは本当に嬉しそうだった。
“騎士みたい”、ね。
アイルの言葉にアイルの世話をする為に控えていた侍女がくすりと笑った。
お飾りの騎士を笑ったのだろう。
「ミキちゃんは昔からそういう格好が似合うわよね。覚えている?高校の文化祭でやった劇。私がお姫様で、あなたが騎士だったわ。私が推薦したのよね。そのおかげでミキちゃんは女の子にモテモテ」
“男女”
同じクラスの男子からそう言われるようになったのもその時だった。
お姫様の役は本当は別の人になる予定だった。けれど、マヤがやりたいと言った。自分がそれに相応しいとでも思ったのだろうか。
将来、女優を目指していた子がいた。そのせいか、たかが文化祭の劇だけれどマヤに役を譲りたくないと言った。折角の主役だからと。
その子は次の日、事故に合った。
全治三ヶ月。文化祭には間に合わない。そのせいで必然的にマヤが主役であるお姫様をやった。誰も何も言わなかった。けれど、誰もが心の中で思っていたことがある。
本当にただの事故?
「私の言った通り、騎士になって正解だったでしょう」
アイルの言葉に私は思考を現実に戻す。
制服が似合う=騎士に相応しいわけではない。それは騎士に対する冒涜だ。現に、彼女を護衛する本物の騎士は不快気に彼女を見ていた。
自分の身を守る騎士を敵に回すのは得策ではない。
アイルの行動、言葉にはいつだって悪意がない。だから自分の行動や言葉がどのような意味を持つか分からないのだ。
馬鹿は死ななければ治らないと言うけど、アイルは治らなかったようだ。治せないほどの馬鹿なのだろう。
「ちゃぁんと、私のことを守ってね、ミキちゃん♡」
冗談じゃない。誰が命をかけて
「私の名前はレイファです、殿下。それと私はあくまで殿下と陛下のご用命に従い騎士服に身を包んでいるに過ぎません。仮初の盾が殿下を守ることはありません。それは私ではなく騎士の役目です」
私は騎士として正式に任命されたわけじゃない。たとえ陛下でもそれは難しいだろう。
例を作れば、コネで入る役立たずの騎士の温床になってしまう。
「何と無礼なっ!」
「不敬ですよ、いくら公爵令嬢とは言え殿下の為に命を投げ出すことができないなど」
自分たちだってできないだろうに。
「そう、私は公爵令嬢です。騎士ではありません。先ほども申しました。王族の剣となりその敵を撃つのも、盾となり王族を守るのも騎士の役目。ああ、盾の役割は騎士だけではありませんでしたね。王族に仕える侍女にも与えられますわね。アイル殿下の良き盾に、あなた方はなれますか?」
私の問いかけに侍女たちは怯む。けれど一人が「なれるわ」と言えば反響音のようにその場にいた侍女たち全員が同じ言葉を発する。まるでその言葉しか知らないように。
そう。貴族令嬢の役割に王族の盾は入っていない。それは護衛や専属侍女の役目になるのだ。
「ねぇ、じゃあ、レイファに騎士の身分を与えたらいいの?」
何も知らない子供のようにアイルは私に問う。
彼女はよほど、私に死んでほしいようだ。
「正規の手続きを踏まずにあなたのコネで騎士になるつもりはありませんし、そのような道理を通すことは許されません。もし、それでもとお望みなら私はあなたの前から姿を消します」
私がそこまで言うとアイルは目に涙を浮かべた。
「殿下の望みを叶えることもできないのですか」と一人の侍女が私を叱責する。
媚を売るだけの馬鹿ってうざいわね。
「仕えるべき王族が間違った方向を示したのなら正すべきです。あなた方のように全てに対して『はい』と答えることに何の意味があるんですか?」
そこまで言っても私を無理やり騎士にするというのならここで起きた出来事を社交界に流せばいい。今度こそ、本当にアイルを失墜させてやろう。
アイルの為に捨ててやる命などないのだ。
それに、アイルは‥‥‥
「いいの、私が我儘言ったみたい。ごめんね、ミキちゃん」
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アイル、私は馬鹿じゃないのよ。
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だったらあなたは正真正銘の馬鹿ね。
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